
第71弾
『ウェザー・リポート/ブラック・マーケット』(1975年12月~76年1月録音)
ここしばらく
パトロールの成果として最近入手したLPの話が続きましたが、久しぶりに昔から持っていてレコード棚の中で眠っていたLPを採り上げます。
ウェザー・リポートは、このシリーズの
第14弾でも紹介済みなので、2度目の登場ですが、こちらのレコードのほうが録音年代も古く、よーのすけのレコード棚にもこちらのほうが先に収められていました。
クルマが描かれたジャケットとしてこちらを先に紹介すべきところ、今まで漏れていたのは、イラストの中央に描かれているのが、トラックというかバスであって乗用車ではないのが主な原因です。といいながら、このシリーズでは車種不明ながらトラックやバスも結構採り上げているので、あまり説得力のある理由とは言えませんね。まあ、失念していたということです。
ではなぜ急に採り上げることにしたかというと、それは、以前紹介した
レコジャケ本にこのレコードが載っていたから。
ウェザー・リポートは71年に結成され86年に解散するまでの間に15枚のオリジナルアルバムをリリースしていて、このレコードは6枚目に当たります。結成から解散までジョー・ザヴィヌル(key)とウェイン・ショーター(sax)の二人は不動の二枚看板ですが、それ以外のメンバーはめまぐるしく変わっていて、特にベーシストは76年にジャコ・パストリアスが加入したことでバンドの方向性が大きく変わることになりました。ちょうどこのレコードが制作されている時期に当たります。
このアルバムは、スタジオ録音による全7曲が組曲のような構成になっていて、市場の喧騒のような人声や港の汽笛、貨物列車の走行音などの効果音がそれぞれの曲ごとにちりばめられて、ドラマティックな効果を上げています。ジャコは2曲で演奏に参加しており、うち1曲は彼の作曲です。
上のレコジャケ本では「ジャコが参加した70年代フュージョンの名盤」という紹介のされ方をしていますが、よーのすけ的には、前任のアルフォンソ・ジョンソン(b)も捨てがたいというか、このアルバムのベースのパートはアルフォンソ・ジョンソンによって色付けがなされていて、ジャコは前任者の敷いたレールの上をなぞっただけであり、ジャコが本領を発揮するのは次のアルバム(「ヘヴィー・ウェザー」)からだと思うのですけど。
ジャケットのイラストは、デイヴ・マクマッケンという人が描いたもので、先に述べた組曲のような構成のアルバムのイメージを体現した優れた作品です。
ジャケットの中央にはトラックを改装したバスが描かれているのですが、詳細は分かりません。
マクマッケンがこの絵を描くとき参考にしたであろうクルマを探してみたのですが・・・

【左】イラストのように客席が足元までスカスカのバスの写真(1910年パッカード・モーターバス)
【右】ボンネット形状がもう少し新しいバスの写真(1929年フォード・モデルAバス)
フォードのモデルAバスは、
第26弾バド・シャンクのレコードにも登場しています。
イラストのボンネットとフェンダーの形状は【右】のバスよりももっと新しいようなのですが、決定的に違うのは、【左】も【右】も運転席が客室と一体化されていることです。乗合自動車(バス)の歴史は意外に古いのですが、早い段階で運転席と客室が一体化された専用車両が製造されたようです。
イラストのように運転席が客室と独立したクルマは、軍の兵員輸送車のような写真がわずかに見つかっただけでした。

(1939年マーモン・ヘリントン 4駆モデル)
ということで、デイヴ・マクマッケンは、実車をモデルにしたわけではなく、あくまでもイメージとしてこのイラストを描いたのだろうというのがよーのすけの結論です。
Posted at 2017/08/20 19:49:24 | |
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JAZZのLP | 日記