川工

　全国紙・読売新聞が運営するニュースサイト「YOMIURI ONLINE」の配信記事から『単１形電池６００本の「電車」、最長距離を完走』に喜ぶ。

　
　先ごろOBがノーベル賞を受賞した埼玉県立川越高校の近く、埼玉県内の工業高校では最古となる107年の歴史を誇る伝統校・埼玉県立川越工業高校の電気科生徒が製作した乾電池駆動の電車が、驚異的な走行距離を記録した……という記事。

　天与も深き地元・川越の話題が全国紙掲載されて嬉しいのは勿論、友が通い、親類が教壇に立っていた学校の快挙であり、弊ブログからも改めて称賛の意を捧げたい。



　併せて、記録達成の舞台となった由利高原鉄道の対応に、地方鉄道の未来を見たように思う。

　由利高原鉄道では、川越工業高校のチャレンジに合わせ、昨日午後の列車2往復4本を運休とし、代行バスを走らせて「乾電池電車」のために線路を開放した。
　身も蓋も無い物言いをすれば、数時間列車が止まったところで地域社会・経済には何の影響もない長閑なローカル線だったからこそ、その状況を逆手に取って為し得たこと。

　しかしながら高度な公共性が求められる鉄道、なかんずく多額の税金が投入されている第三セクターが運営する路線において、定期列車を止めてまで秋田から遠く離れた埼玉の高校生が描いた夢を実現させ、協賛した電機メーカーの主力製品PRに一役買ったことは、非常に画期的な出来事と言ってよかろう。


　この度の快挙を水平展開していけば、例えば列車の脱線を伴うような迫力あるアクション映画のロケや、個人・民間所有の歴史的な保存車輌を観光目的で走行させるといった、従来であれば施設の破損や列車の故障・立ち往生に因る運行ダイヤへの影響が懸念されて実現しなかった、斬新な地方ローカル線の活用策が見いだせる。


　軌道設備を保有せず列車の運行だけを担う「第2種鉄道事業者」の参入要件を緩和して、様々な企業・NPO法人等が携われるようになれば、地域経済・観光開発の振興につながるものと考える。