
第73弾
『タイリー・グレン/プレイズ・クラシックス・イン・ジャズ』(録音年月不詳)
タイリー・グレン(1912年11月~74年5月)は1940年頃から60年代の初めにかけて活躍した黒人のトロンボーン及びヴィブラホン奏者で、51年から5年間デューク・エリントン楽団のレギュラーメンバーを務めた後、65年から71年までルイ・アームストロング楽団の音楽監督兼トロンボ―ニストだったということが、スイングジャーナル社の『世界ジャズ人名辞典(1981年)』とこのレコードのライナーノーツ(彼の息子が書いている)から判ります。
このレコードは、『クラシックス・イン・ジャズ』というタイトルどおり、古いスタンダードナンバーがずらりと並んでいます。「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」とか「ストンピン・アット・ザ・サヴォイ」とか、「マック・ザ・ナイフ」、「ホエン・アイ・フォール・イン・ラブ」、「サマータイム」・・・と書き出していくと、懐かしくて曲名を見ただけで涙腺が緩んでしまいます。
タイリー・グレンは曲目によってトロンボーンを演奏したり、ヴィブラホンを演奏したりしています。このトロンボーンがミュートを使ってワウワウ言っているのですが、それが人の声に聞こえたりしてなかなかに面白い。リズム隊はハンク・ジョーンズ(p)、ミルト・ヒントン(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)が固めていて、しっかりしたつくりになっています。そのほか、オーケストラやコーラスが加わっているトラックもあるのですが、クレジットがないので詳しいことはわかりません。
ジャケットにはタイリーグレンが左手でミュートを操作しながらトロンボーンを演奏している写真と、画面の右下に赤いクラシックなオープンカーが配置され、間を埋めるようにタイポグラフィがあしらわれているのですが、デザインとしてははっきり言ってダサい。ダサいというよりは、ひどい! クルマの絵がなければけっしてよーのすけのレコード棚に収まることはなかったレコードです。
この赤いオープンカーは、1937年製の
メルセデス・ベンツ540Kなのですが、ジャケットには Brune 540K というクレジットが明記されていて、これがまたよくわからないのです。オリジナルの540Kは生産台数が419台と
あまりにも希少なため、レプリカなのかもしれません。
レプリカとしても、
ダイムラー社はコピーを許さないとして、300SLのレプリカを破壊している写真が公開されたりしていますからね。

Posted at 2018/08/11 19:08:25 | |
トラックバック(0) |
JAZZのLP | 日記