
いっきにジメジメしてきて暑いですぬ。
6/4にツインで燃やしたキャリパーですが、
ローター替えてもパッド替えてもキィキィ哭きまくるので、
…うーん、ピストン動いてない系??(; -´ω`-)
と思って、オーバーホールの段取りをしている今日この頃。
相変わらず、一度走れば無事では済まない、手のかかる子だことwww
今回のBGMは2冊目のイメージ(笑)。
ディック・レイア ジェラード・オニール 『ブラック・スキャンダル』 (2000, 2012)
原題『BLACK MASS』
1975年から97年まで20年以上に渡って、ボストンの裏社会に君臨し続けたギャング、“ホワイティ”・バルジャー。
同じ町角で育ったFBI捜査官、ジョン・コノリー。
共にアイルランド系の血を引くこの二人の間で交わされた密約は、やがて私利私欲の為に乱用されFBIボストン支局全体を腐敗させていく。
FBI至上最悪の汚職を暴くノンフィクション。
『密告者のゲーム』というタイトルで2000年に出版された内容に、文庫化に際し、出版当時はまだ逃亡中であった “ホワイティ”・バルジャー の逮捕、その後の捜査・裁判の結末をエピローグとして加えた、いわば “完全版”。
このタイトルで映画化もされています。
アメリカの法執行機関は、まずそれぞれの州に州警察があり、これは日本の県警と同じ。州を跨ぐ捜査には色々と制約がある。
FBIは、その州の線引きに囚われずに米国国内全域で活動する上位組織。
(だが、州警とFBIは伝統的にあまり仲が良くないらしい?)
ちなみに、CIAは米国国外の国際案件を取り扱う組織。基本的に国内の事案には不介入。
そのFBIボストン支局を舞台に、20年以上に渡って繰り広げられた汚職の実態。
同郷の連帯感を下地にした持ちつ持たれつの相互関係が次第に暴走し、支配関係が逆転し、FBIエージェントが犯罪者のようになり、ギャングのボスが警察のようなしたたかさを見せる。
ノンフィクションなので、やや展開に中弛み感はあるものの、先が気になる内容で一気に読めます。
バルジャーは敵対マフィアを潰すための情報をFBIへリークし、コノリーは警察の捜査情報をリークしてバルジャーの安全を図る。
お互いが個人的に親密になり、FBI職員とギャングがホームパーティーで贈り物をし合う。
遂にはコノリーの口からは「殺人さえしなければ何をしても捜査から守る」などという言葉まで飛び出す。
どこの映画の中の話だよ、と。
正に “The fact is stranger made than fiction”、
“事実は小説よりも奇なり” 。
エリザベス・マシー 『ヴェルサイユ』 (2015)
フランスの歴史のみならず、世界史全体で見ても最も華やかな歴史上人物の一人であろう
ルイ14世。
72年間にも及ぶ在位期間を誇り、"太陽王" と称された。
その青年期を描いた、フランス・カナダ・イギリスが共同制作したドラマのノベライズ。
"The 中世" 、ヨーロッパの最も華やかな時代、17世紀の王族の生活を描いた物語が華やかでないハズが無い(二重否定w)。
本作で描かれるのは1667年〜1670年、ルイが28歳〜31歳の頃。
かのヴェルサイユ宮殿の建築(というか、厳密には増築)の初期。
元のドラマはシーズン2、シーズン3と続いているので、そちらも続いてノベライズされる可能性大。
本作の終わり方も全然話続いているので、むしろ続刊しないとブーイングw
完成したヴェルサイユ宮殿の姿しか知らない我々現代人からすれば「昔の人は凄かったのねー」程度のもんですが、重機も何も無い時代にあれだけ広大な建造物を、あれだけ(景観的にも設計的にも)美しく仕上げる事がどれだけ途方もない事なのか。
中世貴族の生活ってこんなんなのねー、とカルチャーショック(文字通り、文化的面での価値観の差)も色々あり。
その例の一つ。物語の中で重要なポジションにもある人物が「ルイの弟 フィリップの、
同性の愛人」。つまりゲイ。
この愛人が公の立場で堂々とフィリップと共に居ること。
もちろんフィリップには別に正妻も居る。
江戸時代の日本でも男が男の愛人を持つことは一種のステータスとして、むしろ社会的評価が高いことであったとも言われますが、中世ヨーロッパに於いても同じだったのでしょうね。
知識として知ってはいても、そういう関係が公認されている社会というのは、やはりちょっと現代の感覚から見るとイメージしにくい。
…まぁ、たぶん当時もごく一部のマニア嗜好だったんでしょうけど。
華やかな宮廷暮らしの中にも不和や陰謀は日常茶飯事。
最も危険な敵は最も近くに居る。
72年間の在位期間は決して安穏無事ではなかったという事の一部を描いた本作。
映像の方も見てみたくなりました。
ハーラン・エリスン 『ヒトラーの描いた薔薇』 (2017)
アメリカSFを代表する作家(脚本家としての方が有名かも?)、エリスンの短編集。
2017となっていますが、日本で独自に企画した短編集で、収録されている作品群は1957~1988の13篇。
解説にもあるようにエリスンの特徴は一言で言うと「怒り」。
世の中に溢れる、自分の周りに溢れる、理不尽・不条理への絶望と怒り。これが大多数の作品に見られる。
人間一人では太刀打ちできない大きなモノに対しての怒りと暴力。全てをブッ壊してやる、とでも言うかのような。ある種の悟りのようなものも見える。
展開もスピーディーなものが多く、エリスン自身が非常にエネルギッシュな人間であることを物語る。
とはいえ、晩年の作品では怒り成分は薄まり、哲学的で崇高なテーマのものも。
「SF」に分類されてはいるものの、その作風はどちらかというとファンタジーに近く、どこか不気味でもあり、神秘的でもある。現代社会をベースにした「奇想小説」とも言える。
サクサク読める話が多く、大抵どこかに “力の発散によるカタルシス” のような部分があるので、ある種の爽快感も味わえる。が、
ありきたりな “勧善懲悪” “ハッピーエンド” な話は殆どありませんw
斜めに立っているひねくれ者を自負する方には強くお勧め致しますw