
吾々にとって幸福なことか不幸なことか知らないが、世に一つとして簡単に片付く問題はない。
遠い昔、人間が意識と共に与えられた言葉という吾々の思索の唯一の武器は、依然として昔ながらの魔術を止めない。
劣悪を指嗾(しそう)しない如何なる崇高な言葉もなく、崇高を指嗾しない如何なる劣悪な言葉もない。
しかも、もし言葉がその人心眩惑の魔術を捨てたら、恐らく影に過ぎまい。
(小林秀雄 「様々なる意匠」 1929)
一昨日の夕方、
送り火を焚いた。
何やら盆送り火の
正しい作法は、麻の茎の皮を剥いだものを門口で焚くらしいのだが、ここ下宿のオバサンの実家
はちと違う。
つまり、そんな七面倒臭いことはせず、盆提灯に火を入れるだけ。
とはいえ、家の門口で見送り終了ではなく、寺まで提灯を持
ってご一緒するのが慣わしである。
そこで16時15分、愛車Nutron R51LXPに乗り、自宅を出発。
下宿のオバサンの両親たちが眠る寺を目指す。
トンネルを抜けると
そこは田圃だった
釣れますか?
寺のすぐ近くでA4アバントを発見。嬉しくなって思わずシャッターを切る
トウチャコである
年に一度のお客さんを、間違いなく送り届けるという
任務は完了した。
この寺に来ると、どうしてもこの
連中が気になる。
17時50分、帰宅。
ビールを飲みながら広島・巨人戦を観戦する。
5回表で雨が激しくなり、中断。
仕方なく、NHKを見る。
終戦記念日だから、「日本の平和を考える」というテーマで討論番組が行われているらしい。
NHKアナウンサーの司会のもと、どこかで見たような6人がそれぞれ自説を展開していた。
しかし、その中のひとりである
鳥越俊太郎氏の発言を聴き、いっぺんに
酔いが醒めた。
「一体どこの国が日本に攻めてくるというんですか!?。具体的に教えてください。そんなことはあり得ない。妄想です!」
と、他の発言者に
食って掛ったかと思うと、次の発言では、
「中国が攻めてくる可能性はゼロではないから、自衛隊は必要。」
と言う。
この論理破綻は
放送事故なのか。
あるいは、鳥越氏の
脳ミソの調子が相当悪いのか。
それとも、正真正銘の本気なのか。
唯一同意できたのが、
「アメリカに頼らず日本の防衛は日本が主体となるべき。」
という意見だったのだが、それなら鳥越氏は徴兵制に賛成かと問えば、そんなことはあり得ないだろう。
なぜなら、
徹底的に論理矛盾している人なのだから・・・。
一方、日本紛争予防センター理事長である
瀬谷ルミ子氏の発言は、的を射ており説得力に満ちていた。
彼女はこう言う。
「我が国が切れる外交カードが少な過ぎる。もっと増やすべきだ。人的派遣や経済援助の他に、
日本が蓄積している知恵の提供という方法もある。諸外国はそういった工夫を重ねている。」
と・・・。
最近、このような
まともな意見を発する人は実に貴重だ。
まともで思い出したのだが、LINEを使って女子中学生を恫喝したと報道された府議の件で、テリー伊藤氏が、
「こいつ
キモいよ!」とテレビで発言し、逆にこの府議がBPOに
人権侵害で訴えたとのこと。
少なくとも、まともとは言えぬ二人である。
それにしても、我が国は平和だなぁ~・・・とつくづく思う。
ちなみに、鳥越氏は74歳。テリー氏は64歳だそうだ。
人間歳をとると賢くなる・・・そう信じて疑わなかった小生が
馬鹿だった。
57歳の小生より、30代の瀬谷氏の方が何万倍も賢いのだから、この
間違った考えは即座に改めなければなるまい。
小生より何万倍も値打ちがあり、しかも賢いといえば、STAP細胞に関わっておられた
笹井芳樹博士が、自ら命を絶った。
マウスのES細胞から、網膜を作り出す研究の
世界的権威と聞く。
視覚に障害を持つ方々は、
網膜再生の実用化が遅くなるのではと、さぞ不安なことだろう。
そのような事態にならないことを祈るばかりだ。
今回の不幸な出来事については、マスメディアの
常軌を逸した報道や、理研という組織そのものの問題点が引き金になったのではと思う。
もうひとつ気になるのは、
4月3日付の拙ブログで触れた、成長戦略という名の
為政者・大資本家のメシの種に関することである。
報道によれば、笹井氏は、政府の
成長戦略の目玉である再生医療について、企業誘致をはじめとする諸事業の中心的役割を果たしておられたらしい。
それが、今回の一連のSTAP細胞騒ぎで
責任問題に発展し、精神的にも社会的にも大きなダメージを受けることになった。
私見だが、ことはSTAP細胞の問題のみならず、日本経済の将来を左右する成長戦略の成否にまで影響する・・・と責任感の強い笹井氏は考えたのではないだろうか。
鳥越氏やテリー氏と同じくらいの図々しさ、お気楽さが笹井氏にあればと残念でならない。
心よりご冥福をお祈り致します。
さて、小生の実家の墓には、両親と長兄が眠っている。
昨日次兄に連絡したら、例年に倣い7月に盆送りしたとのこと。
すぐ後ろには世田谷線が
ゴトゴト走っていて、たいそううるさいのだが、久しぶりに親父やお袋と話をしたくなった。
Posted at 2014/08/17 16:26:44 | |
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