前回、「Aピラーを車体側コネクタから外す方法」を解説しましたが、その場合、特殊工具をもちいなければかなり難しいという事をお話ししました。そして、特殊工具がない場合にはピラー側コネクタを外す方法もあるという事をお話しました。
ただし、このピラー側コネクタの外す方法もコツが必要です。
というのも、このコネクタ、テザーコネクタというのですが、C-HRの場合、30系プリウスの時代と比べて進化しているというか、外しにくくなっているのです。
これは、30系プリウスのテザーコネクタです。
図下は車体側に挿さっていると考えて下さい。上の突起がピラーに開口している長方形の枠に挿さっています。靴型(Y字型)の突起が、長方形の枠に垂直に挿さっていて、そのまま引っ張ると、突起が引っかかって抜けない構造になっています。
これはピラー側から見た図です。靴型(Y字型)の突起が長方形の開口部の中に垂直に挿入されているため、そのまま引っ張っても抜けない構造になっています。
これを抜くには、突起部を含め、全体的に90°回す事によって、先端のY字型の部分を枠に平行になるようにしなければなりません。
Y字型の部分が枠に平行になれば、抵抗なく突起を抜く事が可能になります。
これは実際に30系プリウス(長男の車)で抜いていたところです。
このように、ピラー側には山型の台座があり、台座に長方形の開口部が設けられていて、そこにテザーコネクタが挿入されています。テザーコネクタの先端部を90°回す事によって、引き抜くことができます。
30系プリウスの場合、この構造が1カ所しかありません。先端の構造も比較的シンプルな形なので、引き抜く事は比較的簡単でした。
それに対して、
C-HRではこの構造が2カ所になっていて、さらにテザークリップの構造もより複雑になっています。
これはC-HRのテザーコネクタがA-ピラーの枠に挿さっている所を写真にとったものです。
手前側は車両に挿さっている部分です。枠の下側右に、突起が見えると思います。
テザーコネクタを引っ張った場合、山型の枠にセットされたクリップが外れますが、内側の突起部分との間に細長い部分があり、ピラーを開く事はできても、内側の突起がひかかってピラーが分離する事はありません。
これは、
事故などでエアーバックが開く場合に、Aピラーが完全に分離しなくてもエアーバックが広がるように設計されているためだと思います。
C-HRのピラー内側の突起部分は、30系プリウスとは違って、突起が2重構造になっています。近位部と遠位部に二つの長方形の突起があり、遠位部の突起は近位部に対して直角になっています。
これを見ると、テザークリップが引っ張られた場合、近位部の突起はそのまま開口部を通り枠から外に出てきますが、遠位部の突起が枠にひっかかって抜けないという構造になっています。
別方向からみた写真です。
そして、特徴的なのは、近位部の突起の下側(写真では突起の右側)の両サイドに羽状の突起がついている事です。
これは、テザークリップを外側からひっぱりだそうとしている所です。
30系プリウスの場合、テザーコネクタを外側に引っ張り出した状態で容易に90°回転させる事ができました。
しかし、C-HRの場合、この近位部突起の下についている羽状突起がじゃまになってそのままでは回転させる事ができなくなっているのです。
ではどうすれば、このテザーコネクタを引き抜くことができるようになるのでしょうか?
これはその状況をイラストにしたものです。
クリップを抜くためにはまず近位部の半月状の突起を長方形の枠に沿ってまっすぐ引き抜いた後、下の四角柱の突起を長方形の枠に合わせるために全体的に90°回転させなければなりません 。
しかし、近位の半月状突起が抜けても突起の下についている羽がじゃまになって90°回転させる事ができません。
それでどうすればこの突起を90°回転できるようになるか、色々試してみたところ、図のように、全体的にコネクタを傾け、羽の片方だけを枠から引き出すようにすると、コネクタを回転させる事ができる事がわかりました。
そうして、テザーコネクタを90°回転される事ができれば、遠位部の突起が、長方形の枠と平行になり、枠にひっかかる事なく引き出せるようになります。
実際のピラーで行っているところです、この操作は素手でやるのはきついので工具を用いてください。工具といっても前回のような特殊工具は必要ありません。通常のラジオペンチで十分です。
まず、テザーコネクタをまっすぐひっぱって、近位部の突起を引き出します。
その後、近位部の突起を傾けて、片側の羽を枠の外にでるように浮かせて下さい。
片側の羽を浮かせた状態で突起の根元をしっかり把持してください。
こうすればコネクタを回転させる事ができます。(右下)90°コネクタを回転させる事ができれば、抵抗なくコネクタを引き抜くことができるようになります。
これは実際の車両でおこなっているところです。
最初はコネクタをまっすぐ引き抜き、近位部の長方形部分を引き出します。
その後、近位部の突起を傾けて、片側の羽を浮かせるようにします。
片側の羽を浮かせた状態で、近位部の突起の根元をラジオペンチで把持します。
その状態でテザーコネクタを回転させていきます。
近位部突起を傾けて、片側の羽を浮かせた状態でテザーコネクタを90°回転させていってください。
90°回転したらゆっくり引き抜きます。
ラジオペンチで把持している部分が近位部の突起です。
下の遠位部の突起が引き出されてきたのが見えます。そのままゆっくり引き抜いて下さい。
完全に引き抜く事ができました。
ピラーを戻す場合は、テザーコネクタを台座にセットしてから位置合わせをすると、簡単にコネクタをはめ込む事ができます。
取り外しの状況は動画でもご確認下さい。
以上、「C-HR Aピラーの二通りの外し方 (II) ピラー側コネクタを外す」でした。この方法だと、特殊な工具がなくても、ラジオペンチなどの工具があれば誰でもAピラーを簡単に外す事が可能になります。
これからAピラーを外す必要があるDIYを行う予定がある方は参考にして下さい。
C-HR FANの過去の投稿リストはこちらです。
C-HR FANの投稿リスト8 (2019-04-18~)
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2018/04/28 07:21:02