~ 寒冷地仕様 ~
……真夏の話題ではないですが、お友達とのコメントの交換で、ちとこの話題をとりあげようという次第です。
新車あるいは中古車を購入検討するときには、まずカタログをもらうと思います。
そのお車のカタログの中に
「寒冷地仕様」 というのが載っていますが、これは果たしてなにがどう違うのか、新車購入時にいろいろ調べて買う人はよほどの車の通で、普通ならそんなもの気にしないという方がほとんどではないでしょうか。
例えばダイハツの場合は、
たいがいの4WD車の場合は寒冷地仕様は標準装備で、2WDのみ新車注文時に製造工場で追加装備できる 『メーカーオプション』 となっていて、もちろん後付けは全くできないことになっています(2011年当時)。
ちなみにスバルのOEMでない自社製品は、すべての車種で? 寒冷地仕様になっていたりします。
で、ダイハツのカタログの最後のページの主要一覧表を見ますと、
「リヤーヒーターダクトが付いて、
その関係で2WD車はフットレストが省略される。
寒冷地での使用を考慮して
信頼性・耐久性の向上を図っております」
……と、お薬の能書きみたいな小さな字で記載があります。
ちなみにここの冒頭に掲載している写真は、コンテのサービスガイドの238ページ目の写真を、説明のため一部加工し(赤線)掲載しました。
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実はこの寒冷地仕様に興味を持ったのは、現在の自家用車であるムーヴコンテの前に乗っていた、同じダイハツの軽四の箱バンである2001年式のアトレーワゴンを乗っていたときで、この車は宅配の配送車のようにエンジンは前席の下にあり、後席の後ろは大きな荷物室で、高さも180cmを超えているハイルーフの軽四のお車でした。
よって室内空間はとても広く、後席を倒してフルフラットにすれば、大柄な人でなければ布団を敷いて寝られるぐらいの広さもあるのですが、それが災いして夏場はエアコンが非常に効きにくく、冬場は荷台から冷えた風が流れてきたりして、後席に乗った人はいつも「寒い、寒い」と言っていました。
(ダイハツ アトレーワゴン : 私が乗っていたのとは違うグレードですが)
そこで当時のカタログを見ますとメーカーオプションとして、「リヤーヒーターファン」というのが装着できる仕様になっていたようです。追加装備価格は3万円ぐらいのようでした。その仕組みは温風ドライヤーみたいなものです。これはディーラーオプションのように後付けできないため、後で非常に後悔しました。
そこでそのときの経験より、このたびの車購入は (もう新車購入後丸1年は過ぎていますけれども)、暑がりな私は絶対に夏のエアコンは激効きで、かつ冬の暖房も激効き、でないとダメだということになり、購入車種とそのグレードと搭載装備をさまざまに検討しました。
まあ、私はたまに全国どこへでも遠出するので、冬仕様を選択したほうが無難だと思ったのが直接の動機です。
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その結果が「コンテカスタムRS・2WD寒冷地仕様」、という結果となったのですが、フロントガラスが少し小さすぎるという嫌いはあるものの、屋根が長いためエアコンは激効きでした。
(ムーヴコンテ 寒冷地仕様車のリヤーヒーターダクト排出口)
暖房のほうは冷房と違い、大抵は足元送風にしているので温風を足元に向けても、前席と同じようにエアコンダクトから温かい風(冷房時には冷たい風だが)が後席の人の足元に流れて、頭は熱すぎずちょうどいい感じになります。
(我がムーヴコンテカスタムRS号の床板とリヤーヒーターダクト)
(リヤーヒーターダクト 取り付け口)
あとコンテの寒冷地仕様車の場合、通常仕様との違いとして、セルモーターが0.5kw(標準)から、0.8kw(2WD寒冷地仕様と4WD全車)に容量がアップ。
2WDのキーフリー車以外の標準車のバッテリーが26B-17Lなのに対して、2WDのキーフリー車と2WDの寒冷地仕様車及び4WD全車は、小型車並みの44B-20Lの大きめのものがつきます。コンテ(ノーマル・カスタム共)のキーフリー車は無条件に44B-20Lサイズになっています。
またムーヴ(カスタム)の場合は、たまたま代車に乗ったときに取説を読みますと、
2WDのキーレス車は26B-17のバッテリー、
2WDのキーフリー車は34B-19Lのバッテリー、
エコアイドル車はM42という専用バッテリー、
2WDの寒冷地仕様車と4WD車は、無条件に44B-20Lのバッテリー
を搭載しているようです(下写真 2011年当時)。
ムーヴの場合エンジンルームのスペースのせいなのか、単にコストのせいなのか、普通のキーフリーの2WD車は、コンテより一回り小さいバッテリーを搭載しているようです(2011年当時)。
あと寒冷地仕様車は、フロントワイパーモーター容量とワイパーを駆動するところの機構が全く違っていて、雪の重みに耐えられるように相当に頑丈な構造となっていること。
冷却水のクーラント(LLC)の濃度が、標準車の30%(凍結温度-16℃)から → 50%(凍結温度-35℃)になっており、北海道の最も寒いところや、時には-20℃くらいになるらしい山中湖や会津磐梯山付近でも冷却水が凍らないようになっています。ちなみに今年の真冬の深夜の米子道でも-10℃付近にはなっていました。
