『レッド・ガーランド/クロッシングス』
(1977年12月録音)
番外編ではクルマではないけれど、クルマ周辺の事物をデザインしたジャケットをとり上げて、自分の好きなミュージシャンのアルバムを紹介することにしています。番外編第6弾は、踏切です。
レッド・ガーランド(1923年5月13日 - 1984年4月23日)はテキサス州ダラス出身のピアニスト。1955年にマイルス・デイヴィスのバンドに加わったことで人気を不動のものとしましたが、その演奏スタイルが「
カクテル・ピアノ」と評されて、日本での評価はいまひとつ伸び悩んだ感じがします。
でも、よーのすけはレッド・ガーランドが大好きです。ビル・エヴァンスの次に好きと言っていいくらいです。自分のレコード棚を調べると、24枚も彼のLPを持っています(ビル・エヴァンスは80枚超)。なので、このLPジャケットシリーズでも再三紹介しているのではないかと思ったのですが、実は初めてなのです。彼のリーダーアルバムにはクルマが描かれたジャケットが一枚もないので仕方ないことではありますが。ちなみに、
第17弾『マイルス・デイヴィス/ワーキン』の紹介文の中にわずかに登場しているだけでした。
レッド・ガーランドはマイルスのバンドを1958年に退団し、その後62年まで自身のピアノ・トリオで演奏しプレスティジやジャズランドなどのレーベルに多数のアルバムを残しました。代表作と言えるアルバムはこの時期に録音されたものがほとんどです。そんな、もっとも脂ののっていた62年に突然引退し、テキサスの田舎に引っ込んでしまいます。ロックの台頭に嫌気がさしたといわれていますが、真相はわかりません。
このアルバムは、そんな彼が70年代半ばにカムバックして、何枚目かの作品ということになります。メンバーは、ガーランド(p)のほかロン・カーター(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)でいずれもマイルスのバンドにいたことのあるミュージシャン。ガーランドとジョーンズは同時期に在籍していたので気心も知れている。ロン・カーターは彼らより一世代若いのでマイルスのバンドで一緒にいたわけではないですが。このレコードを聴くと、世代間の相違がモロに出ています。往年のガーランド節は健在で、演奏の出来は決して悪くはないのですが、ロン・カーターのベースとは相性が悪い。ちょっと残念です。
アルバムタイトルの「クロッシングス」は踏切のことで、このアルバムのA面2曲目にロン・カーターの作曲となる「レイルロード・クロッシングス」という曲が収録されていることにちなむものでしょう。ガーランドとしても若い才能に敬意を表しているのですけどね。
最後に、音楽とは関係ないですが、踏切に関する豆知識をひとつ。
踏切と言えば、道路を横断する鉄道のほうが優先で、自動車はたとえ遮断機が上がっていて警報機が鳴ってない状態でも踏切の手前で一時停止し、左右の確認をすることが道交法で義務づけられています。ところが、鉄道創業期から1887年(明治20年)ごろまでの踏み切りは、線路のほうに遮断機が降りていたのです。当時の列車のスピードが遅かったことと、列車の本数が少なかったので可能だったのでしょうが、今ではとても考えられませんね。
Posted at 2012/10/08 13:03:52 | |
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JAZZのLP | 日記