「Missデビル」は、いよいよ話が佳境に差し掛かっており、舞台となる共亜火災保険の闇の部分を描き始めています。
今回も人材開発ラボの椿眞子(菜々緒)は、副主人公の斉藤博史(佐藤勝利)に対して、他の部署に研修に行くことを命じる。行き先は、CFD(クライアント ファースト デビジョン、(部署名))だ。CFDは1年前に設立された部署で、甘露路リーダー(袴田吉彦)のもと、営業・契約・サービスを一体化した特殊部門であった。設立以来、定時出社、定時退社、目標を上回る営業成績を上げていた。
斉藤は、CFDにて里中社員(永岡佑)の指導を受ける。厳しさ漂うCFDの中、里中に親しみを感じる斉藤であった。斉藤は里中に、甘露路の印象を尋ねる。里中は「甘露路は神だ」と言うが、その場で倒れてしまう。
病院に運ばれた里中は、過労と腎機能の低下と診断されたが、病院には行っていなかった。里中の妻によると、CFDに異動して以来、ほとんど家に帰ってこないとのことであった。意識を取り戻した里中は、
「PJ150(注。プロジェクト150のこと。150周年の来年までに、日本で一番の損害保険会社になる、という意味)をやらなきゃならないんだ!」
と、出社しようとする。その異様な姿と、CFDの職員は定時退社していることなどから、CFD職員は社外で残業しているのではないか、と疑いを持つ。
人材開発ラボの面々は、社内ネットをハッキングすることで、芝浦に残業アジトがあることを突き止める。これを盗み聞き、伊東人事部長(木村佳乃)は単独で残業アジトに行き、拉致されてしまう。伊東の身に危険を感じた椿も単独で甘露路を問い詰めるが、捕まってしまうのであった。
残業アジトでは、甘露路は伊東と椿に対してこう言うのであった。
「やる気にあふれたビジネスマンは、寝る間を惜しんで働いた。成果を出すことで賞賛を浴び、自分も充実感に包まれた。一方、働き方改革は、「働くな」というものだ。エジソンやアインシュタイン、ガンジーは、「土日は休ませてくれ」、自分の都合で「早退させて欲しい」と言ったでしょうか?彼らが寝る間を惜しんで働いたからこそ、世の中の豊かさがあるのだ。ここにいる皆(CFD職員)は、共亜火災の将来を願って働きたいと思っているのだ。このうわべだけの改革により、日本は滅ぶのではないかと思っている。」
CFD職員とともに、社訓を称呼し、仕事に命を懸けると叫ぶ。
甘露路に対し、椿はこう返す。
「命を犠牲にしてする仕事はない。人が仕事に飲み込まれたとき、その先には悲劇しかない。」
決裂した二人。CFD職員に、椿と伊東を始末する指示を出す甘露路。
鉄パイプを持って襲いかかるCFD社員、椿は一時大ピンチに陥るが、伊東や斉藤の力を借りて、辛くも勝利するのであった。
伊東の命令により、CFDは解散、甘露路は解雇された。CFDの問題は解決したが、CFDは大沢社長(船越英一郎)が認めた部署、大沢社長の行動に疑惑が残るのであった。
感想
いろいろ事件の展開があり、最後はアクションシーンで終えるところは、完全な「時代劇フォーマット」です。会社ものドラマとしては荒唐無稽ですが、劇画的で面白い展開だと思います。土曜日に見るドラマとしては快活で、見ごたえがありました。出演者の演技も秀逸で、特に袴田吉彦氏のリーダー役は良かったです。弁が立つ俳優さんです。社訓を叫ぶシーンでかかる音楽の不協和音ぶりが、不気味さを引き立てていました。なお社訓は、
・保険は人なり
・保険は人の支えたるべし
・保険は人と共に歩むものなり
です。
ドラマが描く世界感は、前回に続いて難しい問題だと思いました。仕事の目標を達成することは素晴らしいことですし、給料を得るためには必要なことです。CFD社員の様子はこれにとりつかれ、一種のカルト教団的な雰囲気を出していました。言葉や態度で自信を鼓舞しても、体や心は徐々に消耗するものです。高度成長期やバブル期は「働いた分だけ見返りが期待できた時代」でした。しかし、低(安定)成長時代にあっては、長時間働くことは無意味になっている、と考え方を替える必要があるということでしょうか。
今回も見ごたえがありましたので、ご覧になっていない方は無料配信でご覧下さい。
Posted at 2018/06/01 00:49:42 | |
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