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2019年06月23日

百分

百分  老舗有力経済誌・東洋経済が運営するサイト「東洋経済ONLINE」の配信記事から『日本の大学生が「%」を理解できなくなった理由~約2割が「2億円は50億円の何%か」解けない』に注目。

 日本の教育が危機的状況にあるのでは?との指摘は、粘着的な「日教組批判」に絡めて保守系メディアを中心に散見されるが、比較的リベラル寄りの東洋経済のコンテンツが目に入り、ついつい読み込んでしまった。

 因みにインタヴューを受けている芳沢光雄先生は、記事中に出ている通り祖父が外交官のトップたる外務大臣、曽祖父は反乱将校の凶弾に斃れた犬養毅首相、従妹に国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子氏というお家柄。
 ご本人も、慶應義塾幼稚舎(小学校)から慶應義塾高等学校まで進み、同級・同窓はほぼ全員が慶應義塾大を選択する中にあって、どうしても数学が学びたくて学習院大理学部数学科へ移った(当時の慶應義塾大に該当の学科が設置されていなかった)という、極めて珍しい経歴の持ち主である。

 その学習院大においても自ら学問の地平を切り拓き、学習院大創設以来一人も居なかった初の数学博士号を取得している。
 『何処で学ぶか』ではなく徹底的に『何を学ぶか』を追求した進路選択に、敬意を捧げずに措かない。

 2ページ目の経歴紹介に明記されているが、数学者として実績を挙げるのと並行して、いわゆる「ゆとり教育」の問題点を指摘し続けてきた。
 東洋経済のコンテンツ本文中に「ゆとり教育」の語は読み取れないが、内容は明らかに”反ゆとり教育”の急先鋒としての主張に立脚する。


 私自身は「ゆとり世代」の上に位置するが、一方で私大文系へ進学を志す途上で、数学の勉強をほぼ放棄してきた実態があり、日本の数学教育を劣化させてきた当事者の一人…でもある。
 そのバチが歳を重ねてから降り掛かり、資格取得に際して格段の苦労を強いられたことは、辛い記憶として我が身に刻まれている。

 コンテンツ中にもあるが、古典文学の最高傑作「源氏物語」の研究にも数学が応用(特定の品詞の出現頻度や文節の長短から、紫式部以外の作者が関与している可能性を探求)されている。
 学者レヴェルまで究めなくともよいが、一方であらゆる学問や日常の知的活動において、「数学的な思考」を採り入れねばならない。


 私自身は教育の専門家ではない(元・教育産業従事者ではあるが)ので、芳沢先生のご意見を拝聴するに留め論評は差し控えるが、日本の数学教育が制度の面からも質的な面からも、致命的・絶望的に劣化しているとの指摘は、恐らく当たっているのだろう。

 私としては学校教育の切り口だけでなく、学校外における活動や家庭内での会話の不足・希薄化が数学的能力の低下に影響しているものと考える。

 
 私の経験を思い起こせば、百分率を含む「割合」の計算と同じプロセスを踏む「確率」は、野球中継を見ていれば「打率」「勝率」等の数値で必ず触れる。
 速度・距離・時間の関係も、家族で鉄道旅行、或いはドライヴに出掛ければ、「200㎞先の目的地まで、時速100㎞で走り続けたら何時間で着くか」と親子で頭の体操をすれば、容易に血肉とできそうな気がする。

 当時、まだブラウン管だったテレビ画面に表示されるプロ野球中継の「.342」といった数字の意味を大人に尋ねれば、よくぞ訊いてくれましたとばかりに、熱心かつ親切に教えて貰ったことを覚えている。
 また、「速度警告音」がキンコンキンコン鳴り響く(=昭和末期まで存在した、時速105㎞を超えると作動する警報)自動車内で、リアルな疾走感を愉しみつつ、標識に示される目的地までの距離と到達時間の関係を、まだ幼い頭脳の中で反芻していた。

 つまりは、野球などのスポーツに触れる、自ら高速移動しながら時間と距離の経過を実感する……といった実体験の不足・希薄化が、本コンテンツで論じられている「%を理解できない大学生」を量産しているのでは、と分析している。

 
 そう考えると、居間に1台しかテレビがなく、しかも家長にチャンネルの主導権を握られ、家族で仕方なくプロ野球中継を観させられていた昭和の団欒風景が、はたまた目的地もルートも家長に一任され、妻子は行動予定を指示されるがままつき従うだけだった昭和の家族旅行が、実は子女の数学的素養の育成に直結していた……のかも知れない。

 仮にその分析が正しかったとしても、個々人へデバイスが行き渡り、誰もがパーソナルに情報やサーヴィスへアクセス可能な時代に至り、今さら「昭和の団欒風景」「昭和の家族旅行」へ回帰できよう筈もない。
 であるならば、学びを志す人(年齢・世代は問わない)は主体的に、スポーツで肉体を鍛練しつつ、勝負の行方に一喜一憂、時に遠くへ旅して、辿った道のりと費やした時間を顧みる……といった「実体験」を重ねることこそが、数学的思考の涵養を始めとした教育再生の大きな鍵となるのではと考える。



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Posted at 2019/06/24 22:32:28

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