ユーザーはオリジナルを選ぶのか?自動車メーカーにとってOEM車を発売する意味とは?

2019年12月3日

クルマイラスト

同じクルマなのに車名が違い販売している会社も違う。そんなクルマが存在していることを知っていますか? 例えばスズキのエブリイはマツダ、三菱、日産でOEM車として販売されています。いってみればライバル会社が作っているようなクルマをなんで販売しなければならないのでしょう? そこには自動車が持つ特殊な商品性があります。

ところでOEMって何?

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OEMとはOriginal Equipment Manufacturerの略で、相手先ブランド名製造などと訳されます。これをスズキ・エブリイとマツダ・スクラムの関係でみると、スズキはスクラムの名前で製造するということになります。実際は部品のいくつかをマツダのマークの入ったものを使い、ボディに取り付けられるバッジを付け替えるだけですが、システムや書類上は、相手先ブランド名で依頼を受けて製造するということになります。

自動車の世界ではOEMを純正装着という意味で使うこともあります。もっとも使われるのはタイヤで、新車で工場出荷時に装着されているタイヤをOEMタイヤと呼びます。多くの場合、新車装着のタイヤはそのクルマ用に独自のチューニングが施されています。同じ銘柄のタイヤであっても、一般的なタイヤショップで店頭に並んでいるタイヤとは中身が異なるというわけです。もちろん、純正装着されているOEMタイヤも購入は可能ですが、一般的なタイヤよりは割高となっています。

ではなぜ、OEM車を売るのか?

総合自動車メーカーといっても、すべてのジャンルのクルマをカバーしているわけではありません。しかし、ディーラーにクルマを買いに来るお客さんはさまざまです。例えばマツダのディーラーにマツダ2(旧デミオ)を見に来たお客さんが、「やっぱり軽自動車にしよう」となったときに、マツダディーラーで軽自動車を扱っていなかったらそのお客さんは別のディーラーに行ってしまいます。
また、ファミリア、カペラ、アテンザと乗り継いでくれたお客さんが軽自動車に乗り換えるときに、別のディーラーにお客さんを取られてしまいます。さらに、軽自動車を製造していないメーカーの従業員が軽自動車が欲しいときや、関連企業が軽自動車を使いたいときも困ります。そうしたときにOEM車が存在し、需要をカバーしてくれるのはとてもいい事なのです。

買う側のメリットは?

仕事上の付き合いがあるとか、そうしたしがらみが無いのであれば果たして買う側にはメリットはあるのでしょうか? 例えば、ずっと同じディーラーからクルマを買っていて、気心も知れている、整備などについてもよくやってくれている、など、同じ店から買いたいという人にとっては嬉しいことです。OEM車がなければ、欲しいクラスのクルマが買えなかったり、ディーラーを変えなければならないからです。

また、自宅の近くにあるディーラーがOEM車を扱っている時も、そうした恩恵を受けることになるでしょう。クルマは整備を行いながら乗るものですから、近くにディーラーがあるメリットはかなり大きなものとなるでしょう。さらにそれが徒歩圏ならば、メリットの大きさはかなり大きくなります。

デメリットとしては、違うメーカーのクルマは違う思想で作られているので、整備に時間がかかったりする可能性があるということです。メーカーが同じだと、ちょっとした部分でも同じ思想があり、それが共通性となっていることがありますが、メーカーが違うとそうした部分でメカニックが戸惑うこともあるでしょう。しかし、現代のようにマニュアル化されている中ではさほどの心配は必要ありません。


(諸星陽一)

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