2021年11月から新型車の自動ブレーキが義務化。ユーザーへのメリットは?価格は?

2020年9月3日

自動ブレーキ義務

新聞やテレビなどの報道によれば、2021年11月から発売される新型車については、衝突軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)の装備が義務化されるといいます。これによりはたしてユーザーはどのようなメリットを受けるのでしょうか? またデメリットや価格アップはどうなるのでしょうか?

なぜ衝突軽減ブレーキが義務化されるのか?

自動ブレーキ

自動車は年を追うごとにどんどん動力性能や運動性能が向上しています。それと同じように、安全装備についてもどんどんその性能を向上しています。安全装備はシートベルトや衝撃吸収ステアリングコラムなどの今では当たり前になり、とくに装備されていることがカタログに明記されないようなものから、スタビリティコントロールなどの電子制御系のものまで数多くあります。シートベルトや衝撃吸収ステアリングコラムなどは衝突事故時の衝撃軽減、スタビリティコントロールはスリップ事故の軽減などが主目的です。

こうした装備が取り付けられるようになった背景には、衝突事故での死亡率や重率が高い、スリップ事故が重大事故につながるなどといったことがありました。今回の衝突軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)の義務化には、高齢者のペダル踏み間違いなどに代表されるペダル操作ミスが問題になってきたからです。

どのような自動ブレーキが想定されているのか?

義務化される自動ブレーキについては、市街地走行などでの衝突を軽減することをおもな目的にしています。高速道路での自動ブレーキが否定されるわけではなく、一般道でのブレーキが必須とすると考えればいいでしょう。

クリアしないといけない試験内容は、6歳児相当のダミー(身長115cm)の横断に対して30km/h(軽トラ20km/h)で衝突しないこと、静止している車両に対して40km/h(軽トラ30km/h)で衝突しないこと、20km/hで走行している車両に対して60km/h(軽トラ50km/h)で衝突しないことが求められています。

自動ブレーキ標準化のメリット、そしてデメリットと価格アップは?

最高のメリットはなんといっても事故率の低下でしょう。スバルはアイサイトの搭載によって追突事故発生率が84%減少し、歩行者事故発生率が49%減少したと発表しています。効果は明らかなので、装着時のメリットは確実にあります。

また自動ブレーキが装備されるとセンサーがACCにも使うことが可能になるので、ACC装備のコストを落とすことができます。そうした部分でのメリットも大きいといえます。

気になるのはコストアップですが、乗用車では現状でも装備しているクルマが多いので、あまり価格アップはないと思います。また装備車が増えれば量産効果はさらに上がりますので価格が下がることも期待できますし、数が増えれば製品の性能アップにも拍車が掛かることでしょう。ただし、従来は装備されなかった軽トラックなどでは価格アップは必須でしょう。とはいえ、装備により人命が救われる可能性があるなら、それは歓迎すべきですし、受け入れるべきでしょう。

諸星陽一
  • 諸星陽一
  • 日本自動車ジャーナリスト協会(外部リンク)
  • 自動車ジャーナリストとして専門誌やライフ誌での執筆活動をはじめ、安全運転のインストラクターも務める。1992年~99年まで富士スピードウェイにてRX-7のレースに参戦。セルフメンテナンス記事も得意分野。福祉車両の数少ない専門家の一人でもある。

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