• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

terry997のブログ一覧

2022年01月30日 イイね!

911のEV化を伺うポルシェの苦悩

911のEV化を伺うポルシェの苦悩Porsche 911 EV Is Definitely Not Happening, Because It's Not Necessary.
(911にEV化なんてありません…だって必要無いですから)

これは2018年の決算発表会にて、CEOのオリヴァー・ブルーメが株主に対して発した言葉だった。
そこにいた投資家はもとより市井のポルシェの愛好家に至るまで、この言葉に留飲を下げたはずである。

ところが…だ。
コロナ対策に疲れと嫌悪感を感じながら迎えた新年早々に、ポルシェから一通のメールが届く。日本語訳が今一なのは、これがAGから直接来ている証だろう。これは顧客向けアンケートなのだが、その中身は問題だ。
いくつかを抽出すれば、こんな感じの内容になっている。

alt

(出典:クリッカー

「電池式電動パワートレインを備えた911にもしも抵抗感がある場合、それは何ですか?複数の理由を挙げてください。」

「あなた国の政府が、ガソリンエンジンを搭載した車両に対してより高い課税を実施し、電池式電動およびプラグインハイブリッドパワートレインを搭載した車両に対して税制上の優遇措置を実施していると想像してください。 それを考慮に入れて、次の場合、新しい911を購入する可能性はどのくらいありますか?」

「あなたが住んでいる、またはあなたが近くに住んでいる都心部では、局所的な排気ガスの排出を避けるために、 純粋な電気自動車(電池式電気自動車とプラグインハイブリッドパワートレインを搭載した車両) のみが許可されることを想像してください…新しい911を購入する可能性はどのくらいありますか ?」

「911が燃焼エンジンでもプラグインハイブリッドパワートレインでも利用できない場合はどうしますか?」

「燃焼エンジンとプラグインハイブリッドパワートレインを搭載した車両のどちらも登録が不可能であることを想像してみてください。つまり、公道では、燃焼エンジンまたはプラグインハイブリッドパワートレインを搭載した車両を使用することができず、私有地でのみの使用となるのです。それを考慮に入れて、次の場合、新しい911を購入する可能性はどのくらいありますか ?」

「あなたは、電池式電動パワートレインを搭載した911を購入する可能性は低い、または非常に低いと述べています。代わりに、公道からの燃焼エンジンとプラグインハイブリッドパワートレインを搭載した車両の禁止にどのように対処しますか?」

「911が燃焼エンジンでもプラグインハイブリッドパワートレインでも利用できない場合はどうしますか?」


先のオリヴァー・ブルーメ氏の発言と992の登場から4年弱。
992は利益率をフェラーリのV8並に引き上げたことで911の延命を図るモデルとなったが、それでも旗色が悪いようだ。この期間に911がどれだけ追い込まれているかよく分かる。

「あなたの意見では、将来の課題に直面するために911はどの分野で変更する必要がありますか?」

…という質問に対し、全長は4.3m前後、車幅は1.8m前後、車重は1200kg前後にしてほしい…なんて的外れな回答をするユーザーなんて、失笑を買っているかもしれない(→私)。

でもね…911のどこが楽しいかといういうと、あの独特なRRレイアウトを滋味あふれるエンジンとMTで駆るところが気に入っているわけで。
いまやMTはほぼ諦めるしかない状況で、更にエンジンを落としてEV化した911なんて、それは一体何という車なのか。あの重量配分をどう実現するのか。電池を一杯リアに積んで、それをどうにかして何とかするシャシーを開発する?そんなことする訳が無いだろう…。

でも最後にこんな質問がある。
「本調査を終了する前に、次のことを想像してください。5〜8年以内に、燃焼エンジンを搭載した911と組み合わせてポルシェにeFuels証明書を注文できるようになりました。この証明書は、指定された生涯走行距離に応じて911に燃料を供給するために必要な量の電気燃料の生産をサポートします。911は従来のガソリンで稼働し、排出物を生成しますが、世界の他の場所(多くの再生可能エネルギーが利用可能)でのeFuelsの生成と使用により、911の運転中に生成するのと同じ量のCO2を結び付けます。これを考慮に入れて、次の場合、新しい911を購入する可能性はどのくらいありますか?」

