2008年12月15日
タイヤの温度と空気圧と暖め方について
めっきり寒くなってきました。いつもならサーキット走行の記事を書くところですが、このところスポーツランドやまなし(SLy)が土日に走行会で埋まっているので、めっきり休日ニートな生活を送っております。
いくつかPCのFPSをプレイしましたが、書いたところで誰も興味なさそうな気がするんで、別の話を書いておきます。タイヤについてです。冬場のサーキット走行に、少しでも役立てば。スピンしてガードレールに直行しないように…。
まずタイヤのグリップですが、タイヤの温度は高ければ高いほどグリップが増します。F1を見ても、走行前にタイヤウォーマーで思いっきり暖めているぐらいです。温度が高いほうがグリップが増す、これが大前提です。
タイヤの表面はゴムでできています。このゴムはある程度の温度まで上がると、温度に耐えられずに溶解します。ゴムが溶解してしまうとグリップしなくなります。先ほど「温度が高いほうがよい」と書きましたが、ゴムが溶けない程度っていうのが重要です。
F1のタイヤの場合は高温でも溶けないゴムを使用しています。だからガンガン暖めても大丈夫というか、いちばんグリップする温度にタイヤを暖めています。ところがラジアルタイヤの場合はそうもいかない。サーキットに到着して外気温が5℃だったら、コースインして走り始めたときの温度も5℃です。
こういう温度だと、ゴムの本来の性能が出ません。そのためにタイヤのゴムにはシリカという物質が含まれており、ある程度低温でもタイヤの最低限必要なグリップが出るようになっています。でも、サーキット走行でガンガンとアタックできるグリップではありません。
ということで、外気温や路面温度に応じて、まずはコースインしたらタイヤを暖める作業が必要です。
よくF1走行を真似てジグザグに走行するのを見かけますが、ラジアルタイヤではいくら真似してもタイヤは暖まりません。タイヤ表面のゴムと路面の接触面に積極的に負荷をかけるのが一番です。いちばん効率的に暖める方法はブレーキングです。
コースインして、直線部分で長めのブレーキングを何回か入れます。アタック時のような強烈なブレーキングはちょっと危険です。荷重がフロントにフロント側だけ強烈に暖まってリアが暖まらないからです。この状態で「暖まった!」と考えてアタックすると、コーナーでターンインして「おっ、ぐいぐい曲がるぞ!」と思った直後にリアが流れて、そのままスピンという情けない状態なります。特にFFほど流れ始めた後のコントロールが効きませんので、リアが暖まるように気を遣うことが重要です。
フロントタイヤ・リアタイヤの表面のゴムが適度に暖まると、タイヤが気持ちよくグリップするようになります。このゴムが適温のときにタイヤの空気圧がベストな空気圧になるように調整しなければなりません。
逆に言えば、ベストな空気圧の状態でも、ゴム表面の温度が低すぎたり、あるいは高すぎると、タイヤの本来持っているグリップを100%使うことはできません。
わたしの経験では、空気圧よりもゴムの温度のほうがグリップに大きく影響します。だからサーキットで周回を重ねて、タイヤが滑り始めてからピットインして空気圧を調整しても、ゴム表面の温度が急激に下がることはないので、季節によっては効果はほとんどありません。
ゴム表面温度を冷やす効果的な手段は、クーリング走行を行うことです。
ピットに入ってクルマが停止状態になると、タイヤはほとんど冷えなくなります。理由は簡単で、空気と接していても、空気は熱伝導率が低いので、冷えにくいからです。固体同士は熱伝導率が高いですが、固体と気体では熱伝導率がめちゃ低い。冷えないこともないけれど、かなり時間がかかります。
だからふつうにクルマで道路を走っているときは、タイヤのゴムの温度はほとんど上がりません。路面温度とあまり変わらない温度になっているはずです。
だからアタック後には、タイヤに負荷を掛けないように、でも路面温度でタイヤを冷やすように、そーっと走ると、タイヤ表面のゴムを冷やすことができます。これはこれで、気を遣わないとアタック中のクルマの邪魔になるので迷惑なんですが!
だから上級ドライバーのひとほど、アタックの時間が短いです。アタックをなんべんも続けてゴムがどうにもならないほど熱くならないように、そしていつでもアタック再開できるように、うまーく調整して走っているようです。
ゴム表面温度を走行中に監視できれば、すんげー楽だなぁ。
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サーキット | クルマ
Posted at
2008/12/15 00:47:15
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