
今回紹介するのは、未だに市場人気も高く、個人的にも1・2を争う思い入れのある車種になります。従って、文章量も多くなりますが、ご容赦を。
前回紹介した2代目マークIIは、購入当時は3年落ち、されど現行型でしたが、半年程経過した頃、新型がキラ星のごとく登場します。
特に新規設定された、その名も「グランデ」、これは衝撃的でしたね。
全然馴染みのない豪華装備が沢山。一瞬で目を
眩まされ奪われます。登場した時から、「いつかはエクストラカッパーのセダングランデ5速」が親子の合言葉となったのでした。(思い返すと渋い小学生だこと・爆)
このグレードの登場で、今までの最上級LGは中間グレードへ格落ち。
ついでにお値段も50万円以上アップ(笑)。
市場でも好評で受け入れられ、旧型から一転して、初代以来の人気車に復帰します。
さすがに新車当時はこの高級車(高額車)の購入には至りませんでしたが、父の友人2人は前期を購入しています。その実車を見て、憧れがさらに増す構図。
ちなみに、当時は親子共々前期派。父曰く「後期は4本スポークのステアリングとグリルが気にいらない」でした。
憧れは薄れることなく、自宅の車庫に収まったのは、登場から5年を経過して、既に旧型車となった昭和57年。3年落ちの中古車でしたね。
この頃の相場は、3年落ちの54年式で120万円前後、5年落ちの52年式で100万円前後だったと記憶しています。
購入は2代目を買ったセールス氏の転属先である東京トヨペット高島平店から。(この店のあった場所は紳士服店を経て、BOOK OFFになっているようです。)
フラッと立ち寄った時に、「急がないから程度イイのが入ったら教えてよ」で後日連絡があった車だけに、走行18,000kmの程度極上でありました。
購入当日、留守番の母には、「見に行ってくるだけだから」と言い残す父。ところが実車を見たら、程度のよさに一目ぼれ。車検付だったので、「絶対に事故を起こさないのは解っていますから、自由に乗ってきて下さい」という展開になり、試乗後そのまま仮契約(笑)。
前期派だったはずが、自分が購入するとなった瞬間に、「後期も衝撃吸収バンパー付いてて格好いいじゃない。」となるのですから、好みなんてのは実にいい加減なものなのです(笑)。
大分前に亡くなった母は、晩年までこの時のことについて、「買わないって言っていたのに、勝手に購入を決めてきた。」と呆れていましたが、今になって思い返すと、何となく予感はしていたのでは、と思うのです。
前話が長くなりましたが、ではカタログの紹介。
今回は54年5月のものから。
2015/4/24 画像を全て更新しました。
セダン2600グランデ(エクストラカッパーM)
70年代半ばにGMが提案してきた復古調ラインを、5代目クラウンに続いて採用しています。
キャラクターラインはクラシカルですが、パッケージ自体は伝統的なロングノーズ・ショートデッキのノッチバックセダンに復帰した形です。
エクストラカッパーは、一時期クラウンからカローラまでの全乗用車(ただし上級グレードのみ)に設定されて一世を風靡した色となります。
HT2600グランデ(マジェスティマルーンM)
HTは、室内長をセダンよりも10cm短くしているため、ロングノーズ・ロングデッキのスタイリングとなります。
同時代のスカイラインは、セダンとHTで縦方向以外の室内空間を変えませんでしたが、こちらは両ボディのキャラクターを明確化しています。
セダングランデのインパネ。
クラシカル風な外観とは一転して、80年代に通ずる当時の最新インパネレイアウトを初代カリーナの後期(通称:ビック・カリーナ)に続いて採用しています。
ポイントは、
1:コンパクトな一体窓に収めたメータークラスター
2:メータークラスター以外は一段高さを抑えたデザイン
3:中央上段から、吹出口、空調、灰皿他スイッチ、オーディオを配置
あたりで、デザインを多少変えつつも、2代後の70系まで連綿と続くこととなります。
文中触れた4本スポークステアリングは、後期グランデのみが採用しています。デザイン自体は、5代目クラウン後期型が先行したものの流用となりますが。
セダングランデの内装
前期型はモケットを採用しつつも派手さを抑えていましたが、後期型は一気に派手な柄入りに変更されています。特に後期で追加されたワインレッド内装だと、80年代のハイソカーにも絢爛豪華(風)では見劣りしません。
パッケージの見直しにより、後席の頭上スペースが確保されたため、後席の背面傾斜角も健全なものに改善されています。
シリーズ中間かつ6気筒の最廉価グレードとなるセダンLエクストラのリヤビュー。
上で書いた、豪華なワインレッド内装が確認できます。
セダンのグレード一覧です
グレード別画像から、セダン2600グランデを抜粋してみます。
2000でも同じ内外装が選択可能でした。当時の3ナンバーは高額課税となる関係で2600は滅多に見かけませんでしたが、2000のこの仕様&色は多かったですね。
下段の画像は、54年7月のディーゼル追加時には画像が差し替えられています。
シリーズ中間かつ4気筒の最上級グレードとなるHT GSL。
リヤリジッド&6気筒のLと4輪独立懸架&4気筒のGSLは、ほぼ同じ価格で並んでいたため、マイナーチェンジによりスポーティな性格付けが強くなっています。
次世代で復活するDOHC GTへの布石という見方もできますね。
HTのグレード一覧です
HTに続くのは、ワゴンL(ヴィンテージワインM)
初代から設定のあったワゴンは、この代も設定されていました。
セダン&HTでは6気筒最廉価グレードだったLのみとなります。
こちらも70年代半ばのインターミディエイトサイズの米車風味です。
メカニズム部分の解説