ポルシェが先頭をきって開発しているeFuelなら、内燃機関搭載の911は生き残れそうだ。そしてこのアンケートの分析がAG社内で「911のEV化はあり得ない。eFuelが生き残る道だ」という結論付けに役立ってほしいと心から願う。

たとえeFuelの開発負荷をエンドユーザーが負うことになって、スタンダードの911が3000万からになってもそうあってほしい…自分が顧客リストに名を連ねることが出来るかは分からないけれども。




Posted at 2022/01/30 15:15:04 | コメント(4) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2022年01月08日 イイね!

空冷ターボを味わう③…993ターボ

空冷ターボを味わう③…993ターボオーナーさんのお言葉に甘えてではなく、吸い寄せられるように運転席へと急ぐ。

ドアを開けてバケットシートに座ると、目の前には5連機械式ゲージの風景が広がっている。

そしてそのすぐ奥はフロントウィンドウへと繋がっている。それはとても近い。


 ”ああ…これは戦闘機だ。P51、いやメッサーシュミットか”

alt
Messerschmitt Bf 109)

エンジンは既にかかっており、静かだが安定した鼓動をしっかりとシートに伝えてきている。

昔、911に憧れていた頃。
そして手が届かなかった時代。
ショップに行って993のエンジンをかけさせてもらったり、少しだけ運転させてもらったりしたことを想い出した。
そして何とか手が届こうかとなる頃になると、購入希望者としていくつものショップを巡ったことがある。
そういった一連の993のエンジン音は、バラバラと乱れた音を出していたり、妙にバサバサとした音を出していた。
当時は”空冷だからかな…”と納得せざるを得なかったけど、この993ターボを目の前にしてそれが間違いだったことに気付く。

この993ターボ、アイドリング時は極めて控えめで安定した動作をしていることが分かる。
しかし、ほんの僅かにアクセルを踏んでみると、そのツキの良いことと言ったら…爪の厚み分に応じてアクセルが反応するような鋭さを持っている。
これはやたらと吹け上がりが良いという意味では無く、踏み代に応じて極小ラグでエンジンが反応するという意味。
これは吸気も点火もシリンダー内も補器類も、そしてアクセルの作動さえ完調な車に共通する反応だ…。

alt

シートベルトを締めて、964ターボと同じルートを向かった。
軽くアクセルを踏めば、このエンジンの組上がりの精度が分かろうというものだ。
なんとフレキシブルかつスムースに密なトルクを吐き出すエンジンなんだろう。
そして古のドライビングポジションを維持しつつ、コンパクトな車体と視界の良さからスポーツカーの理想形を感じる。この良さを何と表現したらいいのだろう。
(991からポルシェはドライビングポジションの定義を変えたことは、みんカラにいる方々は知っているはず)

この車、全く古さを感じさせないドライバビリティを持っている。
良く出来たスポーツカー感に満ち溢れており…なんというか、良いスポーツカーとしての”頃合い”を具現化しているというべきか…果たして市中の800だ1000だという車達がこれを備えているかどうか。
しみじみとスポーツカーを感じさせてくれるこの趣は、当のポルシェ自身がずっと前に忘れてしまった拵なのかもしれない。
とにかくここまで仕上げられたこの車なら日常的なシーンを想定しても上層で使えるだろうし、なにより現代車よりも素晴らしいドライビングフィールを体験できるはず…。

車って数万点のパーツから成り立っているわけだけど、それらのパーツのピークは全く違う時期に来る。
それゆえ新車から時間が経過していくと、あっちは良いけどこっちは今ひとつみたいな状況が頻発してくる。
最終的には代替へと向かうのだけど、この車は今この時点で全てのパーツのピークが頂上近くに集約しているように感じさせてくれる。
この奇跡みたいな状況を達成することが、どれだけの情熱と技術を必要とすることか…そんな想いを巡らせているとオーナーさんが「ブレーキフィールが少し気になるんだよね」と囁くように問いかけてくる。
なるほど確かにそういう部分があるかもしれないけど、問題点ならこのクルマのメカニックが放置しておくはずがないので、きっと何らかの考えがあるのだろう。
そしてこのオーナーさんなら、改善したいと考えればいとも簡単に実現するだろう。

