2023年11月13日
「ゴジラ-1.0」を観てきた(少々ネタバレあり)
久しぶりの新作ゴジラ映画が公開されたので観てきた。
庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」以来の新作なんだけど、山崎貴監督らしさが出た良作だと思う。
「シン・ゴジラ」は現代の日本にゴジラが現れたらどうなるか、というある種のシミュレーションというか極力ドラマ性を排した、ドキュメンタリー的な映画だった。
それに対して山崎監督の「ゴジラ-1.0」は敗戦直後の1947年で警察予備隊もまだできていない無防備な日本にゴジラが上陸し、破壊の限りを尽くすのだ。
米軍はソ連への刺激を恐れて日本政府へゴジラ対応を丸投げ。
しかし、日本政府にも打つ手がなく、志ある旧軍人たちが再結集し、知恵と勇気とありあわせの武器で大怪獣に挑む、という大変に燃える映画となっている。
さすが山崎監督だなと感心したのが、この映画はちゃんとヒューマンドラマがあるということだ。
まあ、あまり詳しく書くとネタバレになるので、メインストーリーはなるべく触れないが、ここでは例によってミリオタ的見どころを幾つかご紹介。
1.零式艦上戦闘機五二型丙(特攻仕様)
冒頭主人公の敷島浩一が操縦する機体として登場。
腹の下には五十番通常爆弾(500kg徹甲爆弾)を搭載している。
事故防止のために普通は着陸前に切り離す、重い五十番を抱いたまま、穴だらけの飛行場に海軍式の綺麗な三点着陸を決めるあたり、主人公の腕がかなりのものだと思わせる演出が光る。
主武器は九九式二十粍二号機銃三型が2門。
まあ、これでゴジラとは戦えないよね。
2.三八式歩兵銃
主人公が不時着した大戸島(小笠原諸島にあるという設定の架空の島)飛行場守備隊の兵が使用。
旧日本軍の主力小銃だが、口径は6.5mmで威力は他国の主力小銃に比べると低い。
大戸島に伝わる伝説の怪物、呉爾羅(ゴジラ)の上陸に対して発砲していた。
この時の呉爾羅は全高15mくらいの大きさだったが、こんなものでどうにかなるものではなく、あっさり全滅。
3.特設掃海艇
戦後、海軍省改め第二復員省の戦後事業として機雷の掃海任務に志願した主人公が乗り組むことになる船。
漁船改造の木造のポンポン船で、武装は後甲板に設置した九三式一三粍機銃が一丁。
フランスのオチキス社製機銃のライセンス生産品で多くの艦艇に対空用として搭載されていた。
30発入りのボックス型弾倉だが、映画では排莢こそちゃんと下にだしていたけど、弾倉交換の描写がなくて、プロップまで予算が足らなかったんだと感じられ、ちょっと悲しい。
ゴジラ接近に伴い、シンガポールから回航中の重巡高雄が到着するまでの足止めとして、主人公たちはこれでゴジラに立ち向かうことになるのだが、この時回収した機雷の触角を取り外し、ケーブルで電気発火するように改造した旧式の機雷(たぶん米軍のマーク6)2発を切り札としてゴジラに使用する。
ポンポン船にしちゃ、妙に加速がいいとか、ゴジラに追いかけられても追いつかれないのはどうしてだろうとか「細かいこと」は気にしていけない。
4.重巡洋艦「高雄」
高雄型重巡洋艦のネームシップ。
史実ではレイテ沖海戦で出撃直後に米潜水艦の魚雷を受けて大破。
シンガポールに回航されて応急修理を受けたが、英軍の特殊部隊による追加攻撃を受けてボロボロの状態で、そのまま終戦を迎え、1946年に英軍により自沈処分されている。
しかし、本作品では緊急事態につき、完璧な修理を施し、武装も全て元に戻した上で返還され、日本に迫るゴジラに立ちはだかることになる。
はい、ご都合主義ですw
監督がなんとしても高雄を出したかったらしいw
主砲の三年式二号二十糎砲前部砲塔3基6門の一斉射撃を行ったが、ゴジラの反撃で大破。
傾斜しつつもゴジラに対して零距離射撃を叩き込むが、水中に逃げたゴジラの放射熱線により爆沈した。
5.丙型海防艦
戦時急増型の海防艦で終戦時もかなりの数が生き残って復員船として活躍している。
本作では、武装解除された本型が登場。
東京湾で爆薬による封鎖線を設置し、ゴジラへの警戒に当たっていた。
ゴジラ接近に対して爆薬での上陸阻止を試みるがあっさりと突破されていた。
後にゴジラが横須賀に再上陸する場面では、音声によるゴジラ誘導に従事していた本型1隻が宙を飛んで、横須賀の倉庫群に突き刺さり、爆発している。ゴジラに放り投げられたと思われる。
