
先週、十勝港で一般公開された護衛艦「いせ」の見学に出かけてきました。これほどの大型艦が北海道で一般公開されるのは珍い事です。以前小樽に来航した「かが」や今回と同じ十勝港に来た「ひゅうが」の時はスケジュール的に難しく見学が出来ませんでした。これは今でも悔やんでいて今回はちょっと無理してもと言う感じで出かけました。

遥か遠くからでも小山の様なアイランドが見えます。護衛艦いせの排水量は1万4千トン弱。いせより大きな民間の船舶は山程ありますが艦艇の放つ緊張感、密度感はある種独特なもので迫力はその比ではありません。

さあ、いよいよ乗艦です。

まず乗艦して入ったのは広大な格納庫。10機ものヘリコプターを運用できるスペースはここが何処なのかわからなくなるスケール感です。

そして今回のメインイベント、エレベータに乗って上甲板にでます。多数の見学者が同時に乗っていますが普段は完全装備のヘリコプターを乗降させるエレベータにとってはなんて事はありません。

実際乗ってみると思いの外、スピードが速いのに驚かせられます。
動画も撮ってみました。

上から見るとこんな感じ。甲板の厚みが思いのほか薄いのも印象的。飛行甲板に装甲を張るなんて遥か昔の事なんですねぇ。

上甲板は海風が心地よい。この艦の特徴でもある島型(アイランド)の上部構造物。フェイズドアレイアンテナが目立ちます。「いせ」は大きい方のCバンド面と小さなXバンド面の2つが並んで装備されています。これは航空機運用に特化した「いずも」型が対空誘導弾用のCバンドレーダーを省略しXバンド面のみを装備しているのと対象的です。このアンテナ面が2面並んでいるのが個艦としても強力な兵装での対潜、対空戦闘を志向する「いせ」の性格を物語っています。

艦首側のファランクス。右舷側にオフセットされて装備されています。艦の大きさから考えると豆鉄砲ですが間近で見る20ミリの弾帯は異様にゴツく巨大な印象を受けます。「いせ」のものは対空射撃だけではなく水平にも射撃可能に改良されたものです。艦尾の左舷側のスポンソンにもう一門装備されていました。

3連装の魚雷発射管。ステルス性を考慮して蓋がついていました。公開でハッチが開けられていて多いにはしゃぐ大人達(笑

ランチもでかい!こちらもハッチ付き。

アンテナ類も可倒式。

大人気のSH60K。

この汚れ方がたまりません。

デッキの表面はアメリカの空母等で見られるのと同様の独特な滑り止め塗装が塗布されていました。

後部甲板にあるVLS(垂直発射装置)この船の矛ですね。16セルあります。

フライトデッキを歩いてみるとサッカーを出来そうな広さですが空母として考えるとやはり手狭なんでしょう。アイランドが思いの他コンパクトにまとまっているのもそう言う印象を受ける要因かも。隊員の方にお話しを伺うとクロスデッキでオスプレイを着艦させる場合は後方デッキを使用するとの事でした。オスプレイもかなりの大型機ですからたいした物です。

いせの艦種記号はヘリコプター護衛艦(DDH)。あのなじみの「はるな」級と同じDDHです。しかし実際に見学してみるとこの艦の航空兵装の充実ぶりはヘリコプター空母といった方がしっくりきます。そして空母としてだけではなく個艦としての攻撃用の強力な兵装も有しているところが印象的です。
その部分では「いせ」のご先祖、帝国海軍の初代「伊勢」を彷彿とさせます。航空戦艦「伊勢」は艦前部の主砲塔は残す一方で艦後部の二つの主砲塔を撤去して飛行甲板を設けて戦艦と空母の二つの性格を持たせた異形の艦です。

戦績はともかく小説にでも出てきそうな造艦史上でもユニークなフネでそれを考えると護衛艦「いせ」の艦名はほんとぴったりだなぁと上甲板を歩きながら思いました。

艦尾もステルス性を意識したスタイル。

いせを見学したあとは向かいの埠頭に停泊していた他用途支援艦「すおう」も見ていきます。こちらは艦内の一般公開はありませんでしたが外観は観察できました。

デリックが目立ちます。

艦の大きさに比較して巨大な前部構造物に後部のフラットデッキ。バランスの悪さがこの艦の特殊性を表しているようです。こちらのフネもかなりのレア^_^

お土産もたくさんいただき、買い物でも存分に散財💦いい休日になりました☺️
Posted at 2024/07/30 23:23:49 | |
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