この車はあっという間に体に馴染んでしまう。
そしてシートに座っていると、妙に落ち着いた気分になり心地よい。
自分の手足になるかのようなドライビングフィールを味わっていると、悲しいことにルートの終わりが近づいてきた。
そして路肩に停車するとオーナーさんが運転席側に来るのが分かったが、実のところ本当に降りたくなかった。
ほんの僅かの間の運転だったけど、身体に馴染み過ぎて手放したくなくなるというか、久しぶりにこれは欲しいと思えるクルマだった。
…いやいや、それは僭越というものだろう。
この状態にするまでのオーナーさんやメカニックさんの情熱と努力が成し得る成果を簡単に考えてはならない。
新車を購入した後にデットストックの様にガレージにしまっていても、この車のように走ることは出来ない。

alt

そして惜しみつつ運転を替わり、ガレージへと向かった。

実に貴重な体験をさせて頂いた。この場を借りて御礼申し上げます。
ガレージでしばしの間おしゃべりしていると、もう一台の足車を乗ってみたら?とオーナーさんから有難い言葉を頂いた。
なんと普段は718GTS4.0をお使いだそう。遠慮なくその辺を一周させて頂いたが、これも良い車だ…が、やはり新しい文法のポルシェと思う。

”どう評価しているのですか”と伺うと、

  「うん、信頼性かな」

なるほど…温和で人当たりの良い雰囲気のオーナーさんの深淵に、微かに輝く空冷乗りの矜持というものを感じた瞬間だった。

<終>


Posted at 2022/01/08 12:31:57 | コメント(5) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2021年06月16日 イイね!

予定通りに992GT3が発表…と。

予定通りに992GT3が発表…と。コロナとか半導体不足等の影響に加え、GT4やスパイダー、GTSにも搭載されている4リッター系ユニットのリコール対象車全数エンジン交換という大きな問題が発生し、ポルシェの生産現場はかなりの混乱の中にいると聞いている。


そんな中でオンラインをメインに予定通り発表された992.1GT3…どれどれ?


alt


あ…うん、いいんじゃないかな、という印象。
やはりすっきりしたボディラインの方が992には似合っているかな。
サーキットを考える人には「羽根つき+PDK」を選ぶしかないのだけど、TPは「使い切れない余剰」を一人でさらっと嗜む車だし…。

もとよりポルシェは先代のTPを発表した時、「タイム云々ではなく、MTを駆ってドライビングを積極的に楽しみたいPurist向けのモデル」と定義していたものね。それを聞いた時は、流石ポルシェはよく分かっているなぁと感心したもの。

新旧での性能向上幅は「TPの世界」では事実上無し。
新車はこれしかないし、これが気に入れば買えばいいと思います。
それにNAエンジンを搭載した911をMTで楽しみたいなら現状はこれしか選択肢は無いし。ちなみに
並んでいれば必ず手に入ります(断言)。

個人的に良いなと思えるのは右ハンドルが設定されるということ。
これにサンルーフを付けることが出来るのならさらに良いのだけど、それはごく少数派のさらに少数派の意見だろう。
で、装備は…と。
日本向けにはライフが5千キロも無い例のチートタイヤは設定されないみたい。
それに…なんとPDKが設定されてる。
TP+PDKで乗りたいなら、カレラSの方が低速トルクが厚くて使いやすく、市街地では速くて乗り心地も良くて音も静かで用途に合うだろうに。
大体、先代でのTPの定義から外れるのでは…と思う。

全くAGってやつは。
売れると分ると、しれっと日和るんだよね。
とはいえ商売繁盛につながるなら、ユーザーとしては実に喜ばしいことであります。







Posted at 2021/06/16 21:20:30 | コメント(9) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2021年01月24日 イイね!

