
「
i-DMモデルをG-Bowlで捉えるメリット」
の続きです。
減速/加速を伴う旋回の応用としてS字コーナーの
加速度変化とi-DM判定を考えてみます。
i-DM3rdステージの頃、ワインディングを走ると
S字コーナーの切り替えでよく白点灯させました。
「次のコーナーへの備えが出来てない」そうです。^^;
具体的に何がダメでどうすれば良いのか。
ご存知の方には当たり前でも、知らない人や i-DMと格闘中の人は案外、同じ悩みを
抱えているかも。解決のヒントになれば幸いです。^^
S字コーナリングを想定
前回の減速/加速を伴う旋回の発展として、S字コーナリングを想定します。
・直線路〜緩和区間1:40km/h → 16km/h へ減速しつつ進入(減速G 最大0.2G)
・緩和区間1〜2:16km/hで前半の旋回(最小半径10m、横G 最大0.2G)
・緩和区間2〜3:16km/hで後半の旋回(最小半径10m 横G 最大0.2G)
緩和区間2〜3の接続ポイントが今回注目するS字コーナーの切り替えです。
・緩和区間4〜直線路:16km/h → 40km/h へ加速しつつ脱出(加速G 最大0.2G)
この時、G-Bowlアプリのボール軌跡(実は加速度)は図の様な8の字に回ります。
現実には、前後/左右の加速度変化が緩和区間で重なり合うので、もっと丸みが
ある8の字です。ここでは加速度の想定を単純化したので角が立ってます。
この時、G-Bowl(実物)のボール運動軌跡は… 描き込むのが面倒で省略。^^;
前回の様に、加速度変化率が大きい付近で、遅れやオーバーシュートが生じて、
加速度変化に対して揺れます。グラフには推測で運動位置を描きました。
想定したS字コーナリングの加速度変化とボール運動のグラフ
注目するのは緩和区間2〜3にかけて切り替えポイントの付近。(黄緑の破線領域)
緩和区間2の最後で、横G(緑)を0Gへ滑らかに収束した後、緩和区間3の横G(緑)が
滑らかに立上がります。ヨー(紫)も同様です。S字コーナリングが前半から後半へ
切り替わるポイントでヨー(紫)が0に収束します。
横G(緑)・ヨー(紫)が一旦0に収束することで、ボール運動の揺れを抑制してます。
では、前半/後半の切り替えで、横G(緑)が滑らかに0Gへ収束せず、直線的に変化
するようなハンドル操作をした場合のグラフを想定してみます。
S字コーナリングで白点灯する加速度変化とボール運動のグラフ
横G(緑)とヨー(紫)は0に収束せず横軸(0G)を突き抜けるように変化するので、
ボールはその変化に引っ張られて横軸(0G)を速い速度で突き抜けて移動します。
例えると、ブランコを最下点で振り抜くような運動です。
こうなると、次の判定ポイントでボール運動速度が速いため(運動エネルギー大)、
i-DM判定マップ(走行タイプ1:Fig.8)にプロットすると移動速度が大き過ぎて
Rough:白判定になってしまいます。
つまり最初のグラフが正しい操作、次のグラフが白点灯するダメな操作に対応します。
加速度のグラフで正しい操作とダメな操作の違いを見ましたが、具体的に操作方法は
どう違うのか? ダメな操作の走行軌跡はどう違うのか?
S字コーナリング切り替えポイント付近のハンドル操作イメージ
・緩和区間2はハンドルを右に切った状態から直進へ戻し中。(前半コーナーの終わり)
・緩和区間3はハンドルを直進から左へ切り込み中。(後半コーナーの始まり)
正しい操作:切り替えポイント付近ではゆっくり回し、横Gとヨーを収束させます。
ダメな操作:ハンドルを右から戻す操作と左へ切り込む操作を一定ペースで続けます。
一見すると、ダメな操作の方がスムーズにハンドルを回しているように見えるかも。
車体が左下がりのロールから復帰する勢いのまま右下がりのロールを始めます。
ブランコを振り抜く動きに例えたように、身体が左から右へと速く振られます。
つまり正しい操作をするためには、前半コーナーの終わりで横Gとヨーを直進状態に
安定させてから、後半コーナーへ向けてジワリとハンドルを切り込み始めます。
タイトなS字コーナーをオーバースピード気味に旋回すると、切り替えで収束させる
間もなく、後半コーナーへと切り込んで揺れが大きくなる。当たり前のことですが。
似たような場面は加速/減速にもあります。発進加速で青点灯したものの、不意に
前車が減速、車間が詰まってブレーキを踏む時。後ろ荷重から中立へ戻り始めの所、
ブレーキで一気に前荷重となり、ボールは中立点を勢いよく振り切って白点灯です。
ところで、ダメな操作の時の走行軌跡ですが、図に描いても違いは分りにくいです。
切り替えポイントでハンドルを一定速度で回し続けても、見た目には緩和区間2〜3
の接続はきれいに接線で繋がります。例えばクロソイド曲線で繋いだ場合です。
つまりS字コーナーのコース形状はクロソイド曲線で滑らかに繋がっていても、
緩和区間への出入りはジワリゆっくり旋回しないと、横G・ヨーの立ち上がりが
急になって揺れます。早めの操作、次のコーナーに備えたヨーの収束が必要です。
G-Bowlグラフでは、横Gの負の範囲は横軸で反転して絶対値表示としているので、
左右切り替えの繋ぎの良し悪しが分りにくいです。なので、ヨー(紫)の変化が横軸に
接して収束するか、突き抜けているかで判別すると良いでしょう。
今回のS字コーナリング想定から、理想的な加速度の立ち上がり/下がりと維持が
できれば、進入から脱出まで、青点灯しっ放しが可能ということですね。
旋回半径と速度域が合う場合に、ですが。しかし、私にはとても無理そう。^^;
短い周期のスラローム走行が効率良く? 白点灯を連発するのもよく分ります。
左右の切り替えで直進に収束させずに、一定ペースでハンドルを回し続けると、
横Gの変化に引っ張られて、ボールの揺れが左右に振り切れます。^^;
要するに、効率良くコップの水をこぼす運転ですね。