LLC=ロングライフクーラントの濃度をあげると冷却性能が落ちるのですが、メーカー指定の50%なら昨年の(2010年) あの猛暑の中ガンガンに走っても、当方の車では全く問題は生じませんでした。
あと当方のコンカスではリヤータイヤハウス内だけではなしに、車体下部のフレームのところにもシーリングと言えばいいのか、つぶつぶの樹脂らしきものが塗られています。その床下の樹脂塗布は、2WDの標準仕様車はどうなっているのかまではまだ確認していません。
→後日のオフ会で確認したところ、普通の2WD車には床下に樹脂は塗られておりませんでした。
それと軽四ではまずないですが、「デアイサー」といってフロントワイパーの収納位置のフロントガラス部分に熱線が入っていて、フロントワイパーの凍結防止をするといった装備もあるようです
→ 2014年末のムーヴのフルモデルチェンジ車から、
ウォームパックを選択すると軽自動車初と思われるデアイサーが
装着されるようになりました(2015年11月 追記)。
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新車購入時にいろいろ調べていくと、コンテの場合は軽四ということで車内空間はそう広くないので、寒冷地仕様もこの程度で十分なのでしょうが、
ミニバンなどの7~9人乗りできるような車内空間が広い車の場合、最近は低価格化の影響かグレードの低いタイプの場合、3列目のところは冷房しか効かなかったり、ヒーターダクトがあっても温度調整は1箇所のみで、後ろの席まで暖房を効かせようとすると、逆に前席は蒸し風呂状態になるとか、いろいろなインプレがありました。
子供とかお年寄りとかを後席に乗せて走行すると、走っている地区にもよりますが特に足元が寒くて耐え難い、という意見には私も正直びっくりしました。
ミニバンの寒冷地仕様の場合、いろいろ調べてみると、LLCやバッテリーやセルモーターやワイパーの強化以外に、スライドドアが凍りにくいようになっていたり、エアコンに電気ヒーターも装着されていて、しかも冷暖房の温度・風量調整が前席と後席でそれぞれ独立設定できるなど、かなり豪華仕様となっていて、これだと別々にコンプレッサーも必要で価格アップ5万円とかもうなずけますね。
しかも寒冷地仕様はメーカーオプションで新車注文時にしか装着できないし、新車で買えば通常は10年程度は乗るので、自分が買うなら5万円出して追加装備すると思います。特に夏場にミニバンとかの中古車を買うときは、このような点はまずチェックしないので要注意ですね。
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≪2014.12.14 追記≫
2014.12.13(土)の日、この日はたまたま休みだったので注文していたラジエターファンASSYを引き取りに車屋へいくと、新型ムーヴ・ムーヴカスタム(LA150S)のカタログが置いてありこれを見てビックリ。
(2014年12月に登場した新型ムーヴカスタムLA-150S : マイナビニュースより)
カタログの中にある主要装備一覧表の中で一番下の項、「地域仕様」の項でなんとメーカーオプションで、新車購入時にいくばくかのお金を追加で支払って注文すると、定番のリヤーヒーターダクトだけではなく、なんとシートヒータやヒーティドドアミラー、デアイサまで付属するというものです。
(スバル インプレッサーのフロントガラスに装着されたデアイサ : Car Watchより)
(2015.2.9 夏用のワイパーゴムに付着した氷の塊 : 北陸道頸城PAにて撮影)
(2015.2.10 夏用のワイパーゴムに付着した氷の塊 : 秋田道八朗湖SAにて撮影)
これら
『ウォームパック』 を追加装備するのに税込み(8%)で、2WD車で27000円、4WDで16200円の追加費用でいいというものです。寒冷地仕様はもうすべてのグレードで標準仕様となっているようなので、LLC濃度50%、ワイパーモーター容量のアップ、ワイパー駆動機構の強化、セルモーター容量アップはなされているのでしょう。
私がコンテカスタムを買った2010年当時、こんな贅沢装備などは初めから設定がなく、この点に関しては実にうらやましい限りです。
シートヒーターを選択出来るようになった主な理由として、エコ設計により余分なエンジンの排熱が減ったからだそうですが、日本の冬は九州でも寒いのだからシートヒーターはオプションでも選択できるようになったのは、かえすがえすもお客様重視な製品になってきたということでしょうか。
冬場の朝一番の運転時には、このシートーヒータは非常に重宝します。
私は社外品の後付タイプを激安で買って取り付けていますが、
これは非常に断線しやすくて1シーズンも持てばいいところです。
以前、諸事情によりムーヴカスタム(LA100S)を12月に1ヶ月間ほど乗ったことがありましたが、南国の我が居住地でも、あのたまご型の車内形状のせいなのか、
暖房があまり効かずにとても寒くて、しかも前へ大幅に突き出た非常に大きいフロントガラスのせいなのか、エアコンを使用した暖房デフロスターを使用しても、フロントガラスの曇りがとれずに相当に悩ませられたことがありました。
これらの点が改良されたのか気になりますね。