2023年12月22日
内燃機関の時代も終わりかけの現在、どのICE搭載車も出来が良くなった。
ハイパーカーは1000馬力が標準になりつつあるけど、どれもこれも市街地での走行は苦も無く出来るようになっている。東京の渋滞で耐え得るかどうかは分からないけど、青山通りを流して銀座あたりをぶらぶらしても、特に問題は無いような出来になっていた。
スーパーカーと言われる車は、500馬力だろうと800馬力だろうと普段使いには問題無い、と言い切れる仕上がりになっている。オーナーが見えないところで機械的に負荷が発生しているかもしれないけど(とあるスーパーカーはエンジン内が煤だらけになっていたりするがオーナーがそれを知ることは無い)、見えないならそれは正常であって問題無い。
余りにも普通に使えるので、なんでわざわざこんなに視界が悪いのか、荷物の積載性や乗降性がなんでこんなに酷いのか、なんてクラスやジャンルに不相応な不満が出てくるわけだ。
しかし…どれもこれも…みんな出来がいい。
仕事柄、珍しい車に乗ることが出来る機会も多いけど、正直言ってどれも大差なくなってきた。これは「つまらない」という意味ではなく、どれもこれも素晴らしい出来になっている、という意味だ。もう、お好みで選べば大抵の方は満足できる仕上がりになっているはず。
しかし…心から魅かれる、なんてことは無くなったのは何故なんだろう。
そんなわけで、車自体に対する情熱は落ち着いたものになりつつあるのが現状だけど、そういう静穏さに落ち着けないのが自分の性だったりする。
そんなとき、ちょっとした機会があってテニススクールに体験入学することになった。
テニスウェアとは言えないようなありきたりのスポーツウェアに着替えてコートサイドに立ってみた。

“おっと、これはちょっと上がるかも”
数十年前にラケットを握っていた記憶がよみがえる。
あの時の高揚感を想い出す。
しかし、体験レッスンの結果は酷いものだった。
まずはノービスクラスから始めることを勧められる…もちろん入学書類をさっさとサインして、ラケットショップに向かったのは言うまでもない。
その後レッスンは始まったけど、苦難の道は続く。
最初のレッスンの後は体力的に5日ほど使い物にならなかった。
その後のレッスンも1回毎に足を攣り、背中を攣り、肩の痛みに寝返りもつらくなるという日々が続く。なにより息が続かない…。
しばらくしてかっこが何とかついてきたころ、コーチの小学5年生の息子さん(全日本で結構いいレベルに行っちゃう)と試合をすることになった。試合が始まったが、10才位の子に真剣にサーブを打つわけにはいかない。怪我をさせたら大変だし…と、初心者女子に打つような軽いサーブを打ってみた。ところが…、
「ぱーんっ!」
と気持ちいいくらいの音がすると、ワイドの深いところに鋭い返球が返ってきた。
その技術に驚くには驚くのだが、その打球になんと澱みのないことか。
その後も彼は大人のプレイヤーが気にするようなリスクなんて関係なく、行きたいところに打ち込んできていた。
最初のサーブ以外、あとは遠慮なくプレイしたけど結果は3-6で負け。悔しいには悔しいけど、あの迷いの無さに当てられた気がする。
聞けば彼でも負ける時が結構あって、そういう時は帰りの車の中で泣くことがあるという。
そう話す彼は本当に幼い…小学生そのものだった。父親が運転するミニバンの中で母親が慰めてくれるのだろう。きっとホッとするに違いない。でもね、そういう時間は永遠にあるわけじゃないんだよ。いつかは自分の中で折り合いを見つけ、気分を上げる、気分転換の術を持たないといけない。
例えば朝焼けの中を試合会場に911で向かうとか、負けた試合の帰りにトップを放ったロードスターの中から静まり返った街の風景を見るとか、ね。
Posted at 2023/12/22 22:41:54 | |
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車全般 | 日記
2023年11月18日

