2012年07月23日
EOS 7DのAFマイクロアジャストメントを考える
EOS 7DにはAFマイクロアジャストメントという機能があります。EFレンズを装着してAFでピント合わせしたときに、「あー、ピントが微妙に手前にズレてるな」「奥にズレてるな」というピントのズレを調整して、AFによるピントのズレを解消するという機能です。
ピントのズレをAFマイクロアジャストメントでどれぐらい調整するかは、レンズごとに20本ぶんまでEOS 7Dに記憶できるので、こりゃー便利だなと思うでしょう。わたしも、EOS D30→EOS 20Dと使ってきて、ピントが少し奥にズレてるよな? と思いながらも使い続けてきたので、EOS 7Dで問題解消だよやったぜ! …とはじめは思ったんですけど。
冷静に考えると、EFレンズを通過した光束でAFしているのになぜピントがズレるのか? という疑問にぶち当たります。
この理由は簡単です。手作業によるマニュアルピント合わせの場合はファインダー内を覗きながらフォーカスリングを動かし、ピントが合っている状態を通過したらフォーカスリングを逆に回して次第に範囲を狭めていきます。つまり、目視でピントが合った状態に合わせていくわけですね。欠点は、ピントを合わせるのに時間がかかること。静物撮影でない限り、肝心なシャッターチャンスも逃しまくりです。
EOSのAFは開放測光状態でピント位置までどれぐらいフォーカスリングを回さねばならないかをEFレンズを通過した光束を元に計測し、その計測値を元にボディからレンズへと信号を伝えてレンズ内のモーターを正確に駆動。一発で合わせて合焦マークを表示します。現在のピント状態からピントが合う駆動量を一瞬で演算して合わせるから速いのは間違いありません。レンズごとの製造誤差から生じる駆動量の差は、製造時にピント調整した実測値に基づく調整値をレンズ内のメモリに納めておき、AF動作の時に読み出して固体差を解消しているわけです。
つまりは、このレンズ内に納められている調整値がズレているから。正確に動作するからこそ、必ずピントがズレた位置で合焦するというわけです。
ということはですよ?
AFマイクロアジャストメントというのは、レンズから読み出した調整値によって合焦すべき位置を、とにかくズラす機能な訳です。
これ怖い機能ですねー。
だって、ズームレンズの場合はテレ端とワイド端でピントが合うフォーカスリングの位置って基本的に違うわけでしょう。ズームリングを動かしてもずっとピントが合ったままって、それ映画に使うすんげー高額なレンズです。カメラのズームレンズって、残念ながらそんな風にはできていません。テレ端で合わせても、ワイド端ではピント位置は異なる。だからテレ端でAFマイクロアジャストメントを利用してバシッとAFでピントが合うように調整しても、ワイド端のピント位置は違うのですからピントが合うはずはありません。
なるほど、EOS 7D説明書のAFマイクロアジャストメントに「通常はこの機能で調整を行う必要はありません」「実際に撮影する環境下で調整を行うことをおすすめします」と意味深なことが書いてあるのは、おそらく調整時と撮影時によるテレ端とワイド端の差もありますが、AF機構に用いている光束が、明るさ、色温度、レンズの絞りなどの条件によっても変化するからだと思います。
というわけで…。
AFマイクロアジャストメントでピント位置を調整するのだったら、サービスセンターに持って行ってEFレンズのピント調整をしてもらおうってことです。
じゃあ、AFマイクロアジャストメントって何の意味があるのか? って話になりますけど。わたしなりに考えた利用法ですが。
(1) 撮影現場でAFでピントを合わせる(三脚使用)
(2) おもむろに「ライブビュー」ボタンを押す
(3) 10倍に拡大表示して、ピントがずれているかどうか確認する
(4) ズレていたらAFマイクロアジャストメントをいじる。(1)に戻る
手持ち撮影の場合はCFカードにAFマイクロアジャストメントを少しずつズラしたものを撮りまくって調整でもいいです。ちょっと時間がかかると思いますけど。
要するに、基本的にAFのピント位置はEFレンズ内の調整値を信頼。さらにピント精度を求める場合や、ズーム位置、光源や被写体との距離といった撮影環境の違いによるズレを撮影現場で微調整するためにAFアジャストメントはあるのじゃないか? ってことです。
でも、ちょっと釈然としない点は残ります。
それは何かというと、ライブビューのくそ遅いAFは、くそ遅いながらも正確にピントが合うわけです。なのになぜ、このくそ遅いAF結果をAFマイクロアジャストメントにフィードバック利用しないのかって話です。
AFで合焦してフォーカスリングの位置を記憶、そのままライブビューに移行してAFで合焦。そのフォーカスリングの位置の差がピント位置のズレな訳です。手持ちだったらムリですけど三脚を利用すれば、この一連の動作で「オートAFマイクロアジャストメント」ってのが実現できるはずです。
そこまで機能を付ける余裕がなかったのかもしれませんけど、次機種にあったらすんげー便利な機能だと思うんですけど!
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Posted at
2012/07/24 00:27:07
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