フジテレビ系毎週土曜日午後11時30分頃から放送される、「大人の土ドラ」枠は、他の時間帯のドラマとは異なる期で放送されており、もう夏期(?)作品が放送され始めました。今期は、「団地」を舞台にした「限界団地」が放送されます。私はこのドラマを、予備知識なしに見始めました。見始めて40分間くらいまでは、「お年寄りや収入が低い住人ばかりになってしまった団地を、主人公の寺内さん(佐野史郎)が奔走し、再生するヒューマンドラマだとばかり思っていました。しかし、40糞を経過する頃からストーリーの異変を感じ、最後には戦慄を覚えざるを得なくなりました。
舞台は、かつてニュータウンと呼ばれた郊外の団地です。主人公の寺内(佐野史郎)は、息子夫婦を火事で亡くしていた。その1年後、孫の穂乃花(渡邉詩)と共に、かつて自身が育ったあやめ町団地に引っ越してきた。
引越し後、近所に挨拶をしたり自治会に出席したりして、住民に馴染もうとする寺内。住民は、お向かいの桜井夫妻の他は、お年寄りばかりであった。住民の中には、寺内自身が子供だった頃に大人だったヨダさん(小松政夫)や、アルコール中毒ジジイの松本さん(?)などがいた。
寺内は、住民同士のつながりを緊密にし、緊急事態に備えるために持病などを書いて共有するカードの記載と回覧板の復活を提案する。そして、妻を亡くしていたヨダさんには手料理を届けた。ヨダさんは亡き妻の手料理を思い出し、「もう生きていたくない。妻に会いたい。」と泣き崩れてしまう。また、松本さんには一升瓶を持って訪問し、打ち解けようとするのであった。
一方孫の穂乃花は、学校で戸建て住宅に住む男の子をぶってしまっていた。男の子の母親は寺内のもとを訪れ、「もううちの子と遊ばせないで欲しい。」と文句を言うのであった。また、松本さんと親しくなろうと手紙を書くのだが、その場で破り捨てられてしまう。
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ここまでは、主人公が奔走して団地のために働くドラマの第一話として、よくある設定だと思っていました。主人公を逆境に追い込み、いろいろな事件を描いては、少しずつ寺内さんと住民の距離が近づいてくお話のプロローグです。例えばヨダさんならば、ほかの住民の手助け等をするうちに生きる喜びを見つけ、松本さんは穂乃花ちゃんとの交流で酒をやめる決意をし、戸建て住民族と団地族は交流を始める、という展開を予想していました。
しかし、40分経過後から急展開します。
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数日後、自治会費集金のためにヨダさんの家を訪れた桜井婦人は、首をつって変わり果てた姿になったヨダさんの姿を見つける。また、松本さんの家からは数日間に渡って水が流れる音がしており、自治会長と住民は中に入る。彼らは、浴槽で死亡して数日が経った松本さんの遺体を見つける。また、戸建て住宅の男の子の家は、全焼してしまう。
その夜、幽霊が出ると噂されている団地の一室に入る、寺内の姿があった。
以上。
ハートウオーミングなお話だとばかり思っていた私は、場面の展開に戦慄を覚えるとともに、背筋が凍りつきました。「団地、独居老人、孤独死」と、異様な行動が出てきた寺内の姿に、寒気を感じます。かつて「冬彦さん」で世間を騒がせたことがある佐野史郎氏ですが、ここ何十年もの間、「エネルギッシュで活動的な上司」役が続いていただけに、この役柄に驚きを感じます。
まだ第一話、第一話の無料見逃し配信もあります。梅雨の暑苦しい時期の清涼剤(?)として、ご覧になってはいかがでしょうか?
おまけ
ヨダさんが古い写真を漁っていると、ヨダさんが新車を購入した時の写真が出てきました。最初はT50型コロナHTだと思いましたが、よく見てみたらS120型クラウンのセダンでした。昭和58年から62年までのモデルです。まだまだこの前のことであり、S120型クラウンの写真でセピア色というのには、違和感を感じます。団地全盛期とも言えません。
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Posted at
2018/06/05 00:01:21