素材

　全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト｢YOMIURI ONLINE｣の配信記事から『夢のエコ素材、実用化へ…軽くて鉄の５倍の強度』に注目。


　実用化に至った暁には、世界経済の大転換をもたらすイノヴェーションに化けると感じた次第。
　中東を始めとする産油国およびオーストラリア・中国などの鉄鉱石産出国にとっては、｢破壊的｣な衝撃として受け止められるかもしれない。

　何せ間伐材や稲わらを原料とするマテリアルで高度かつ高性能な工業製品を製造できるなら、石油・鉄鉱石の需要は大きく減退し価格が暴落。これら資源輸出に依存していた国々は経済が立ち行かなくなり、存亡の危機に陥りかねない。
　


　稲わらが原料になるのであれば、当然に麦の茎や葉も活用できよう。
　食糧増産がすなわち、｢ナノセルロース｣の原料増産と直結するわけで、バイオエタノールのような競合は生じない。

　一方で軍事転用が進み、極めてステルス性の高い戦闘機や、機雷・ソナーに反応しない艦船、金属探知機で検出できない武器・銃火器が生産され、世界を戦禍に巻きこむ懸念も生じてくる。少なくとも民生用に用いる素材は、かならず金属を混和して探知できるようにする等の対策が必要になるものと思われる。


　そして最大の懸念は、製造および製品化のノウハウを、他国に盗まれることである。
　暗躍する産業スパイから新技術の情報を如何にして護り通すか、実用化の見通しがついた段階で素早く世界中で特許申請ができるか、また特許侵害に対し実効性のある対抗策を取れるかが勝負となる。



　日本国内でも｢鉄は国家也｣とまで言われた鉄鋼産業や石油化学工業が衰退し、痛みを伴う産業構造の大転換に直面することだろう。それでも日本が｢資源貧国｣を脱し、｢資源自給国｣あるいは｢資源輸出国｣に変身できる可能性を見過ごす手はない。

　梅雨の晴れ間に仰ぎ見る、一筋の陽光の如き佳きニュースだった。