991GT3に乗ってタイカン・ターボの試乗に行く話。

991GT3に乗ってタイカン・ターボの試乗に行く話。





テスラ・モデルSと3に試乗して、その速さに脱帽するとともに、その速さを受け止めきれていないシャシーの出来具合に落胆した後の話。

試乗するグレードはタイカン・ターボ。
どうせならポルシェの最高性能ゾーンを試してみたいという希望の通りに用意して頂いた車。

alt


試乗開始と共に担当さんがキーを操作してくれる(自分でやりたかったw)。
すると992のようにドアハンドルがポップアップしてくる。お礼を言ってシートに座ると、最近のポルシェワールドのテイストに近いドライビングポジションが体を包み込んでいく…。

担当さんのコックピットドリルが開始される。
曰く、

 1, デザインキーは992の文法を採用していること
 2, 身体が触れる部分も極力似たタッチが採用されている
 3, レザーフリー素材の採用に力を入れている
   (だからレザー内装はオプション採用されていなかった)。

と言った内容を色々伺いつつ、お互い「もう行きましょう♪」ということになって、車をスタートさせようとしたのだが…何をどうすればよいのか。

「まずそのスイッチを押してください」

と指示を受けて目に入ってきたのがこのボタン。

alt
(もうちょっとどうにかならなかったのか…)

正直言って気が滅入る。まあ、そんなこと言ってもしょうがないので言われた通りに押すと、インテリアの電源が入って、運転席側と助手席側にある液晶ディスプレイに光が灯った。もちろん、何か音がするわけでは無い。

 「静かだよね」
 「それならスポーツクロノをスポーツプラスにしてください。
  そうすると音がするはずです」


言われた通りにステアリング右下に設置されたダイヤルをスポーツプラスにするとFuu…nという音がしてくる。担当さんが続ける。

 「これは作っている音ではなく、実際にモーターの作動音を拾ってくる
  システムなのです」

なるほど、サウンドレーサーとは違うということか。でも、停車中にどうやってモーターの作動音を拾うの?

 「…なんででしょうね(笑)」

お互いニヤニヤしながら、まずはノーマルで路上に出ることにした。この辺は速度違反が厳しいので、そのパフォーマンスは一瞬しか感じられないだろうけど、まあ、それは仕方がないだろう…なんて考えていたが、それは間違いだった。信号待ち先頭で上手く停車できたので、軽くアクセルを踏んでみると…、

 「!!!!!」

なんだこれは?というのが最初の感触だった。出来の悪いEVの様にいきなりトルクが出て不感症の様に加速していくという訳ではなく、飛び切り滑らかに躾けられた12気筒エンジンのトルクの盛り上がり方を模倣しているように感じる。なんだか舌打ちをしたい気分になった。
やはり、ポルシェは車を知っている。

そこから先は我慢を抑えるのが大変だった。実に「エモーショナル」なモーターと、これ以上ないくらい硬いボディに自在に動く足回り。
ボディのうすらデカさと芳しくない後方視界、そしてぱっとしないスタイリング・デザインを除けば、MやAMGが真っ青になること請け合いだろう。時折発生する前後に車がいないという僥倖を利用して、思い切ってアクセルを踏んでみると、ちょっと経験したことが無いような加速とハンドリングが味わえる。但し、助手席側の意見としては、

 「音が無いので加速が予想できないから、いきなり頭を後ろに持って
  行かれるんですよね。女性だと厳しいかもです。冗談では無くて」

この加速力だとそうなるよなぁ…。そして少なくない試乗時間を消費して、店に戻ってくる。

 「この車を欲しいと思われます?」

担当さんはこちらの趣味を知っているから、遠慮がちに聞いてくる。その答えはためらいなく「YES」だ。AT車を買う必要があるなら、一足飛びにタイカンという選択肢は十分あり得ると思う。そうなると、この車の場合は日常の使い勝手を考える必要がある。例えば、タイカン・ターボの走行距離シミュレーションをするとこんな感じだ。

alt


この手のセダンの燃料タンクを大体70リットルとすると、タイカンの全走行距離はちょうど300kmくらい、擬制的な燃費は約4.3リットル/1kmと言ったところか。この手のパフォーマンスセダンとしては別段悪くない。そんなもんだと思う。リザーブを10リットル分とすると、充電ステーションにたどり着くために約40kmを充てることが出来る。ゆえに普段は260kmくらい走ることが出来る。自宅を含めて身近に充電設備がある人なら、普段使いの車としてなら問題ないだろう。

