なんの脈絡もなく、突然のメルセデス・ベンツについてのお話w
今日、私の前を走っていたメルセデスML(W164)の、ブレーキランプ(制動灯)の点灯の仕方がおかしなことになっていました。
右側は正しいブレーキランプの位置が点灯していますが、左側は尾灯/リアフォグの位置が点灯しています(黄色円で囲んだところ)。
なぜこんなことになっているかというと……
左側のブレーキランプが球切れを起こしているので、臨時に尾灯/リアフォグをブレーキランプとして点灯させているから、です。
(この型のメルセデスは、尾灯とリアフォグランプは兼用でこの位置です)
この機能、地味だけどとても便利、というか安全性を考えているなと感じます。
球切れになったランプは当然点灯しません。今回のように球切れを起こしたのがブレーキランプだった場合、ブレーキを踏んで減速あるいは停止していても無灯火の危険な状態になってしまい、追突のリスクが高まります。
ですが、臨時に周辺のランプを代用点灯させることにより、無灯火状態になることを回避しています。
メルセデスの場合、ブレーキランプ以外にも
・リアのウインカーが球切れしたら→代わりにバックランプ(後退灯)を点滅させる
・フロントウインカーが球切れしたら→フォグランプを点滅させる(フォグランプ装着車の場合。非装着車はその他のランプを代用する場合あり)
・尾灯が球切れのとき→ブレーキランプを減光して点灯(ブレーキを足踏した場合はブレーキランプとして点灯)
などなど、近場の灯火を代用してくれます。
もちろん球切れ表示灯(インジケーター)も点灯するので、ドライバーは球切れを認知することができます。
さすがはメルセデスと思わせる、素晴らしい機能です。
こういった安全性に関することは、他メーカーもどんどん取り入れていってほしいと思います(私はメルセデス以外でこの機能を取り入れているメーカーを知らないのですが、あるんでしょうか?)。
ただし日本の場合、ヘッドライトは白色(黄色)・ウインカーはオレンジ色(黄色)・ブレーキランプは赤色・バックランプは白色と、(少なくとも現在では)厳格に決められ運用されているので、代用ランプを光らせても「意味が分からない」とか、誤解を招く可能性もないとは言い切れないので、当たり前ですが早めに修理・交換しましょう。
メルセデスつながりで、もう一つ……。
有名な話しですが、かつてのメルセデスのテールランプには凹凸がついていました(W126のテールランプを見ていただくと分かりやすいと思います)。
これは、テールランプに泥や雪などの汚れが付着しても視認性を向上させる為のものでした。
これは私がWRXに乗り換える前に乗っていたCクラス(W203)です。
この頃になると、かつてのような大袈裟な凹凸はなくなっていますが、それでもまだ微妙に凸凹しています(赤い部分に対してクリアの部分が若干へっこんでいる)。
テールランプの凹凸がメルセデスのアイデンティティーにもなっていたんですね。
更に時代は最近になり、写真はAクラス(W176)。これは代車で数日お借りしていた時のもの。
もうこの年代になると、テールランプの凹凸は一切ありませんね。
メルセデスのアイデンティティーともいえるテールランプの凹凸ですが、私が思うに、二つの理由があるのではと思っています。
一つ目はシンプルに道路事情が良くなったから。昔に比べて舗装路が増え、綺麗な道路が増えた為、コストのかかる凹凸処理をやめたのではないでしょうか(とはいえ海外の道路は、日本の道路に比べて未舗装路は多いし劣悪な舗装もまだまだ多い)。
デザインの面でも、凹凸に縛られない自由なスタイリングを創ることができるようになります。
二つ目は、一時期の悪いイメージを払拭する為。
90年代~00年代あたりのメルセデスはコストダウンが顕著であり、極端に品質が落ちた時期がありました(私が乗っていたW203の世代)。
グローバル化が進む中、メルセデスは生き残る為に、コストダウンを行い利益の向上を図り、多様なユーザーを取り込もうとしました。
しかしこれは大失敗で、コストダウンがそのまま劣悪粗悪な品質となって表れてしまいます。見たらすぐに分かるチープさ、すぐ壊れる信頼性の低い部品。
結果、ユーザーの多様化に応えるどころか、既存のユーザーまでをも失うことに(W163のMクラスはその品質のあまりの低さに「アラバマ・メルセデス」と揶揄されていました。詳細はWiki参照)。
“Das beste oder nichits”(the best or nothing/最善か無か)を社是として掲げるメルセデスとしてはあってはならない事態に、改善に取り組みます(私の乗っていたW203は後期型だったので、多少の手直しが入っていて前期型よりは大分品質は向上した)。
上記のような経緯があり、こういった悪いイメージを払拭するために敢えて「テールランプの凹凸」というアイデンティティーを捨てたのではないか、と私は思っています。
欧州の、特に老舗のメーカーは品質はもちろんですが、そのイメージやアイデンティティーをとても大事にします。それがそのままそのメーカーの歴史・伝統だからです。
これが顕著に出るのがフロントマスクで、メルセデスの場合は「エレガンスグリル」と呼ばれる、肋骨のようなグリル。BMWでは言わずもがなキドニーグリル。アルファ・ロメオの逆三角形をした楯型グリル等々。
欧州の老舗メーカーにとって、積まれてきた歴史(スタイリング美学)を捨てる言うことは、並大抵のことではないのです。
長々と書いちゃいましたが、本当のところは分かりませんけどねw
そんな大仰なことじゃなく、単純にデザインの都合でなくなっただけかもしれませんしw
世界には沢山の自動車メーカーがあるので、安全性の面に関してはどんどん良いものを取り入れていってほしいと思います。
ちなみに私は、アメ車のようなブレーキランプとウインカー/ハザードが兼用のランプや、赤いウインカーが大好きです!
=おしまい=