一橋

　関西のスポーツ紙｢デイリースポーツ｣が運営するニュースサイト｢DailySportsOnline｣の配信記事から『チア衣装、学ランのまま楽器も兼任…独特すぎる一橋大応援団が話題』に注目。


　満を持して亥年にイノシシのエンブレムを復活させ、他校を寄せ付けぬ強さで春季リーグ戦を制覇、その勢いのまま明治大の優勝で幕を閉じた大学野球選手権から夏の盛りにかけては、私が愛して已まない大学スポーツの情報が枯れる時季。そんな中で触れる学生たちの話題は、母校でなくとも嬉しい。

　記事で紹介されている応援風景は、背景から我らが神宮球場と思われるので、恐らくは硬式野球部が所属している東都大学リーグ入替戦(4部優勝：一橋大対3部最下位：成蹊大)の様子だろう。



　学生スポーツへ日常的にアクセスしている者の視点としては、応援団(リーダー・チア・ブラスバンド)内部での兼任は、珍しいと云えばそうかも知れないが、「独特」とは思わない。

　前段で名を挙げた明治大の応援団は、部内での暴力問題でリーダー部が解散を命じられて以降、リーダー部の後継として応援指導班が再建されて後も暫く、団長はリーダーからではなくブラスバンドから出していた。
　また立教大や早稲田大では、リーダー部員がゼロ、または女性1人しかいない学年があり、当該学年が幹部に昇格する折に、やはりブラスバンドから好適な学生を移籍させていた。
　
　リーダーへ転籍した学生は、表舞台では楽器演奏をやめリーダーに専念していた者が殆どだと記憶しているが、東京六大学で初めての女性応援団長だった明治大の学生は、団長の専権であるエール交換の校歌を指揮する舞台以外では、ブラスバンドに混じって演奏していた。


　「野球を応援する」という文化を創造し、我が国に根付かせた東京六大学の応援団すら、人材不足に苦しむ状況にあって、他大学の状況は推して知るべし。
　かつ応援団の隆盛は、応援される側のスポーツ・チームの強さと深い相関関係がある。

　一橋大は、前身・東京商科大として東都大学リーグの草創期から加盟する古豪であるが、一部(但し二部制となったのは1940年以降)では最高4位で優勝無し、戦後すぐに2部降格して以降、駒澤大・青山学院大・国士館大など強豪校の加盟で浮上する機会を失ったまま4部まで落ちてしまった。
　4部リーグでは最多優勝回数を誇り、来季3部リーグ復帰を期して入替戦に臨んだものの、接戦の末に惜しくも敗れ(1回戦4-6／2回戦9-11)4部残留となった

　なかなか一般学生の動員は望めない中(記事中の動画でも、アングルの問題かもしれないが一般学生は1人も映っていない)、最後まで応援を捧げ続ける応援団のご苦労は察するに余りある。

　しかし、応援すべき対象は、野球だけではない。
　学内で三大体育会とされるアメリカンフットボール部「CRIMSON」(関東学生二部※)／ラクロス部「SERPENTS」(関東学生1部A)／端艇部など、歴史を誇り実力に漲るチームの背中を、力強く押さねばなるまい。
　リーダーテクに、ダンスに、楽器演奏に、互いのポジションを補い合いながら、リーダー・チア・ブラスバンドからなる伝統的な体制を維持し続ける一橋大学応援団の心意気を、衷心より讃えるものである。

※関東大学アメフト1部リーグ16校は、TOP8／BIG8(実質的には2部)に別れる。一橋大が属する2部は、その下部(実質的には3部)リーグ。



　
　国立大の雄として、いつか夏の大学野球選手権、秋の明治神宮大会で、エールを交換したいと願う。

　学生注目！