ちびーたのブログ一覧

小さく扉が開く音がした。
　次にこもった声で「お前等!!」とか「寝ろ」やら「いい加減にしとけ」なんてのが聞こえてきた。

　パタンという音と共に、また扉が開く音がした。
　となりの部屋だ。
　そして、また同じようなセリフを言っている。

　「おい、聞こえてるか?」
　　Oの声だ。
　何の調子か、いきなり回復した。
　「聞こえる、こっちのは届いてる?」
　「かなりクリアに聞こえる。今、玄関前ゲーセン到着」

　「こっちは、先公が隣の部屋まで巡回してる。次、ここくるから物陰に隠れて待機してくれ。ヤバッ!!」


　ガッ
と、扉が開く音がする。
　この部屋まで先生が巡回に来たのだ。
　薄目で見てみたら、軍手でビンタする恐ろしい美術のZ先生だった。


　しかし、先生は扉を開いてすぐに小声で「あれっ?」と言った。


　そう。
　我々は前二部屋の愚かな奴等と違い、完璧に静かな狸寝入りをしていたのだ。

　先生は、かなり拍子抜けしたようだが、誰一人としてイビキすらかいていないのを不信に思ったのか普通の声で
「起きてるのは分かってるぞ。騒がないで、そのまま寝るんだぞ」
　という捨て台詞をはいて去っていった。


「今、美術のZ先生が回ってきた。このまま回ると仮に下にZが移動する場合、玄関左側の階段を使うかも知れない」

「こっちは、今、ゲーセンの隅で待機中。Zの動向で一時撤退かどうか決めたいから、先公の動きを教えて」

「了解。おい、先行隊が先公の動向を教えろってさ」とみんなに伝えると、早速、扉をそーっと少しだけ開けてMが様子をみる。


　どうやら、廊下の電灯は消されたままだ。

　「双眼鏡、貸せ貸せ!」
　Mが、廊下の窓から双眼鏡越しに覗いてみると先生のシルエットが二階の廊下を移動していくのが分かった。
　その影は、先生達の部屋のとこまで行き扉が開くと中は灯りが煌々としておりZ先生が中に入っていくのが見えた。
「先公、部屋に戻ったぞ」


それを受け、俺は、まんま先行隊に驚異が去ったことを伝えた。
しかし、この通信も一時的に回復しているだけで、彼らが今の位置から更に移動するとまた不通になる可能性が大である。
「どうする、一回引き上げさせた方がいいんじゃね?」という俺を遮る様にAが俺のラジカセのマイクをとり、こう言った。

「お前等、サイフ持ってってるか?」

「あるけど何?」


「お前等、ゲーセンにいるんだべ?クレーンゲームの電気入ってるか?」

「おう、入ってる」

「お前等、ゲーセンまで行った証拠になんか掴んで持ってこいや」

「えっ! これ一回百円もする。ちっと高いべさ!!」

「いいから、やれって!!」

本来、Aは番長グループにいくべき奴なのだが、俺とAは切手収集仲間でもあったため俺と同じグループにやってきたのだ。
　そんな奴に逆らって凹まされるよりは従った方がいいし、それにゲーセンでなんかさせてから撤退させた方が面白いじゃないか。


「いいか、なんか取れるまでやれよ?」

「りょ、了解・・・って、すぐ取れるのかよ・・・」

　なかなか良い指令だが、なんだかクレーンゲームにAが拘った気がして聞いてみた。

「俺、あのクレーンゲーム。二階に来る前によくみたんだ。したらエロゲームとかって書いてあって、当たりはパンティが入ってるって書いてあった。だから、なんか持ってこさせるべや」

　そういうことか。
　それを聞いた全員が俄然盛り上がった。

「お前等、なんか取るまで頑張れ」「なんでもいいから、掴んだら戻ってこい!!」

「お前等、人のカネだと思いやがって・・・あっ、失敗した!!　次、お前やれよ!!」
「早く取らねえと先公来るって!!ヤバいって!!」
「やってんだよ!!　焦らすなや!!・・・・お!!やった!!取った!!」

　なんか取れたらしい。
「大至急、帰還しろ」


小走りなのかハァハァ言う声か聞こえているが、途中で途切れて、また回復した。
　どうやら階段のあたりで電波が途切れる。

　間もなく、OとKが少し息を切らして帰ってきた。
　手には、マイクと共に野球ボールより少し小さい透明カプセルが握られていた。


　カプセルを見ると、なんか平たいものが入っている。
　明らかにパンティーじゃない。

「なんだ、これ?」
Oがひねって開けようとするが固くて開かない。
　力を入れているうちに、安っぽいプラスチックのカプセルはビシッ!という音と共に変なとこから砕けてしまった。

　
　中の物は、厚紙で二つ折りになっている。
　開いてみると、上手とは言いがたい女性が股をおっぴろげた絵で肝心の部分が黒い丸になっている。
　開いた縁には、マッチがズラリと並んでおり

「わたしに火をつけて・・・」というセリフが・・・

　Aがマッチを一本むしって、股間の黒い部分にこすりつけると火がついた。


　その火がついたマッチを、しばらく茫然と見つめる俺達だった。。。



つづく

昨日のフィルターなんだが、今日、100ボルトの静音ファンが出てきたので、そっちにチェンジ

形状も仕組みもシンプル。
風量も劇的に上がって、これで完璧

これで明日１日様子みてみよう