
偶然のなせる業か、森繁久彌も森光子も高倉健も
命日が11月10日と聞く。
ひょっとしたらあの世の
芝居興行の初日が11月10日で、神様が主役クラスの役者を物色しているのかもしれない。
さて、代表作は数々あるが小生にとっての健さんは、やっぱり
昭和残侠伝の花田秀次郎だ。
花田秀次郎は
筋を通す漢である。
賄賂の5000万円を死んだ妻に追っかぶせたりはしないし、目先の利益のために福島原発は完全にコントロールされてます・・・なんてことは口が裂けても言わない。
だからいつも
我慢の連続、忍の一字なのだ。
出征中に許婚が別の男と所帯をもっても
我慢。
弟分が敵の手に捕えられ、引取る際に自分の肩口に銃弾を撃ち込まれても
我慢。
苦労して建設した屋根付きマーケットが放火され、全焼
してもまだ我慢。
が忍の一字にも限界がある・・・。
弟分が無残に殺され、義理ある人が非業の最期を遂げるや、花田秀次郎の
怒りは頂点に達する。
ところで、昭和残侠伝・唐獅子牡丹シリーズの見せ場は何といっても
様式美と色気だ。
耐えて忍んで、怒りを一気に様式美へと昇華させるのが高倉健の仕事なら、男の色気を振りまく専任担当は池部良。
そういえば昔ハリウッドから大物女優が来日した時、三船敏郎と鶴田浩二と池部良のブロマイド写真を見せ、この中から好みを選んで・・・と言ったら即座に池部をチョイスしたと
淀川長治が語っていたっけ。
たった二人で敵地に赴く際、高倉はギラギラと燃えるような眼をしているのに対し、「生まれた時は別々だが、死ぬ時は秀次郎さん、あんたと一緒ですぜ」
という池部の眼は、
悲しさに満ち溢れている。
この対比の妙の素敵なこと。
決して演技派俳優とは言えないご両人だが、
スターはこうでなくっちゃいけない。
いずれにせよ、今の学芸会タレントや演出家にはこういう作品はつくれっこないんだから・・・。
殴り込みのBGMも、武骨な感じで歌う高倉だからこそ
サマになる。
♪親にもらった大事な肌を
墨で汚して白刃の下で
積もり重ねた不幸の数を
何と詫びようかお袋に
背中(せな)で泣いてる唐獅子牡丹♪
そして、お決まりの「
死んでもらうぜ」
この台詞が出ると、全学連の連中が映画館で
「
異議なし!」と言ったという逸話があるほどだ。
大抵の場合、池部は敵のNO2と相討ちになり死んでしまう。
一方、背中と胸の辺りを斬られながらワル親分を叩き斬る不死身の高倉である。
ラストシーンがあっさりしているのも、何とも心地よい。
人間関係がますます希薄化し、義理も人情もへったくれもない昨今だ。
せめて
虚構の世界の中だけでも、納得できる生き方を模索しつつスカッとしたいものである。
そこで昨日、花田秀次郎とはまるで正反対の俗物の小生が、スカッと走りたいのを我慢できずにまたぞろ山道に行ってみた。
8時50分、自宅を出発。
ホンダN-ONEの背後に迫る不気味な影・・・。
毎度いろは坂では芸がないので、桶川北本から圏央道に乗る。
さらに中央道へ。
ゆっくりと景色を堪能する。
八ヶ岳PAでトイレ休憩と軽食をとる。
天気も上々だし、時間もまだ12時半なので、美ヶ原高原に行ってみたくなる。
諏訪で下りる。
標高が高くなるにしたがい雪が・・・。
ノーマルタイヤなので引き返したほうがいいかな・・・?と迷う。
が、案ずるより産むが易しだった。
トウチャコである。貸し切り状態の駐車場はマイナス2度。
大谷が先発する
日米野球をテレビ観戦するため、とんぼ返りする。
恥ずかしいから小さな声で言うのだが、雪がシャーベット状になったゆるい下りで
悪戯してみる。
某国の総理とは違い正直に告白すると、クワトロといえどもコントロールは限りなく不可能に近かった。やはりクルマはタイヤが命だ。
いい歳をして、
反省!
帰り道は県道62号から
152号~県道81号へ
東部湯の丸ICから上信越自動車道に乗る。
18時25分、帰宅。
テレビ観戦に間に合う。
距離にして約500キロの、楽しい一人旅であった。
Posted at 2014/11/19 20:29:41 | |
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