言うまでもなく車の出来自体はとても良い。テスラ等がこの域に達するには、まだ何十年か必要だろうと思う。ポルシェはドライビングに必要な要素を世界一知っていると思わざるを得ない。それ位良い車だった。

しかし、購入するとなると色々考えることが多くなる。気に入って長く乗るとなると、コスト的な問題が非常に大きくなる。充電設備の問題もあるけど、バッテリーの劣化と交換についてはまだまだという感じだ。ポルシェはバッテリーの劣化について8年間で70%以上は劣化しない考えているようだ。つまり300km走れる新車のタイカン・ターボは、8年後には240kmしか走らないことになる(テスラは75%と言っている)。

もちろんバッテリーの製造公差は機械部品のそれとは比較にならないくらい大きいので、ターボチャージャーばかり使っていると、もっとずっと早く劣化することもあるだろう。ならバッテリーを交換すればよいではないかという話になるのだが、車自体が製品化されているにもかかわらず、この辺は未成熟な分野となっている。

ポルシェは連結接続しているバッテリーシェルについて、悪くなったセルだけを交換することが出来ると言い始めている。これはテスラも最初言っていたことだが、テスラはそれをすぐに取り下げ、バッテリーが悪化した場合は「全交換」をするとしている。そのコストは600万前後に上るようだ。

ポルシェが出来ると言っていることなのだから、外野がとやかく言うことでは無い。しかしセルだけを交換できると言ったって、ポルシェにおいて、それが安価にできるということを意味しないことは、ポルシェユーザーならだれもが知っている。それにセルはいずれ全て交換になる。内燃機関では起こらない超高価かつ定期的な駆動関連の部品交換(超高価な燃料タンクか?)がEVでは発生する。それに現在の技術ではバッテリーの寿命が内燃機関のそれを越えることは想定されていない。
…となると、その先にある中古車価格の形成は相変わらず酷いものだろうし、そもそも中古車の購入はババ抜きになってしまう。

そしてこの車が「愛車」と呼べる存在になるかどうか。
購入しても無いのにその結論を求めるのは時期尚早の極みと言えるだろうが、この車の捉え方としては「愛する」とかそういうものでは無いと思っている。車の捉え方として、従来車とはベクトルが異なる。あくまで自分の場合だが、タイカン1台でみんカラをやろうとは思わないだろう。

コスト面から見れば、EVは長年に渡る使用を想定されていない。タイカンを20年20万キロ乗ったって、20年後に同規格のバッテリーは手に入らない可能性が高いだろうし、第一そんなのナンセンスだ。最新のバッテリーの方が良いに決まっている(安価なアジア製コンパチバッテリーが売られるかもしれないがw)。5Gなんちゃらが広まっている現在に、初代iPhoneを使うようなものだ。
要するに、タイカンも含めてEVというのは新しいのが出たら、どんどん買い替えるというのが正しいアプローチに思う。だから人生を寄り添い合う愛車というより、腰の軽いガジェット的なものなんだろう。

普段はApple Watchしか使わなくなってきたけど、それは機能性が長年使ってきた機械式腕時計よりもずっと上だからであって、愛情を注ぐようなことは全く無い。だからこんなものは後継モデルが出て機能が向上すれば、躊躇なくそれに替わるだけの存在だ。タイカンも、まあ、そうなんだろうと思う。

アップル社のビジネスモデルは研究しつくされてきて、それは昔からあった陳腐化政策をより急速にさせたものでもあるように感じる。過去の戦略と異なるのは、旧製品が持つ資産価値が0に向かって急速に進むことだろうか。それによって消費者は資産価値を保つためには、刹那的に最新機器へと買い替えざるを得ない。タイカンも、きっとまあそうなんだろうと思う。

EVはまだまだ高価だけど、技術が進んで電池がもっと安価になれば、車両の利益率はICE搭載車とは比べ物にならない位、安価なものとなる。となると、買い替え速度は以前よりずっと早いので自動車会社はとてもハッピー。

