雑音

　全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト｢YOMIURI ONLINE｣の配信記事から、『田母神氏、訴訟費用に流用か…任意で事情聴取』を嗤う。


　同僚議員でもある妻の妊娠中、しかも臨月に至って不倫に奔ったゲス議員、口先で勇ましいことを述べながら、その裏で詐欺的な資金集めに手を染めた男色議員に続き、保守勢力で議席を志す者の醜い劣化が露呈した。


　昨年の早い段階から「事務所職員が個人的に流用していた」との説明を繰り返していたが、田母神氏本人も関与していたとすれば政治家以前に、元軍人としての人間的資質に大きな疑義が生じる。

　これが現役時代だったなら、武器や糧秣の横流しに手を染め私腹を肥やしながら、軍法会議 (彼らが忌み嫌う日本国憲法下では存在しないが) の訴追を免れんと部下に全責任を押し付けて、シラを切ったようなもの。
　まるでクーデターが頻発する政情不安定な途上国か、兵隊が威張り散らしている独裁国家の国軍司令官である。

　そんな軍人が、世界でも有数の装備とスキルを誇る空軍の指揮を執っていたこと思い返せば、文明的・経済的先進国たる日本の評価を、未開の国もしくは前近代的専制国家レヴェルへと貶め兼ねない、これぞ最大級の侮辱である。

　戦前の軍部暴走への反省から堅持されているシビリアン・コントロールに対し、立場を弁えず挑戦的・反動的な発言を垂れ流してきた田母神氏のこと。自衛官当時にも似たような公私混同を為していなかったか、追求できる範囲で検証が必要だろう。




　日本人の自虐史観を改めるだと？
　押しつけられた憲法を変えるだと？
　敗戦で喪われた誇りを再興するだと？

　そんな大言壮語は、浮気をせず子育てに勤しみ、詐欺的かつ破廉恥な行為を反省し、使い込んだ政治資金を全額弁済してから述べたまえ。
　それが完遂されるまで、私は上記主張を単なる雑音と看做し、一切聞く耳を持たぬ。
　

　
　また、更に下らない言い訳を弄した末に、獄窓を騒がすくらいなら、この瞬間も粛々と任務に就く現役自衛官の面目を保つためにも、元軍人として潔く腹を召されては如何か。

　金にルーズでも志だけは高潔なりや、桜の如く散り往くは見事とはらはら落涙を誘うか、はたまた傷口から腹黒さが止まることなく溢れ出て、余りの穢さに辟易されるかは与り知らぬ。

　いずれにしても私は、この国の良識が振り降ろす刀を以て介錯されるザマを、冷笑とともに見届けよう。