MTの場合、エンジンは1速ギアと6速ギアのどちらかしか無ければ、1速を選択するしかない。6速では発進出来ないんだもん。
でも、1速だけでは50km/hまでしか使えないぞ。 というわけで、内燃機関を直接動力にする車(ガソリンエンジンやディーゼルエンジンで動く車は、プリウスのTHSでも変速機が必要なのだ。
変速機は大きく3種類。
①並行軸・常時噛合歯車式 → MTとDCTとAMT。 MTとAMTは同じ変速機だがDCTは別物。 DCTとAMTは自動変速操作を行うための動力(油圧)が必要。
②遊星歯車式 → いわゆるステップAT。 知る限りすべてがトルコンクラッチを採用。
自動変速の先駆け。 太古の技術故、完成度はピカイチ。
③無段変速式 → CVT。 全て自動変速。
(HVの変速機構もCVTだがややこしいので、今回の一連のブログではHVのCVTは扱わない)
変速機としては①②は方式は違うんだが、入力(フライホイール)と出力(ドライブシャフト)の関係は4通りから10通りにステップで決まっている。 5MTは5通りだし、10ATは10通り。 AMTはMTの変速を自動にしたもの、クラッチ操作を手動のまま残す手も有るのだが、そんなのは存在しない。 DCTは2系統のギアセットが組み合わさっているのでMTのギアセットとは別物、だが常時噛み合う歯車を切り替える理屈は同じ。
②遊星歯車式 は1組8通りの変速の組み合わせが可能。 こいつを2組使うのが4ATの基本。
しばらく4ATの時代が続いたのは、3組のギアセットの実用化待ちだったのね。
4ATでもギアチェンジのために2つのブレーキと6つの湿式多板クラッチが必要とのこと。(MFI47のP44)これを制御するので、暖加速の車で車が予測できるシフトアップは別として、フル加速のシフトアップ、キックダウン、強制的な2速までのシフトダウンしてのエンジンブレーキ等、伝達力が大きくエンジン回転数(入力回転数)が高い領域で、運転手からシフトチェンジを強いられると、もたもたするのは当たり前なのだ。
③CVTのみ、入力と出力の関係に無限に組み合わせがある。(正しくは上限と下限があってその間が無段変速なんだが)
6MTで言うところの1~6速の間ならどのギアレシオでも、いつでも選べる。 MTの完全上位互換なのである。
エンジンの効率の良い所を使い続けることも、レッドゾーンで運転し続けることも可能。CVTは実用化までは理想の変速機と言われていた。 日産が究極と銘打ちエクストロイダルCVTまで実用化。
MTだと1速全開で2速に繋いだ瞬間加速度が鈍る。 もしB7/RS4がCVTなら、8250rpmを保ったまま、1速から6速まで変速が出来るし、暖加速なら燃費の目玉であろう3500rpmをずーっと保ちながら加速が出来る。 パワーが必要無ければ、さっさと6速に変速し燃費を稼ぐ。 エンジンブレーキも8250rpmに保てるが、強過ぎるかしら。
でも実際のCVTはちっともエンジンブレーキが効かない。 トランスミッションを守るためかしらん。
物心ついた頃から、CVTは変速機の理想形と聞いていたのに、現状はなんだかなーって感じ。 阪神の新外人みたいな見かけ倒し感ありあり。 おもに採用は、日本メーカーだけかしら。
何故そんなことになるかというと、変速に時間がかかる。 にゅーぅっと変速している時間が人間には待てない。 自分で変速するMTの変速時間は待てちゃう(これはMTだけに許される特権)のにCVTの変速時間は待てない。 PDKでも変速時間をあらさがししちゃうからね。 自分の変速時間が許せない人間は、プロだけでしょう。
全ての変速機が③CVTに変わっても不思議ではないのだが、CVTには大きな弱点が3つ
i)入力許容トルクが小さい: パワーの大きなエンジンには使えない。
しょぼいエンジンと組み合わせるから、変速しないと加速出来ないんだが、その変速に・・・・・
ii)変速に時間がかかる: スパスパ変われない。 ウヨーンてって感じ。
iii)伝達効率が良くない: 摩擦で動力を伝えるのが損。 歯車はああ見えて転がりで力を伝達してる。 ずっと油圧を維持するのも動力を食う。 高速で一定速で走ると、伝達効率はMT>AT>CVT
しょぼいエンジンを低速で変速しながら使うのには都合良く、エンジンが小さめの軽~リッターカー~ミニバンには適するが、変速なしで走る高速走行などでは、素性の悪さ(そもそも伝達効率が良くない)が露見する。
おまけに常にベルトを滑らないように圧力を掛けて挟むパワーをエンジンは食われちゃう。 高速での効率が悪く速度のレンジの高い欧州では、始まって無いのに終わったと言われている。 使える国土が狭く、道が混み合い、最高速度が100km/hの日本では、無段変速の長所が活かせ、短所の高速での効率の悪さの影響が小さい。 私は好きではないが、安価、軽量を武器に、平均速度の低い日本では、まだまだ戦闘力がありそうです。
CVTでも運転席の左前のハザードランプのボタンのあたりにでっかいボリュームつまみが有って変速比をマニュアルで変えれたら結構良いかも。 発進時のクラッチを何にするか迷いどころ。
ただ、それでは燃費の目玉の巡航がしにくい。
では、ボリュームつまみを止めて、でっかい3つのボタンにするか。(タイトル画像参照)
「燃費の目玉キープボタン」「レッドゾーンキープボタン」「車任せボタン」 モグラ叩きか(笑)
運転モードの切り替えが美しくないのでNG。
実はMTのシフトチェンジって結構エレガンスだったりして。 ってことはないか。
つづく
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5番勝負 | 日記
Posted at
2017/10/28 15:41:48