
お気に入りジャケットの第4弾は、楽器のイラストをあしらったこれらのLPです。
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『マイルス・デイヴィス/クッキン’』(1956年10月録音)
ジャケットのお気に入り度合いから言ったら、これがナンバー1かもしれません。
冒頭の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」なんか涙なしには聴けません。
有名なジャケットなのに、イラストに関する情報はほとんどありません。
ジャケットのデザインはリード・マイルス。イラストはフィル・ヘイズという人が描いたものだということは、イラストの右下にサインがあることでわかるのですが。
トランペットを手にもって構えたところを構えた本人の側からみたイラストです。野太いタッチで描かれたピストンと指の絡み方が絶妙。そして、ジャケット上部にあしらわれた「COOKIN'/WITH THE MILES DAVIS QUINTET / PRESTIGE 7094」の文字。
この文字の大きさとバランス、黒と赤の色使い、この辺がリード・マイルスのデザインの見せ所ということでしょう。
右上
『フィニアス・ニューボーン/プレイズ・アゲイン!』(1959年5月録音)
ピアノの鍵盤の上に置かれた右手のイラストです。マイルスの『クッキン’』が世に出たあとなので、このデザイナーはたぶん『クッキン’』を意識していたものと思われます。
フィニアス・ニューボーンJr.(1931.12.14~ 1989.5.26)は、死後評価のたかまった不遇のジャズピアニストです。よーのすけはわりと昔から好きで、LPも10枚くらい持っている、その中の1枚です。
このレコードは、59年にヨーロッパを演奏旅行中にローマで録音されたもので、イタリア人の(無名の)ベーシストとドラマーを従えたピアノ・トリオとなっています。バリバリのスタンダード・ナンバーばかりで選曲もよく良い演奏です。
ジャケット・デザインもイラストもチチ・ファビアーニというイタリア人の名前がクレジットされています。
左下
『ブッカー・リトル/ブッカーリトル』(1960年4月録音)
ブッカー・リトル(1938.4.2~1961.10.5)は、23歳の若で夭折した天才トランぺッターです。彼がジャズ界で活躍したのはわずか3年余り。その間にこのアルバムを含め数枚のリーダー・アルバムとエリック・ドルフィーとの共演盤があるばかりですが、彼を失ったことでジャズが失ったものはとてつもなく大きい。
このレコードには、もう一人25歳で夭折した天才ベーシスト、スコット・ラファロが参加していたことも特筆すべきでしょう。
ジャケットは上の2枚とは趣が異なりますが、トランペットのピストンの部分を横から見たイラストで、ちょうどピストンの部分に BOOKER LITTLE の文字が載っている洗練されたデザインです。タイムという超マイナーなレーベルから出たにしてはデザインのセンスが秀逸です。アルバム・デザインについてはマレイ・シュタイン(Murray Stein)、タイポグラフィは、ザ・コンポージングルーム・インク(The Composing Room Inc.)というクレジットがあるだけで詳細は分かりません。
右下
『ジェリー・マリガン/アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』(1960年12月録音)
ジェリー・マリガン(1927.4.6~1996.1.20)は、バリトン・サックス(時々テナー・サックス)の名手であると同時に作編曲者、ピアニストとしても活躍した多彩なジャズマン。ウェスト・コースト・ジャズの中心人物の一人でもあります。
このアルバムは、ニューヨークの有名なジャズスポットであるヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音ですが、ビッグバンドの分厚いブラスの音を背景にバリバリ吹きまくるマリガンの代表作といっても良いでしょう。
ジャケットは黒地にゴールドでバリトン・サックスのイラストが描かれ、白い文字でアルバム名が記されただけの至ってシンプルなデザインです。ヴァ―ヴというメジャーなレーベルからリリースされているのですが、ジャケットのどこにもイラストレーターやデザイナーの名前がありません。
ということで今回は4枚のアルバムを紹介しましたが、単に好きな順に並べただけなのに、録音順でもあったという偶然に驚きました。いずれも今から50年以上前の作品なんですが、やっぱり、
LPのジャケットデザインって、古さを感じさせないと思うのは私だけでしょうか?
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JAZZのLP | 日記
Posted at
2017/09/10 00:03:51