政治的な観点から見れば、エネルギー政策は100年近く中東の政治的都合に巻き込まれざるを得なかったわけだ。しかしEVによってそこからかなり解放されることになる。であれば、産油国に流れたポンドやマルク、フラン、そして今で言えばユーロの幾分かを取り返すことが出来る。非産油国、欧州各国はとてもハッピー。

温暖化という欺瞞はとうの昔に暴かれているにもかかわらず、いまだにそれが存在し続けるように欧州各国が拘泥する理由は、突き詰めれば単純にキャッシュの問題にしか見えない。だいたいEVなんて寒冷化したらあっという間にアドバンテージをロスするだろうに。

試乗を終えて、ちょっとしたショックを身に覚えつつ、991GT3の今となっては古めかしいキーをサコッシュから取りだす。それをコンソールに差し込んでクラッチを踏んで左手でグイっと捻ると甲高いセルが唸ってFubaaaa!っとエンジンが目を覚ます。
やはり目覚めはこうでないと…なんて思いながら1速にギアを入れて公道に踏み入れて、タイカンから感じた新鮮さとモヤモヤ感を吹き飛ばすようにアクセルを踏んだ。
タイカン・ターボには全く及ばない加速感なんだけど、機械と魂が触れ合うような感動がそこには確かにある。997も991もロードスターでさえ機械が歌うということが本当にあるのだ。EVにそれがあるかと言えば…。

すぐに帰宅せずに遠回りをしていると、タイカンのことを忘れてしまった。
そしてこう思う。うん、これでいいじゃないか…いや、まだ当面はこれがいいかな…EVとの並列生活はあり得るだろうけど、自分にとっての車とはこういうものを言うんだろうと思う。そして自分の場合のカーライフと呼べるものは、そこで終わりを迎えるような気がしている。

(終)



Posted at 2021/01/24 09:33:42 | コメント(9) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2020年09月01日 イイね!

992GT3RS(と言われている車)

992GT3RS(と言われている車)









巷で992GT3RSと言われている車…。
例のよって喧々諤々の論争になっているし、このままで販売されるとは思わないけど、当のAGはこういった反応を無料のマーケットリサーチとして受け取っているに違いない。


alt

しかし…この写真を見ると、こんなに頑張らなきゃ世間(=”スーパースポーツ”の、ね)について行けない911の悲壮感を感じて辛い。
それにこれに乗っている自分が全く想像できない。
スタンダードの992には異世界を感じたけど、この車からは疎外感しか感じられない。
前にも言っているけど、992のエクステリアにエアロパーツは似合わないと思う。

そんなに空力効果を望むなら、こういう仕組みにすればいいのに。

alt

自然界の方が進んでいる。(終)


Posted at 2020/09/01 21:05:17 | コメント(7) | トラックバック(0) | ポルシェ | クルマ

プロフィール

「@Tetsu@ さん、ありがとうございます。しっかり映っていますね(風景に見入ってしまいました)。」
何シテル?   04/07 13:32
“When you arise in the morning, give thanks for the light, for your life and str...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/6 >>

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

リンク・クリップ

[ポルシェ 911] リレー交換 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/12/10 11:48:59
[マツダ ロードスター] シガーソケット増設 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/11/10 14:29:39
[ポルシェ 911] 右側助手席ウインドウレギュレーター交換1 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/08/17 20:46:32

愛車一覧

ポルシェ 911 ポルシェ 911
LHDではなくRHDです。 (2022.11.6) 少しペースは落ちているけど15万キ ...
マツダ ロードスター マツダ ロードスター
2023.3.1 ND3号車のエクステリアカスタムは2号車と同じです。RFから流用したA ...
その他 ジャイアント その他 ジャイアント
長いこと放置状態のクロスバイクでしたが、ここ数か月は重宝しています。そうなるとあちこち目 ...
ポルシェ 718 ボクスター ポルシェ 718 ボクスター
2023.5.13 どうやら6月半ばには納車らしい。 梅雨の時期なのであんまり乗れないと ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation