洗濯機と歯みがき粉なのである

ラジオで昭和の生活の話をしていた。

「洗濯機にローラーが二つついていて、それに洗濯物を挟んで！手回しローラーで搾っていたんだよなあ」



そこで思い出したことがある。
アポロが月面着陸した年に、凄い歯みがき粉チューブのコマーシャルが大量投下された。
確かライオンのホワイト&ホワイトだったと記憶している。

初のラミネートチューブの製品で「最後まで無駄なく使える」という触れ込みだった。
そのTVCMの中のワンカットにホワイト&ホワイトを壁にかけた小さなローラーに挟めて絞って使うシーンがあったのだ。


それをみた俺に衝撃が走った！

しまった！
そんな使い方がローラーにあったのか!!
うちの洗濯機で出来るじゃないか！
かっくいい！
TVと同じなんてかっくいい!!


早速、自宅にあった歯みがきチューブでやってみることにした

当時の歯みがき粉チューブは柔らかい金属で、お尻から絞っていき、使った分だけ丸めて折るという使い方だった。


このまんまじゃローラーに挟めない。
俺は畳まれたチューブを伸ばしてローラーに挟んでみた。


TVCMのローラーは壁にかかっていて明るい色のプラスチック製でお洒落なものだったが、なんせこっちは洗濯機である。
ベコベコになった歯みがき粉チューブをデカイねずみ色のローラーに巻き込ませてハンドルを回すと、なんかお洒落とは程遠い歯みがき粉チューブを圧延しているだけの状況。

それでも手で絞ったよりも圧倒的に絞れたらしく、チューブキャップから予想だにしない量の歯みがき粉がブラシにキャッチしきれず床に落ちてしまった。

それでも、TVCMとにたことが出来たと喜んだ。

歯みがきチューブを取り出すのにローラーハンドルを逆転させると

にちゃあああ～ぁ

という聞きなれない音がした、と同時にクールミントな香りが非常に強くなった。


ローラーから、取り出したチューブには穴が幾つも開いていた

ローラーは歯みがき粉だらけだ。


こっぴどく怒られた俺



二日後、洗面台にはラミネートチューブのホワイト&ホワイトが刺さっていた

初めてのラミネートの感触。
未来がきた！

早速、ローラーに挟んでみた。
潰れても、すぐに元に戻るラミネートチューブ！



ホワイト&ホワイトは、その日のうちに無くなり、俺は、またこっぴどく怒られたのであった