
第80弾
『カウント・ベイシー/オン・マイ・ウェイ & シャウティン・アゲイン!』(1962年11月録音)
カウント・ベイシー(1904.8.21-1984.4.26)は、ジャズ・ピアニストであり、ビッグバンド・ジャズのバンドリーダーとして、長く活躍した超大物であります。超大物だから、このシリーズでも何度も紹介しているかと思いきや、意外と少なくて、
第54弾と
第64弾の記事の中にわずかに名前が登場しているだけで、ちゃんと取り上げるのは、これが初出です。
カウント・ベイシーは1930年代半ばから活躍を始めていますが、ファンの間では、最初期から40年代の半ばまでを「オールド・ベイシー」、大戦期の低迷を抜けて50年代以降を「ニュー・ベイシー」というように区分しているようです。今の感覚からいえば、「ニュー・ベイシー」だって十分に古いですけどね。
このレコードは、「ニュー・ベイシー」として、まさに脂の乗りきった最盛期の録音ということになります。リズムに乗った分厚いブラスの咆哮、アンサンブルからソロプレイヤーが立ち上がってアドリブを繋いでいくところ、所々にかいまみえるベイシー自身のピアノの粒だち、小粋なエンディング・・・こういうのが、まさにビッグバンド・ジャズだと、よーのすけはご機嫌です。
ミュージシャンは契約に基づいて、レコード会社を移籍していくのが常ですが、ベイシーはこの時、それまで契約していたルーレットからヴァーブに移籍、その第一弾がこのレコードとなります。ルーレット時代から作・編曲のニール・ヘフティとはタッグを組んでいて相性もよかったから、移籍第一弾のこのレコードもヘフティの作・編曲で行くと決めていて、プロデューサーから連絡を受けたヘフティは、録音が11月だと聞いて慌てたとか。大急ぎでスコアを仕上げ、ベイシーが受け取ったのは録音の3日前だったというようなことを、ヘフティ―自身がライナーノートに書いています。
バンドのメンバーもたった3日間で、ここまで演奏を仕上げられるものなのか、信じがたい話ではありますが、そんなことも含めて、さすがベイシー楽団。メンバーもある程度固定されているから可能なんでしょうが、これがプロというものであります。
ジャケットは、
ジャガー・E‐タイプの後輪部分のクローズアップで、オープンにしたシートからベイシーがこちらを振り返っています。部分だけでジャガー・E-タイプだとわかるというのも、このクルマのすごさでしょうし、ベイシーのプロとしてのすごさと通ずるものがあるような気がします。
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JAZZのLP | 日記
Posted at
2021/04/28 21:06:31