
WRCの22シーズンもいよいよ開幕しましたね。今シーズンは新規定のハイブリットシステムによるラリー1の初年度ですが一番の話題はセバスチャン・ローブのモンテカルロ優勝でしょうか。
ローブ様のWRC優勝は史上最年長だそうでこれまで積み上げた80勝と言う数字ももちろん史上最多。WRCでの通算勝利数を並べてみると…
ローブ 80
オジェ 54
グロンホルム 30
サインツ 26
マクレー 25
マキネン 24
…オリオール 20
アレン 20
手が付けられなかった印象のマクレーやトミマキが25前後。長い間WRCを牽引したサインツでさえ26。勝ちまくっていた印象のオリオールやマルクアレンに至っては20勝ですからローブ様の80勝がどれだけ規格外かわかります。

個人的にはWRCを引退して久しいローブ様がワークスのレギュラードライバーと同程度のペースを持っているだけでもとんでもない事だと感じますが実際は大会全期間を通じてローブとオジェの2人のペースは他の選手を圧倒していました。
バレエでは練習を一日休むと自分が気付き三日休むと観客が分かると言うそうです。モータースポーツでもこれほど第一線から離れていた選手が勝つというのは‥

不確定要素が多いラリーは経験値がものを言うという競技の性質。新規定になってデータがない分、全員スタートは横並びだったとかスポット参戦の場合ギャンブルがかけやすいとか。Mスポーツが良い仕事をしてプーマラリー1の戦闘力が相対的に高かったのもローブには福音だったでしょう。なによりここがモンテカルロだという事も。それらが絡み合っての今回の優勝だったのでしょう。しかし結局はそれをものに出来るローブ様の突き抜けた走り。スター性。
そしてもう一方の主役オジェの王者の風格。

このラリー最大の勝負所DAY3のシステロン。今年はスノーはごく一部でアイスがのっている路面を合わせてもステージ全体ではドライ路面が多いコンデション。
ここで2位につけるローブが4本ドライタイヤでアタックするというリスキーな奇策。さらに上を行くのがオジェ。たまたま横に並んだローブがドライタイヤなのに気づいて自身のマシンも急遽スノータイヤからドライタイヤに交換しローブとイコールコンデションでアタック。結果はオジェが16秒ローブに差をつけました。

ようはオジェはローブと同じ条件なら自分の方が絶対に速いという自信ですよね。まさに王者の矜持。同条件で大幅にタイムが広がらなければいいわけですから戦略的にはありなのかもしれませんがドライタイヤでスノーを走るリスクは当然あります。全てを失うリスクも。もしこのタイヤ変更でミスがあればローブにのせられたと言われる危険も…ラリーリーダーとしてはタイム差を考えながらタイヤ戦略でのリスク管理を行う選択肢もあったはず。それでもローブと真っ向勝負に臨んだオジェの凄み。マイスターとよばれる二人だからこその勝負ですよね。
この二人もすでに選手権からは引退しています。世界王者8回と9回の伝説の対決は二度とみられないかもしれません。いやホントいいもの見たなぁ。ラリーファンで良かった。しばらくぶりに興奮したWRCでした。
Posted at 2022/02/09 17:21:07 | |
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