日本では、というより世界でも共通の話であるのだけど、車が欲しくなったらディーラーに行って営業さんに声をかけて買うのが普通だった。
これがどうやら変わろうとしているみたい。
まずはBMW。
どうやら、どこぞのメーカーと同じように、ディーラーでの販売は止めるようだ。
ディーラーはメンテナンス拠点としてのみ継続し、注文自体はネット経由で本国が直接受注するという形態に移行するみたい。
BMWに関しては、ここ数年で独立系のディーラー権を取り上げて、ディーラーを集約する動きになっているけど、押し付けられた業者は今後一体どうするのだろう。サービスだけで食っていく?営業マンは全員クビになるのだろうか。
ディーラーの粗利の概ね半分は車両販売によるものだ。それが消える。
それにEV化がすすめばサービス売上なんて8割がた消滅することは分かっている。この形態移行後は粗利ベースで考えれば、1/10になることを意味している。
要するに…その先にあるのは「完全直営」だけだろう。
驚いたことに、この動きにメルセデスベンツが追従する動きを見せている。
となると…VWグループは?アウディやポルシェはどうなるのか。
勿論同じ方向に違いない。
日本だけは別の措置がとられるなんて考えない方がいい。
BMWにとってもメルセデスベンツにとっても、日本市場の重要性なんてほぼ無い。
はっきりとしているのは「超マイナー市場」ということだ。無視してかまわない市場という意味と同義でもある。
これを一般ユーザーから見るとどうなるのか。
実際のところ身体をあわせる以外の道は無いかもしれない。
そして大半の人はそれにあわせることが出来るだろうから。
(続報あれば続く、かも…)
Posted at 2023/11/18 08:42:51 | |
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車全般 | 日記
2023年10月20日
Posted at 2023/10/20 18:54:41 | |
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車全般 | 日記
2023年10月14日
ダルマセリカ、と呼ばれていたらしい。
ダルマの由来は分からない。有力なのは当時の車にしては丸みを帯びたデザインと正面から見るとひげを蓄えたダルマのように見えるから、らしいが、どうなんだろう。そんなふうに見えなくもないけど、今見ると十分エッジが立っているようにも見える。

今の若い人にダルマと言っても言葉自体が通じないかもしれない…。
この車は実家にあったような気がするけれど、乗せてもらったことは無かったような…。
だから自分にとってこの車は父親世代の車。
1973年と言えばオイルショックや第4次中東戦争の頃の車だ。
今と変わらず激しい時代の車だけど、どんな顔を見せてくれるのか楽しみになる。それは憧れの…というより、1つの時代考証のドライブに出かけるようなものだと感じる。
この車はノーマルの状態ではない、というのもタイヤは太いし、内装も少し弄ってあるとのコメントがあった。
そしていかにも金属、薄くて硬い、でも華奢な金属と言ったドアを開けると、中々男前なコックピットが現れる。ちゃらけたデジタルのかけらもない、機械式の運転席。でも、ステアリングにホーンボタンらしきものが6つもあるのはなんでだろう…(笑)

ステアリングスポークに並ぶホーンの絵が描かれたボタンは?
受付の女性の方にダブルクラッチは必要ですか?と聞いてみると、
「いえ、普通で大丈夫です」
と快活な声で帰ってくる。
低いサイドシルからシートに座って前後調整をしようとシート前部を探るも…無い。
これどうやって…と考えていると、先ほどの女性が、
「右横にありまーす」
と慣れた様子で声をかけて頂いた。
シートベルトは、何だろう、ノーマルじゃないと思われるけど定かではない。三点式の妙にしっかりとしたシートベルトを取り付けると、なぜか体は動かない(笑)
先導をしている方が、そろそろ行ってくださいという顔をしているのでエアコンでもつけて、と手を吊り下げ式のエアコンノブに伸ばすけど、届かない…。
ままよ、ということで、エアコンなしで37℃の中をドライブすることにした。
クラッチはさほど難しくなく、シフトもしっかりとしている。ハンドリングは…60kmを超えると妙に中心付近の遊びが遊びと言えない程フラフラしてくる。
父親の友人が高速道路で100km超を自慢していたのは、こういうことだったのか。

