
第68弾
『トゥーツ・シールマンス/キャプチャード・アライヴ』(1974年9月録音)
トゥーツ・シールマンス(1922.4.29~2016.8.24)は、ベルギー(ブリュッセル)生まれのジャズ・ハーモニカ奏者。ハーモニカという楽器は、よーのすけも小学校のころ授業で吹いたことがありますが、あの楽器でこんな演奏をする人がいるとは・・・
たしかに、ハーモニカを専門とするミュージシャンは少ない。唯一、ブルースの世界ではなぜか「ハープ」と呼ばれ、ギタリストたちが首にかけて時折吹いたり、専門の「ハーピスト」がいたりもするけれど。
ブルース以外ではボブ・ディランやスティービー・ワンダーがハーモニカを効果的にフィーチャーしているレコードもあるけれど、けっしてハーモニカが主役なわけではありません。
このレコードは、1970年代に当時勃興しつつあったフュージョン・ミュージックに背を向け、オーソドックスなJAZZを専門に無名のミュージシャンを発掘しては世に送り出すという活動を続けていた「チョイス」というマイナー・レーベルからリリースされたもので、パーソネルは、
トゥーツ・シールマンス(ハーモニカ)
ジョアン・ブラッキーン(p)
セシル・マクビー(b)
フレディ・ウェイツ(ds)
ピアノ・トリオをバックにメインの管楽器がグイグイ押してくるいわゆる「ワンホーン・ジャズ」のスタイルで、トランペットやテナーサックスの代わりにハーモニカがメインに据えられているという大胆な構図です。けれども、聞いたらこれはすごい!ハーモニカという楽器に秘められた実力をいかんなく発揮しているというか、ハーモニカの可能性を極限まで追求し、新たな地平を切り拓いたというか・・・

「チョイス・レーベル」から出たオリジナル盤のジャケットはこんな感じで、演奏中のトゥーツ・シールマンスのポートレート写真が中央に配されただけのそっけないものでした。
トップ画像のほうは、よーのすけが持っているレコードで、こちらは1979年にトリオ・レコードの「Nadjaレーベル」から発売された日本盤です。ライナーノーツのタイトルは「ニューヨーク・ソング」というわけのわからないものになっているのですが、ジャケットにはオリジナルの「キャプチャード・アライヴ」がしっかりクレジットされています。
ジャケットは、写真家の内藤忠行氏の作品。雨に煙るニューヨークの街角で、バスのフロントガラス越しに居並ぶタクシーを捉えたリリカルな写真で、日本盤のタイトルが「ニューヨーク・ソング」となっているのもこの写真のイメージからだと思われます。
日本盤の発売時期からして、ジャケット写真もそのころ撮影されたものだとすると、写っているクルマは1950年代から80年頃まで、全米(特にニューヨーク)のタクシーの9割を占めたといわれる
チェッカー・マラソン(タクシー・キャブ)だと思われます。
トゥーツ・シールマンスの演奏がユーチューブにあったので参考に貼っておきます。このレコードに収録されているのと同じ演奏です。
Posted at 2017/03/12 12:10:10 | |
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JAZZのLP | 日記