
最近、少しだけ足(サスペンション)のロジックがわかってきました。いまさら理解しても仕方がない気もしますが、これからDC5インテRの足の交換を考える人にとっては多少の理解の手助けとなると思いますので、書いておきます。
まずはコーナー旋回時のバネレートと減衰力の関係について。
バレネートというのはサスペンションのバネ(スプリング)の強さです。わたしはスーパーオーリンズDFV(写真)の特注品を入れているので、フロントのバネレートは12kg/mm。バネを1mm縮めるのに12kgの重さが必要という、まーはっきり言って固いバネです。このバネの固さは、コーナー旋回時の車体のロール量に影響します。
コーナーに入ってステアリングを切り込むと、ぐわ~っと外側に車体がロールします。仮に車体の外側フロントサスに100kgの荷重が移動するとすると、サスが沈みきったときには100kg/12kgなのでバネは8.3mm縮みます。計算も簡単ですね。
問題は、サスが沈み始めてから沈み終わるまでの経過時はどうなっているのかってことです。ここが一番肝心です。
サスペンションにはダンパーが付いていますが、このダンパーの減衰力はサスペンションが伸び縮みする速さに影響します。コーナー旋回時は、ロールの速さに影響します。
減衰力の弱いダンパーでコーナーに進入してステアリングを切り込むと、ガバッと速く車体が外側にロールします。この「ロールが速い=減衰力が弱い」ほどロール中にタイヤに乗っかる荷重は小さく、バネが縮みきったときに、いきなりタイヤに最大荷重がかかります。
体感的には、ステアリングを切ったときのレスポンスが悪い。切り始めてからクルマが曲がり始めるまでが遅い。ロールしきったところから突然曲がり始めるってことになります。まーおっかねぇクルマです。
減衰力の強いダンパーでコーナーに進入すると、ぐわ~とゆっくり小さく車体が外側にロールします。「ロールが遅い=減衰力が強い」ほどロール中にタイヤに荷重が乗り始めるのがはやく、バネが縮みきるまでにタイヤに荷重がじわじわと乗っていきます。
体感的には、ステアリングを切ったときのレスポンスが良い。切り始めてからクルマが曲がり始めるまでが速い。きびきびとしたスポーティな動きとなります。
ここまではコーナー旋回時というスポーツ走行の観点からの記述で、一般的な街乗りでは体感的にどうなるのかというと…。
減衰力の弱いダンパーは、地面の凹凸があってもサスペンションが伸び縮みしているあいだは車体があんまり動きませんので、乗り心地がよいです。減衰力の強いダンパーだと、凹凸でサスが動いているときに車体も動くので、乗り心地はめちゃ悪いです。
じゃあDC5インテRの純正足はどういう味付けになっているのか。DC5インテRのバネは可変バネレートになっています。縮みはじめのバネレートは2.8kg/mmで、街乗りでの乗り心地はほとほどです。バネが縮むと最終的にはレートが4.6kg/mmぐらいまで上がります。これがミソで、荷重がたくさん乗ってバネがたくさん沈む場合、縮み始めは2.8kg/mmなので縮み量が大きく、縮み終わる頃には4.6kg/mmなのでバネの縮み量が少なくなっていきます。ダンパーの減衰力が途中から強くなるような感じですね。
コーナー旋回時の挙動にすると、切り始めはガバッと車体がロールして、あるところからじわ~とゆっくりロールしてゆく。体感的には、切り始めのレスポンスは悪いけど、あるところから荷重が外側タイヤに乗り始めて、ぐわ~っと曲がってゆく感じです。
バネレートが4.6kg/mmになるまでは荷重が外側タイヤに乗りにくいので、ステアリングを切る量もある程度大きくなります。純正足でコーナーリングのタイムを縮めようとするなら、コーナー進入前にブレーキをドカンと強く踏んでバネを縮め、うまーくブレーキを抜いて前荷重を残したままステアリングを切ってコーナーに進入…というテクニックが必要となります。
純正足だとブレーキングで足が縮むまでタイヤに荷重が乗るのが遅いけど、足を変えているならバネが縮むのと同時にタイヤに荷重も乗りはじめるのが早いので、どうしてもこの辺で埋められない差が付くというわけです。
また、ステアリングやアクセル、ブレーキなどの操舵という入力を与えたとき、純正足だとクルマの挙動という出力には初期挙動の遅れがあります。運転者は操舵してからクルマの挙動を感じ取って先を読む、予想しながら操舵を続けていくのですが、初期挙動の遅れは先の読みにくさ、予想とのズレを修正しながら操舵しなければならないので、速く走るためには運転者自身の運転能力が求められます。
まーいろいろ書きましたけど、DC5インテR純正足ってのは、なかなか良い方だと思いますよ!
Posted at 2007/09/25 04:06:26 | |
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