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イイね!
2013年06月20日

彼女がつけたブラックマーク 第2章 【セリカ編】 その15

懐かしいネタや動画などを挟んでしばし中断しておりました、創作シリーズ。
割といいところで切ってしまったこともあり、身近な友人達からは、FRBの量的緩和への示唆はお前がもったいぶるからなどの罵詈雑言を投げられ、一方、熱心なみん友さんからは、身に余るお言葉を頂戴しつつ、再開と相成りました。

長文につき、帰宅途中のお暇な時間にでもご一読下さい。

ちなみに、その14はこちら>>>

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空いた直線路でキックダウンをすると、カムのリフトが高速側へと切り替わり、キャビンに響き渡る、B16Aの乾いたサウンド。
2段ロケットのような加速が背中を押し、それとシンクロしながら自我が理性をちぎり捨てていく。

僕の視床下部は、ナオちゃんの発するエストロゲンの虜にさせられてしまっていた。
その証拠に、下腹部に集まった血流は、一向に落ち着く様子がない。

当のナオちゃんは、僕の空いた左手に、時々手を置いたり、指を絡めたりしながら、目的に着くまでの火照った体を持て余しているようだった。

何個か信号を通過したところで、ナオちゃんのカバンの中の携帯がブルブルと震え出した。
それを手にとったナオちゃんは、
「うわ、会社からだ。どうしよう。」ディスプレイをじっと見つめたまま、
「出るの?」とFMのボリュームを絞る僕に、
「う、、、うん、やっぱり気になる。」と言って、通話ボタンを押したのだった。
「はい、あ、お疲れ様です。いえ、大丈夫です。ええ?本当ですか??分かりました。はい。」
短いやり取りの後、携帯をカバンに仕舞い込んだナオちゃんは、メイク道具を取り出し、慌しくファンデーションを重ね出した。
そもそも、こんな時間に個人の携帯に掛けてくるなんて、ロクな用事であるはずがない。
「あのね、アキヒコが、LCの手続き間違ったんだって。全然別のINVOICEとBILLつけて出しちゃったみたいで。」
ナオちゃんにアタックして玉砕した同期のチャラ男だ。
(おいおい、もしかして、ワザとかよ。)と僕は心の中で、してやったりのニヤケ面のアキヒコに正拳突きを見舞ってやった。
だが、望みはまだある。
「もしかして、会社戻るの?」
「銀行終わっているから、明日でもいいんだけど、今日中に処理しておけば朝一で間に合うから、戻ったほうが確実かも。でもさ、経理も通った後だなんて、誰も見てないってことでしょ。総合商社なのに信じられない。あー、また着替えなくちゃ。といことで、悪いけど会社に向かって。」
と、すっかり営業事務の顔に戻ったナオちゃんは、信号待ちで後部座席に移動すると、スーパージョッキーの熱湯コマーシャルかと思うほど、あっという間に制服に着替え終わっていた。

望みを打ち砕かれた僕の役割は、ただハンドルを握り、ナオちゃんを会社に送り届けることだけだった。
普段のナチュラルメイクへと準備が終わったナオちゃんは、会社に着く前に、
「ねえ、ちょっとそこに止めて。」と路肩を指差し、言われたとおりにシビックを入れ、サイドブレーキを掛けた僕に、
「ごめんね。」とふいに唇を重ねてきたのだ。
ナオちゃんのふわりとした香りともに薄くて柔らかい感覚が、僕の一点に集まってくる。
だが、その感覚は数秒も経たない内に離れていってしまった。
「行かなくちゃ。」と顔を上げ、はにかむナオちゃん。
再びシビックを走らせる僕は、
「知っている?ちーちゃん、キス嫌いなんだよ。」
と告げてきたナオちゃんの顔を、直視できないでいた。
結局、僕は会社近くの地下鉄で帰宅することになり、不完全燃焼状態はまたしても持ち越されることになった。
ちなみに、ナオちゃんは会社の計らいで、タクシーで帰宅し、翌朝タクシーで出社してきた。
それ以降、ナオちゃんの仕事も月末のシメに入り、そして僕も彼女がたんまりと残していった申請書の処理に追われ、彼女がハワイに行っていた1週間は慌しく過ぎていった。



『ハワイから戻ったよ~&絵文字 迷惑かけてごめんね。何か問題あった?』
彼女からメールが入ったのは、日曜の夕方だった。
『お帰りなさい。特になにもないよ。』
と返したはいいものの、僕の心にはあることが引っ掛かっていた。
ナオちゃんとどうかなりそうだったこともそうだが、それよりも、あの日の夜、ナオちゃんからもらったメールの中に、
『ちーちゃんには気をつけてね。』と書かれた一言だ。
ナオちゃんとは、あれ以来、ほとんど話をしていない。
メールも2回程度やり取りしただけで止まっている。
向こうもそれほど僕を意識している風でもなく、帰国した彼女とややこしいことになることは、ナオちゃん自身が望んでいないように思えた。
深入りすれば僕が傷つくことへのナオちゃんなりの警告だろうと、この時は、高をくくっていたのだった。

(続く)
ブログ一覧 | 創作シリーズ | 日記
Posted at 2013/06/20 14:51:41

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この記事へのコメント

2013年6月20日 17:56
なにかが始まりそう予感ですね~(笑)
コメントへの返答
2013年6月20日 23:14
さか、ゆうさん、はい、始まりますよ~
さらにエロけしからん描写とえげつない展開がございますので、このSNSで許されるモラルラインギリギリのところまで続けてみたいと思います!!
2013年6月20日 18:05
こんばんは!

二人して、ターゲットをいじって楽しんでいる?!(瀧汗)
コメントへの返答
2013年6月20日 23:16
くまぷぅさん、こんばんは!!
なんという慧眼をば(汗)
女の子同士の仲良し関係は、色々と厄介で複雑ですから、あまり深く関わりたくないですね。
女性二人の関係はさらに拗れて続きますので、どうぞお付き合い下さいませ。

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何シテル?   06/12 10:29
20年前に偶然出会った96年式M3CLimousineを溺愛すること4年、そして涙の別離を乗り越え、その後、やって来たE46M3と忘れえぬ10年来を共にした不人...
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