6.四式中戦車チト
旧軍が本土決戦用に開発した本格的な対戦車用の戦車。
封鎖線を突破し、品川に上陸したゴジラが銀座に現れて破壊の限りを尽くす場面で登場。
国会議事堂前の広場に一個小隊が展開し、ゴジラに対して一斉砲撃を加えて立ち向かう。
これも、終戦時には接収されていて、この時点では解体されていたはずだが、生き残っていたということにしたらしい。
しかも、これ普通の四式じゃなくて、設計変更の上に強化された量産型なんだよねw
もう、スタッフがノリノリでやってるのがわかるねw
国会議事堂から銀座までの直線距離は約1.8km。
全弾命中させる砲手の腕は凄いが、重巡洋艦の主砲の接射に耐えたゴジラに効くわけもなく、放射熱線の攻撃で国会議事堂とその周辺もろとも蒸発した。
7.駆逐艦「響」
特型駆逐艦の22番艦。
「傷だらけの不沈艦」として知られた武勲艦で、終戦時は損傷のため舞鶴に係留されていたが、終戦後は修理を受けて復員船として活躍後、ソ連に賠償艦として引き渡された。
本作ではソ連から非武装状態で返還され、対ゴジラ作戦「海神(わだつみ)作戦」に後述の雪風と共に主力として投入された。
8.駆逐艦「雪風」
陽炎型駆逐艦8番艦。
初戦から終戦まで日本海軍のほとんどの作戦に参加し、16度に及ぶ海戦に参加しながらほとんど無傷のまま終戦を迎え「奇跡の幸運艦」として知られる。
終戦後は復員船として活躍後中華民国に戦時賠償艦として引き渡されたが、本作では非武装状態で返還され、響と共にゴジラに立ち向かうことになる。
9.駆逐艦「夕風」
峯風型駆逐艦の1隻。
第一次世界大戦型の旧式駆逐艦だったため、太平洋戦争でも二線級の扱いで激戦に投入されることが無かったためか、終戦まで生き残った。
復員船として使用後に英国に引き渡されたが、やはり非武装状態で返還され、後述の欅(けやき)とともに、無人操縦でゴジラへの囮として投入され、放射熱線で蒸発した。
10.駆逐艦「欅」
戦時急増型の汎用駆逐艦「松」型のうちの一隻。
松型は個人的に日本駆逐艦で一番好きな型なんだけど、全艦が植物の名前が付いているため、雑木林型などと揶揄されていたりする。
終戦時無傷だったため、復員船として使用後、アメリカに引き渡されていたが、これもやはり非武装で返還され、囮任務に無人で投入されている。
11.局地戦闘機「震電」
はい、来ました。この手の架空戦記ではおなじみのロマン兵器「震電」w
主人公敷島浩一がゴジラを作戦海域に誘導するために使用。
九州飛行機が開発した局地戦闘機でエンテ翼と言われる先尾翼式の翼配置に、エンジンを後部に積んだプッシャー式と言われる配置が斬新で、レシプロ機離れした⁉️見た目がとにかくカッコイイため、実機の性能に不釣り合いに人気が高い。
実機は終戦直前に3回ほど試験飛行しただけで終戦を迎えているが、その数少ない飛行試験でも、70%の出力ですらエンジンの異常加熱が発生し、常に操縦桿を目いっぱい下げていないと強烈な機首上げモーメントのため、水平飛行さえおぼつかないし、強烈なプロペラのトルクのために常に右に傾いているといった操縦性の問題が続出していたりする。
どうも基本設計に大きな欠陥があったらしく、少々の改修でモノになったとは思えないのだが…。
本作ではそれら全てがきれいさっぱりと解決され、本土決戦に備えて先行量産型が配備されていたものの、終戦後のどさくさに紛れて忘れられていた、という機体が都合よく発見され、4門搭載の30ミリ機銃を2門に減らし、胴体燃料タンクも下して、その空間に250kg爆弾と500kg爆弾を搭載し、さらに「ある特殊装備」を追加して出撃する。
重心バランスをどうやって取っているのかとか、そんな「細かいこと」は当然気にしてはいけないw
というわけで、本作は細かいツッコミどころは数えきれないぐらいあるが、ぶっちゃけ全高50mの放射熱線を吐く直立歩行の爬虫類が暴れまわる映画にリアリティーを求めるのも野暮かとは思う。
ドラマパートが好意的に言えば分かりやすいんだけど、見方によっては安っぽいと感じるかも。
まあ、お約束の人情芝居をわかりやすく嫌味なくやるのがこの監督の得意技だからいいのかもね。
というわけで、個人的にはかなりおススメ。
怪獣に興味のない女性でも楽しめるんじゃないかな。
ブログ一覧 | 日記
Posted at
2023/11/13 07:11:21
今、あなたにおすすめ