エンジン画像で、4気筒と6気筒の長さの違いは解るかと。6気筒EFI車の
エアクリはラジエター脇に移設されていて、新鮮に映ったものです。
足回りは、ついにこの代から4輪独立懸架を採用して、このシリーズ最大の売りにしています。(ただし日産の初採用からは約10年経過後)
フロントサスは、Wウィッシュボーン → ストラットに変更、リヤサスはセミトレ。この組み合わせも、インパネ同様2代後まで継続することになります。
安全に分類される装備群
ファスト・バックからノッチ・バックに変更されたことにより、視界は大幅に改善されています。
リアワイパーは、前期グランデの標準装備ということで、セールスポイントになっていましたが、後期ではオプションとなっています。
OKモニターは、5代目コロナと共に登場して、当時は名称共々流行した装備の一つですね。
アメリカ発で日本でも一時期流行した衝撃吸収バンパーは、後期型からの採用となります。確かに頑丈で、低速での接触であれば無傷で済みますが、重量が嵩むのが弱点です。このため、次世代以降はウレタンバンパーに変更されます。
グランデのみ標準装備されたオートエアコンは、採用車種が少なかった時代に登場して驚いた装備の一つです。
この代からは、エアコンもエアミックス型に改良されています。吹き出し口の制御はマニュアルで、さらに頭寒足熱モードにも出来ませんが、クラウンでも2000の最上級だったスーパーサルーンでは、マニュアルエアコンのみオプション設定だった時代なのです。
グランデに初採用された蛍光管表示式デジタル時計は、後期型ではカレンダー表示機能が追加されています。
前期ではグランデのみの設定だったウィンドー式アンテナ(以外は電動モーター式からピラー式手動に後退)は、後期ではラジオ付の全車に設定が拡大されています。
ただし、初期もののため、受信感度は現在の製品比では難がありました。
グランデは、パワーウィンドースイッチを電磁ロックスイッチとセットでアームレストに配置しています。機能こそ少ないですが、この辺の配置は現在の車と変わりません。
毛足の長いカットパイルカーペットもグランデとエクストラ仕様のみの装備されています。
バブル期までは、この仕様が多かったのですが、その後コストダウンされた車たちからは消えた仕様の一つです。ディーラーオプションのフロアマットはその名の通り、まだ黒ビニール製でしたが。

左頁は、コロナに続いてHTのみに採用された3ウェイトランクとエクストラインテリアが紹介されています。
エクストラインテリアは、グランデに近い豪華な内装がお安く入手可能ということがセールスポイントでした。
右頁は、装備一覧表
マニュアルミッションでは、4速もまだまだ健在でした。
ようやく装着比率の伸び始めたオートマは、ライバル車に先駆けて上級のみ4速を採用しています。初期トラブルもなく評判も良好で、AT比率の向上に寄与することとなります。
パワーステは、上級グレードのみ標準で、従来は6気筒のみだったのが、4気筒にもオプション設定が拡大された時点です。まだまだ非装着車の比率も高かったのです。

主要諸元表です
ボディサイズは、旧型比で全長が20cm、全幅が5cm近く拡大されて、クラウンに迫るサイズとなりました。標準車のサイズは、後年のプログレに近いですね。
70年代初期から続くエンジンを改良して、ようやく53年度排ガス規制に全車適合しています。性能自体は、50・51年規制車より向上しましたが、未対策時代には、まだ及びませんでした。未対策車にも劣らない性能が向上した新エンジンの搭載は、次世代以降になります。
(概要データ)
型式:MX41-XEMQE
外装色:エクストラカッパーメタリック、内装色:ベージュ
登録年月:1979年(昭和54年)4月、購入年月:1982年(昭和57年)2月
譲渡年月:1983年(昭和58年)12月、廃車年月:1990年(平成2年)1月
純正装備:カセットステレオ、フォグランプ、サイドバイザー、マッドガード、前後コーナーポール、ドアエッジモール、ハーフカバー、ハイマウントストップ
憧れていた車が自宅に来たのですから、そりゃ~嬉しかったですね。
今回もエピソード等を幾つか紹介。
○全長が前車比で25cmも延びたため、納車後車庫からはみ出すことが発覚。あわてて家の戸袋を移設する羽目に(笑)。
○特注でリヤポールをお願いしたら、「リヤシートバックが高いため、この高さじゃないと見えません」ということで、ドえらく高いポールが聳え立つ事に(笑)。
○燃費は前車の8km/l弱から、EFI&5速の効果で9km/l弱に向上。
○とっても丈夫な衝撃吸収バンパー。接触したりされたりが2~3度ありましたが、全て無傷で済みました。
○4輪ディスクの効きも良く、クラッチも大幅に軽くなったため、運転が楽になったと喜んでいましたね。家族も乗り心地良く、速度感が低くなったと大好評。
○汚れを嫌ったため、途中でタクシー風ドアビニール張りを施工。
○お約束のフロントスピーカー部のダッシュ割れは購入直後から発生。中古車保証にてダッシュの全交換対応。
本当に気に入っていた車でしたが、生活環境が途中で変わって、2台持ちとなり、維持費等の面から統合が決定。早い時期に家から父の知人の元に去っていきました。譲渡先でも屋根下に入れられていて、大事にされていましたね。
前車と違って、まだまだ綺麗な内に去っていたため、情熱は覚めやらず、数十年に渡って、購入を企てること数度。でも欲しい時には目ぼしいタマは無く、コレはという時には周辺環境が許さなかったのです。家で乗っていた車も放出の際には話が来たのですが、後者の状況のため、泣く泣く見送り。
一般人気も上々で思い入れのある人も多いのか、イベント等では同じ仕様の車は時折見かけますが、その都度見入ってしまう当方なのでした。