
先日ガソリンスタンドで給油していると向かいで給油していた方に声をかけられました。その表情は強張っていて何やら不穏な雰囲気。こちらも唐突なので身構えてしまいます。
「間違ってハイオクいれてしまったんですがこれって大丈夫なんでしょうか?」

ああ。それで焦っていたんだ。確認させてもらうと確かにレギュラー仕様車でした。昨今はスタンドはセルフ式が増えていますが慣れていないと案外間違う物なんでしょうか。入れる前にタッチパネルで自分で指定しているはずだけど。それにしても軽油を入れていなくてよかった。
昔、知り合いに「あのハイオクって何者ですか?😠随分割高ですよね。れいぽんさんみたいにスピードだす訳じゃないし、安全運転だから普通の方でも大丈夫ですよね」って相談された事があります。当時のワタクシの愛車はホンダのクーペタイプ。2枚ドアだから暴走だ!って言うのもあんまりですが(笑)話を聞くと親類から譲られたクルマがハイオク仕様だったらしい。うーんこれはノッキングから説明しなくてはならないのか…まあ今の車はノックセンサーも付いているしある意味間違いではない…のか?
ノッキングとオクタン値。個人的にはクルマよりヒコーキの方に思いがいく。
現在国内ではハイオクはオクタン値96以上レギュラーは89以上と定められています。でも昔は必ずしもそんなに事は簡単じゃなかった。古の時代はヒコーキのエンジンもレシプロだったから燃料は基本的には同じガソリン(揮発油)。大戦期は高オクタンの航空燃料が枯渇して枢軸側は苦労したんだよね。
日本の場合は戦前に備蓄していたオクタン値92の航空92揮発油を主に一線機に使用していた。それも途中からは底をついて91に落とす事になっちゃう。ドイツは合成燃料があったからまだいい方で96オクタンのC3燃料とか87オクタンのB4燃料がよく知られている。だけど苦しい事には違いがない。なんたって対する連合国はハイオクガソリンの総本山の米国。100オクタンをじゃんじゃん潤沢に使用できる。途中からは115/145なんて物まで使用しているし(これパフォーマンスナンバーといって単純に140オクタンでは無いんですが文が長くなるので💦割愛)
ヒコーキは高度が上がると空気は薄くなってくる。パワーが落ちるので過給機でどんどん過給して対応する。でも過給圧を上げるとノッキングしやすくなる。そうなると全力運転は厳しいので時間制限をかけたりブーストを下げたり。この辺はクルマより辛い。当然オクタン値が高い燃料の方が俄然有利になってくる。枢軸側は相対的に高空性能が苦しい。マーリンエンジンの進化なんかにもこれがかなり効いてくる。

黄色い三角にC3と書いてあるのが96オクタン以外入れないでねって印。今の車ならフューエルキャップ周辺に貼ってあるハイオク専用のシールと同じ意味です。ちなみにこのメッサーシュミットのマーキングには87って書いてあるものもあります。同じダイムラーDB系のエンジンでも時期、形式によって87オクタン指定になったり96オクタンに戻ったり。100オクタンをひたすら邁進する連合国と比べるとその台所事情が偲ばれます。

ルマンで一方の陣営のみがハイブースト仕様の予選用セッティングのまま24時間走り切れちゃいました!えー嘘!ってくらいの違いだと思う。
まあいつの世にも横紙破り?はいるものでこの人は87オクタン仕様でありながらの「お化けスペック」。 V12のスーパーカーにレギュラーガス入れるみたいなもん?よく壊れたみたいだけど。

まさに狂気のアイドル。
ああ💦だいぶ脱線した。ラリーでも昔は有毒な特殊燃料とかアブガスも使われてきました。まさに弾が飛ばない戦争💦
先日ラリー関係の友人と飲んだ時にラリージャパンの参戦費用の話題になってFIA燃料は目ん玉飛び出す値段だったって話しで盛り上がった。今ならリッターいくらくらいなのかな。昔も今も戦いの場ではお金がかかる事に違いはありません。そんなラリーでもWRCのrally1はサスティナブルな非化石燃料が指定になっている。市販車もEV化の流れも少しずつでも確実に広がってきている。時代は確実に変わってきている。
今後はハイオクのオクって何のオク?イソオクタン?どころか誰の記憶にも残らない死語になるのかもね。
Posted at 2023/12/19 21:48:57 | |
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