雄飛

　全国紙・産経新聞が運営するニュースサイト「産経ニュース」の配信記事から、
　昨日付『【梶田さんノーベル賞】母校川越高校　「おー」大歓声　「努力の人。本当に良かった」』および
　本日付『「本当なのかと不思議な感じです」受賞一夜明け、笑顔の梶田さん』に注目。

　日本人が連日の栄冠……という以上の意味が、我が家にはある。
　私もOBの一人である、旧制中学から歴史を紡ぐ『六校』の一角、埼玉県立川越高等学校の卒業生がノーベル賞に選出されたのだ。
　これまでの授賞者二十有余名とは異なる、大きな喜びである。


　梶田先生の経歴を眺むれば、川越高校から埼玉大学へ進学されている。
　県立高校から地方の国公立大学へ進学するのは、かつての私を含め田舎に暮らす学生が辿る王道（ただし私はドロップアウトして私学に行ったが・笑）。しかし、そんな若者は余りに多すぎて、世間に埋没してしまうのが常だったように思う。

　進んだ先で着々と成果を重ね、東京大の研究所長まで昇り詰めただけでも凄いことなのに、更にノーベル賞の栄光にも浴するとは。衷心より祝意を捧げたい。


　併せて、学校ブランドに踊らされる愚かさ、進学・就職等の表面的な実績で一喜一憂する滑稽さを、辛辣かつ痛快に打ち砕いてくれた。
　どの学校に行くか、どこに就職するか、ではない。自分は何をしたいのか、目指すべき高みはどれなのか、その選択と決断こそが重要なのだ。




　梶田先生も親しんだであろう、格調高い川越高校々歌3番の歌詞は

　　　蛍に捜る鳥の跡
　　　　雪に尋ぬる文の道
　　　　　大和心に西の才
　　　　　　雄飛の翼養いて
　　　　高き誉を初雁の
　　　　　城址の月と輝かせ


とある。
　母校で養った「雄飛の翼」で世界へはばたき、科学分野を席巻した功績は望月の如くに麗しく輝き、今まさに学び舎に集う若者たちを、強く励ますことだろう。