2009年12月27日
トヨタで進められているというアルテッツアの失敗調査
雑誌によると、トヨタ社内でアルテッツアの失敗(?)を研究しているそうですね。なんでも、トヨタグループに設けられた市場調査会社の初めての仕事だとか?今から17年前、広告代理店の南北社を吸収したことは、何の役にも立たなかったのでしょうか?
さて、たぶんアンケートやグラフの解析で進めているのでしょうが、机の上の調査ではわかりませんよ。当時市場にいたものの意見収集でしかわかりません。「ダイブ主義」である私めも、分析してみました。
①レガシィB4の存在
これが一番の要因でしょうねえ。ほとんど価格帯が同じであるところに、280馬力ターボエンジンと4輪駆動がついて来るのですから、これはアルテッツアに分が悪いです。たしかに後輪駆動のアクセルとステアリングで車体をコントロールする楽しみはレガシィにはありませんが、車好き以外にもたくさん売れて初めてヒットとなります。かく言う私も当時真剣にコロナの買い替えを検討し、候補はアルテッツア、レガシィ、アルファ145、ロードスター、インテグラタイプR、シビックタイプRを考えていました。アルテッツアは、後輪駆動ということ以外選ぶべきポイントがなく、レガシィを選択しました(が買いませんでした)。レガシィに勝るのは、「MTの段が一つ多い」「後輪のLSDの効き(方式)が良い」「前輪が駆動しない」でした。これは時の運、レガシィがB4を登場させておらず、ワゴンのみであればこうはいかなかったと思います。
②内装が安っぽい
当時、Gショックやスプーンといった「ロボット感覚デザイン」の時計が流行りましたね。もう少し前には、ナイキのエアマックスが流行りました。そこでデザインのテーマに、「ロボットアニメ的デザイン」が加わり、アルテッツアはこれに完全に乗ってしまった形です。特にメーターやエンジンのカバーね。当時の三本さんだか徳大寺さんだかの言葉を借りますが、「デザイン専門学校を出てきてそのままデザインした」ような感じになってしまったことが残念です。
③馬力と車重が
3S-GE吸排気VVTi210馬力(MT)とスペックは立派ですが、210馬力は出ていないといわれました。私は街中の試乗のみでしたが、低速でのパワーも弱く感じられました。アクセルレスポンスも、どういうわけだか140馬力時代からの3S-Gの伝統で、踏んでもエンジンの回転があがるまで時間がかかるのです。これはよくありません。レガシィのターボエンジンとほぼ同じ程度のレスポンスでしたよ。私の車のエンジンよりもレスポンスが悪いです。マフラーは派手な音が出るようにチューニングされており、気分は良かったのですがねえ。パワーの点は雑誌の受け売りですが、私としては車重が重すぎるのと、ダンパーが柔らかすぎるように感じました。1300kgはちょっとありすぎかな??もう少し車体を小さくして、1100kg台に抑えるべきでした。あまり売れませんでしたが、インテグラタイプRの4ドアセダンが理想的でしたね。ドリフトやサーキット走行をする人たちは、この車よりもチェイサーに夢中になってしまいました。
④MTとファイナル比
どうしたらこんなにぐにゃぐにゃに作るのだろうと思えるほどしっかりしないシフトフィーリングにがっかりしてしまいました。どこかの段にシフトした後、シフトレバーをぐらぐら揺らせると興ざめしてしまいます。しかも登場してすぐの小改良で、土屋圭市氏の意見を取り入れてしまい、「斜めシフト」を可能にした「さらにグニャグニャなシフト」にしてしまったことが追い討ちをかけました。だいたいレース出身者はシフトフィーリングは二の次で、すばやくシフトを叩き込むことが第一と考えていますので、質の高い操作感について意見を言っていません。しかも2速と3速がギヤ比が離れているのが良くありません。なお、途中からエンジンパワーを補うためにファイナルギヤを低めましたが、これも走りこんでいない証です。
⑤あきらめてからの方向性が。。。
レガシイに敗北したことが明らかになってからのこの車、Lエディションという内装豪華仕様やジータが現れると、走りの車として見られなくなってしまいました。傍では「ターボエンジンを追加」だとか「2JZ-GTEを追加」だとか勝手なことを言う雑誌が多かったのですが、それに従ってもたぶん売れなかったでしょう。
⑥まとめ
やはりレガシィの存在が影響したことが大きいです。レガシィのよさと安さを考えると、たとえ後輪駆動をしてもレガシィを選びたくなります。レガシィには、小ぶりなボディに装備をぎゅっと詰めた塊感がありました。買うと、非常に良い買い物をしたという満足感を得られる車でした。(蛇足ながら、その感じがアウディA4に受け継がれ、たぶん多くのBE,BPレガシイセダンオーナーがアウディA4に流れていることでしょう。)アルテッツアは、そこまでは出来上がっていませんでした。これが170万円くらいで販売していれば、また違った結果が待っていたことでしょう。とにかくレガシイの前には割高感を感じました。
加えて、乗り心地をやわらかくしすぎたため、しっかりした車に乗っている感じが希薄でした。路面のうねりにあおられるショックアブソーバーでしたからね。これがレガシィはピシッとした硬質な乗り心地で、良い車に乗っている感じがひしひしと伝わってきました。アルテッツアには、コロナプレミオの後輪駆動版という印象しかありませんでした。
また、手が触れたり目に付いたりする部品が幼稚なデザインだったり感触が悪かったりで、「トヨタにはスポーティなフィーリングを知っている人がいなくなってしまったんだなあ」と思わせるに十分でした。乗り味が良い車を作るには、いろいろな良い車に乗ることが必要です。桂田さんに渋谷さんといったBEレガシィを作った人にはそれを感じましたが、アルテッツアには後輪駆動を取ったら何も残らないという印象しか沸きませんでした。スバルのスポーティーカーの歴史は、非常にさびしいものです。せいぜい初代レガシイからではないでしょうか?一方のトヨタはトヨタ1600GTからの歴史があります。日産には負けますが、長いほうだと思います。それらトヨタのGTの歴史を感じませんでしたね。技術者には「温故知新」を言う人は少ないですが、自動車としての製品を作るときは温故知新も必要ですよ。
⑦FT86に物申す
やはり2ドアクーペはねえ。AE86は、ボデーこそ2ドアクーペと3ドアLBでしたが、買うほうは2ドアセダンとして買う人も多数いました。その前のTE71の頃は4ドアセダンのGTもあったくらいです。アルテッツアが失敗したとはいえ、2ドアの背が低いクーペだけで登場させるのは反対です。BMWのE36の2ドアのようなボデーにするか、4ドアセダンもラインナップしなければ、裾野が広がりません。あと、内装はやはりアルテッツア調になってしまっていますね。もう少し車らしい内装をお願いします。モーターショーで私がコロナについて話したお相手は、たぶん豊田章男さんだとは思いますが、(先日載せた写真の人は、今になってなんだか違うような気がしてきました。)このブログを見ていたらこんな意見もあるのだということを知ってください。あと、良い車を作るためなら、私のコロナを貸します。
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新型車調査 | クルマ
Posted at
2009/12/28 00:26:30
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