
昨日の話ですが、職場の友人とジャガーF-PACEのディーゼルとガソリンの両モデルの乗り比べをして来ました。
夕方過ぎの薄暗い中での雨という、試乗には不向きな条件でしたが、却って特性が掴めた部分もありました。
「お2人でお好きにどうぞ」のスタイルでしたので、まずはディーゼルモデルの20d(2.0L、180ps/43.9kgm)を選択。
友人から運転し、私は後席の居住性を確かめました。
5万円のオプションであるリアリクライニングは付いていませんが、座面の大きさも足元の広さも不満無し。
シートが硬過ぎず柔らか過ぎずで、身体に馴染みます。
ガラガラとしたディーゼル音は殆ど気になりませんが、「キュイーン」というモーター音が聞こえます。
乗り心地は概ね良好ですが、一旦強い振動が加わると、それが治まるまでの時間が割りと長めです。
次は私の番です。
運転姿勢がピッタリと決まり、見切りが良いので、1900mm超えの全幅もさほど問題になりません。
トルクフルで街中を流す分にはとても扱いやすい。
ダイナミックモードでも3500回転で頭打ちなのが物足りなく感じます。
さらに運転席ですとモーター音がより気になります。
次はガソリンの35t R-SPORT(3.0Lスーチャ、380ps/45.9kgm)。
こちらも最初は友人が運転し、私は後席に座りました。
ノーマルモードですと軽い乾いたエキゾーストノートが響きますが、音量は抑え気味。
ダイナミックモードでより太く勇ましくなりますが、近頃のAMGなどと比べれば遥かに現実的な音量。
これを迫力不足と取るか、紳士的と取るかは人それぞれだと思います。
お次は私の番です。
アクセルレスポンスが速くて気持ちが良い。
6000回転以上回りますので、積極的にパドルシフトを使いたくなります。
変速スピードは並みですが、パドルが割りと大きめで扱いやすい。
ダイナミックモードでは必要十分な加速性能。
車重もあるため爆発的とは言えませんが、アクセルオフ後の再加速でもとてもスムースで意のままに操れます。
何よりも一番素晴らしいと思ったのが、コーナリング時での安定性です。
雨だからこそ素性の良さがよく分かりました。
ステアフィールも素晴らしく、速度の上昇に応じてFRのスポーツセダンのような挙動を見せるので、ワインディングでもかなり楽しめそうです。
「走らせると実際の大きさよりも小さく感じる車は良い車」の格言に合っていると思います。
数少ない不満はブレーキが物足りない点。
雨を差し引いてももっと制動性能は欲しいところです。
速度の上昇に応じて足がちょっとバタつく点もディーゼル同様で、煮詰め不足に感じられます。
また、センターコンソールの小物入れの上部から軋み音が聞こえるのが安っぽい。
車両本体価格やランニングコストを考えればディーゼルなのでしょうが、走りの気持ち良さを考えれば圧倒的にガソリンモデルだと思います。
比べてしまうと、ディーゼルはこのクラスのモデルに求められる官能性が不足しています。
問題はジャガーはポルシェと同様にかなりのオプション商売なところです。
アダプティブクルーズコントロールやブラインドスポットモニターなどの安全装備はオプションが多く、プライバシーガラスも標準装備ではありません。
殆どの人が50万円~60万円のオプション金額にはなるとおっしゃっていました。
ダッシュボードがプラスチッキーでとても最低でも600万円以上する車には見えません。
これをちょっと質感の高いものにしようとすれば、レザースポーツシートとのセットになってしまうため、30万円以上掛かります。
そんなこんなで油断すると、あっという間にオプションだけで3ケタ万円を超えてしまいます。
イヴォークは新生JLRの象徴としてブランドイメージの確立のために、利益度外視で作り上げた感がありますが、F-PACEは内外装に分かりやすいコストカットが感じられます。
Sではなく35tでさえ乗り出し1000万円前後しますし、リセールが今一つ読めない怖さもあります。
アダプティブクルーズコントロールがどれくらい実用的なのかなど、ジックリと吟味する必要がありそうですね。
Posted at 2016/11/22 23:06:53 | |
トラックバック(0) |
試乗記 | クルマ