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　寒稽古が終わった後は、道着を脱いで通学の準備をする。
　道場までは我が子だけとの道行きだが、帰りは同級生2名を追加で乗せ学校まで送り届ける。

　小さくたって、空手の世界では立派な戦士。世界各地の戦場を駆け抜けてきたゲレンデの搭乗員となる資格は、十分に備えている。

　学校の勉強も頑張れよ。
　早起きが過ぎて眠くなるなよ。
　そして、寒稽古が終わるころには、もっと強くなっていろよ。

　在京キー局・日本テレビが運営するニュース動画サイト「日テレニュース24」の配信コンテンツから『「歯がない人」抑うつリスク１．２８倍に』に注目。

　
　高齢になっても自らの歯を保っているか否かと、抑うつ状態に陥るか否かに、有意な相関関係が認められた……との研究発表。

　なるほど人生の楽しみとしての食事を、存分に摂れるかどうかで精神状態に大きく影響することは、研究者でなくとも容易に想像できる。
　十分に咀嚼することで脳への血流が促進され、痴呆症や脳血管障害の予防につながるとの指摘もあり、栄養状態を常に高く保つことと併せ健康を護る基本なのだろう。


　一方で、記事中でも会食を通じて社会参加を果たしている点を理由として挙げているが、同じようの社会的な観点から言えば、貧困層には口腔ケアが不十分な人が多い状況と、経済的に窮乏を極めた結果として精神病を患ってしまう事態が並進していることも考えられる。

　今回紹介された研究のように歯科・精神科・循環器科・脳外科など複数の医療分野が連携するのに加えて、無年金・貧困対策など社会福祉の分野も参画して、高齢者の健康を見守る体制を築いてもらいたい。



　さて我が身を振り返り、多忙を極めても、稀に体調を崩しても、職場で疎外されようとも、職責を果たしていられるのは、偏に「食いしん坊だから」と思い知るところである。

　もちろん、90kgになりなんとする巨体を維持する栄養を確保するだけにとどまらない。
　美味しい食事を口にすることで、憂さ晴らしができているから、今日も職場に赴けるのだ。

　今朝も暗いうちから起き出して、次男を空手の稽古に送り出す。
　でも昨日と違って、同伴するのは私と、ゲレンデ。

　山間地では大雪となった、ぐずつく天候の下、寒気と小雨を切り裂いてスクエアなボディが突き進む。


　途中、自宅から程近い県道交差点のど真ん中で、行く手を塞ぐ様な状態の4tトラック追突事故(交差点を直進できず迂回)／環状八号線・下高井戸付近で乗用車の追突事故(僅かに渋滞)／中原街道・桐ケ谷交差点でレクサスRXと軽自動車の衝突事故(まだ警察が到着する前で、当事者が血を流し現場に残っている状態)と、立て続けに3件もの交通事故に遭遇。これらの事故とは無関係の、緊急走行する救急車も3台見掛けた。

　悪天候下で連休中日の早朝……と来れば、事故発生のリスクが高いのは間違いなかろうが、偶然にしては怖いほどに遭遇数が多い。



　これもまた、私と愛車にとっての「寒稽古」なのだろう。
　お前の運転に隙は無いか、四方に気を張り巡らせているか、問われている気がする。

　いわゆる「四大流派」の一つ、松濤館流「空手道二十訓」に「敵に因って転化せよ(因敵轉化)」とある

　ドライヴ中のオーナー・同乗者の安全を脅かし、しかも刻々と変化する事態に、如何に柔軟かつ遺漏なく対処するか。
　滑りやすい路面、暗闇に沈む急カーヴ、見通しの利かない交差点、無謀なドライヴァー……。
　一たび道路に奔り出せば、無数の敵に囲まれながら、相手次第で策を変化させ、その全てを退けて無事に目的地へ着かねばならぬ。


　私とゲレンデの寒稽古は上々の成果を得て、時間通りかつ無事故で道場への道を往復してきた。
　しかし、稽古は一日で終わるものではない。
　明日はママが電車で同伴するが、明後日以降は連日の「寒稽古」となる。

　道を究めるのは、どの分野でも楽ではない。

　次男は今日から空手の寒稽古。まだ明けぬうちに家を出て、始発電車で隣県の大学キャンパスにある道場へ、ママを伴って向かった。

　見送る立場の私も駅まで付き合ったが、それにしても寒い。
　連休後半は天候が崩れ気味と聞いていたので、放射冷却が抑制され多少は暖かいかと期待したが、とんでもない。今季一番の冷え込みを記録したようだ。


　今日の私は、ボトムスに年末のセールで買ったレギンス、綿のハーフパンツを履いた上に、デニム地の長ズボン。トップスは、同じくセールで手に入れたアンダーアーマーのインナーにプラクティスジャージを着て、更に綿のラガーシャツを重ねた。

　アンダーアーマーのインナーは、若干ならずタイトだが着心地が良い。
　引締め効果が高いようで、最近は鍛練をサボっている私の上半身が、ウェイトをガシガシ持ち上げていた頃さながらに見える(笑)。
　レギンスも、ブランド物は高くて手が出ずPBの安価な製品だが、こちらもふとした瞬間に温もりを感じることがあって、体から発散された水分を吸収して発熱・放散しているようだ。


　それでも、家の中でじっとしていると寒くて仕方がない。
　床暖房やエアコンを効かせているので、凍えることはないが、衣服で覆われず暖房が直接作用しない手が冷え切ってしまった。

　生憎レギュラーコーヒーは在庫が払底しており、代わりにお茶や白湯をマグカップに並々注いで、手を温めながら過ごしていた。


　前記のような恰好をしているなら、寒中を懼れることなく外へ飛び出し、子どもたちと運動すべきだ……と思われるだろうし、私もそうしたい。
　さて子どもたちが戻って来るまで、天候がもってくれるかどうか。
　悴む手を熱いマグカップに当てながら、空を見て思案している。


　

　地方紙・長崎新聞の配信記事『オバマ大統領の折り鶴来崎』に注目。

　先だって被爆地長崎・広島を旅してきた我が家としては、非常にタイムリーな話題。
　ちょうど広島の原爆資料館で、アメリカ合州国・オバマ大統領閣下来訪時に寄贈された折り鶴の実物を見てきたところだ。


　広島に贈られた4羽のうち、1羽は秋口に長崎へ貸し出されて展示されていた(現在は既に返却)が、長崎へもオリジナルの折り鶴が届き、資料館での展示に供されれば、核軍縮と平和を祈念する人々の共感を集めることだろう。



　そのオバマ大統領の任期も、残り2週間となった。
　初の黒人大統領として就任した8年前の熱狂を、格調高い演説・スピーチの数々を、思い起こさずにいられない。

　一方で、2週間後に新大統領となるはずの人物は、ツイッターで野卑な言葉を垂れ流し続けている。
　被爆地自治体が毎年々々要請している、米国大統領始めとする国家元首・首脳の被爆地訪問も恐らくは黙殺されるし、むしろ「アメリカの核に護られているのはどこの国だ？」ぐらいの反撃を喰らう覚悟を、前もって心しておく必要があるかもしれない。
　

　とは言えアメリカは、格差や差別など多々問題を抱えつつ、自由・平等・権利といった民主主義の原理原則へ、厳格に忠実であろうとする社会である。
　2期8年の任期を満了してなお55歳という、麗しき若きリーダーの退場を惜しみ、4年後には再び在るべき方向への揺れ戻しが起きるものと、かつて政治を学んだ異国人(＝私)は確信している。