好きだからこそ買う車。この時代に車に対してそういう動機があるということ自体、素敵なことだと思う。
その後は淡々とゆっくり走り続ける。
暑いには暑いけど、普通に運転できる。そして降りる時間となった。
感想は…やめておこう。
この車は「好きだから」買う車だろう。それ以外に何があるというのか。
拠り所は購入する人の心の奥深くにあるものだろうから。
最後はこの車。
TE27型 カローラレビン(1974年式/MT)。
遡ること数十年前の大学生時代、友人が「古い車に乗りたくて」と言って買ってきた車だ。
既にレビンはAE92が走っていた時代。それから更に30年弱を経過した現代の試乗で何を感じることになるのだろうか。
<まだ続きます>
Posted at 2023/10/14 19:31:31 | |
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車全般 | 日記
2023年10月08日

AW11。
この時代、既にトヨタはフェラーリの308/328をデザインスタディとして取り入れていたはずだ。そしてマーケティング対象としても。
なのに、なんで…。
乗車してエンジンキーを捻ると、特段問題無くエンジンが始動する。
ライトは常時点灯しておこう…助手席にあるKINTOさんが作った取扱説明書(分かりやすい)を見ると、メーターナセルの右横にあるノブを捻るとある。
その通りにすると、フロントフード前方にパカッと開くライトが作動した。
僕はこのギミックが好きだ(笑)

リトラクタブルライトはどうしても魅かれてしまう…スーパーカー世代の刷り込みなんだろうけどw
誘導員さんの合図に従って車を出そうとしたけど、重ステだった。でも車が1mも動けば大して気にならなくなる。
エアコンがGT-FOURよりも調子がいいせいで室内は快適だ。でも、道路に出てからアクセルを踏んでみると…加速しない(笑)???となっているうちに回転計が2700回転を超えたところからグッと加速しだした。昔のスーパーチャージャーってこんなだったっけ、いや、そもそもスーパーチャージャーがこんな躾けで良いのか?なんて考えながら、最近のターボに慣れていると体には違和感しかない。まあ、つまり2700回転以下に落とさないことにすればいいのだろう。
そうやって流していると、AW11は馬鹿々々しいほど肥大化した現代のスポーツカーと比べて、プライベート感のある小型スポーティカーとして快適な車だったことが分かる。もちろん今となっては頼りない足回りやハンドリングに満足することは無いけど、当時のトヨタの自動車製造ポリシーに照らし合わせれば、この車は相当なチャレンジだったことだろう(製造業者として)。それに当時の方々はミッドシップ的なクルマが1台でも出れば、乗るまでもなく心がワクワクしたことだったはず。それも安心のトヨタから。だから世界中で16万台以上も売れたのだろう。
でも、僕には感情的なバックグラウンドが無いから自分でプレミアムを払ってまでこの車を買うだろうか、買うなら対価はどうするだろう、メンテナンスは大丈夫なんだろうけど等と考えていると、搭乗コースの終わりが見えてきた。
いい経験だった。先輩たちはこんな世界を楽しんでいたのか。自分の中にある欠けたピースを埋めたような気分だった。
「さあ、次の車達は大変ですよ。エアコンはありますがほとんど効きません。体調が悪くなったら車を停めてください」

セリカ 1600GT(1973年式/MT)。
50年も前の車だ。もはやちょい古どころではなく、立派なクラシックカーになりつつある1台。この世界は完全に未知数だ。一体、どんな経験が出来るのだろうか。最近にないほどワクワク感が盛り上がってくる。
(続く)
Posted at 2023/10/08 08:26:43 | |
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車全般 | 日記