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2016年01月31日 イイね!

170後期コロナ セレクトサルーンG他のカタログ

170後期コロナ セレクトサルーンG他のカタログ最初に本題外れて、「さらば あぶない刑事」の話を少し。

もちろん、昨日の内に鑑賞を済ませています。
私が見に行った映画館の駐車場には、イベント等を除けば普段あまり見かけないF31レパードが数台止まっていました。

内容の方は、原点回帰に大いに納得&賛同。
レパード登場シーンでは、その前のストーリーの影響もあってついじんわりと。トレーラー映像以上の高揚感がありまして、ファンは一見の価値ありだと思います。



さて本題。
170コロナの特別仕様車、後期編です。

特別仕様車の話をする前に、マイナーチェンジに伴うグレード変更の話をしておきます。
マイナーチェンジでは、特別仕様車セレクトサルーンの登場により、立ち位置が微妙になっていたMXが落とされて、セレクトサルーンが一般モデルに昇格します。







このマイナーチェンジは、内外装の意匠変更に留まらず、ガソリンエンジンの全車インジェクション化やドアロックが電磁式から電気式に変更されていたりと、意外と手が入っていたりします。

ヒーターコントロールパネルには、セレクトサルーン用としてプッシュとレバーの併用タイプ(吹出口オート機能無)が新たに起こされています。プッシュ&吹出口オート機能有のEXサルーンとレバー&吹出口オート機能無のGXの正しく中間のタイプです。
シートの縫製パターンは、MXから流用されることになりました。





細かい装備差は、こちらをご確認くださいませ。
マイナーチェンジ前のセレクトサルーンとの比較だと、ほぼ同等の装備となりますが、新セレクトサルーンからは、プッシュ式ヒーターコントロールパネルとハロゲンヘッドランプが落とされています。
MX比では、さらにマッドガードやチルトステアリングも落とされたことに。

少し前に行われたカローラ/スプリンターの内容から推測する、自分的グレード構成予想は、MXにプッシュ式ヒーターコントロールパネル、パワーウィンドー、電動式ドアロックが追加されてMXサルーンに変更。それに加えてセレクトサルーンの編入があるかも、というものでしたから、MXが落とされたのは意外でした。



ここからが特別仕様車編です。

【セレクトサルーンG】

●1990年5月1日発表(即日発売)
(ベースグレード)
 セレクトサルーン

(外装色/内装色)
 a1.スーパーホワイトII(040)/セーブル(GB44)
 a2.ブルーイッシュグレーM(182)/グレー(GB14)
 a3.グレイッシュグリーンM(6K6)/グレー(GB14)
 a4.レッドマイカM(3H4)/グレー(GB14)

(生産時期)
 1990年5月 ~ 

(特別装備)
 A1.樹脂フルキャップ
 A2.カラードプロテクションモール(040・182のみ)
 A3.カラードマッドガード
 A4.リア「G」エンブレム
 A5.コーナリングランプ
 A6.ハロゲンヘッドランプ
 A7.電動格納ミラー
 A8.ウォッシャー連動時間調整式ワイパー
 A9.チルトステアリング
 A10.車速感応オートドアロック
 A11.カセットボックス付フルコンソールボックス









MXにあってセレクトサルーンになかったものが、ほぼ追加された特別仕様車です。それまでEXサルーン系のみだった電動格納ミラーも、特別装備に加えられているあたりも、実に巧みです。
上で書いた仮想「MXサルーン」が名前は違えど、近い形で実現しました(笑)

特に1500は、カローラ/スプリンターのSE系やXE/MX系と価格込みで真正面から勝負できる仕様でありまして、販売の最前線では実際に熾烈な大激戦が繰り広げられていたようです。

余談ですが、当時のご近所がこのカタログ仕様のままの1500セレクトサルーンG(040)を購入されまして、心中複雑な思いをしたことが印象に残っています。こちらはEXサルーンだぞと思いつつも、向こうの方が新しいし、EFIだし、という訳です(笑)



【スーパールーミー】
●1990年5月31日発表(即日発売)
(ベースグレード)
 2.0 EXサルーン G

(外装色/内装色)
 27S(ホワイトパールマイカ(049)/オパール(189))/セーブル(GG44)

(生産時期)
 1990年5月 ~ 

(特別装備)
 B1.センター部210mm延長
 B2.3S-FEエンジン + ECT
 B3.専用ツートン外板色
 B4.リア専用ステッカー
 B5.185/65R14 タイヤ
 B6.オートエアコン
 B7.クールボックス
 B8.EXサルーン用シート
 ※装備品のベースは、EXサルーンGではなく、セレクトサルーン

これに関しては、既に有名であり詳細な解説は不要だと思いますので、画像共々省略。(実はカタログ不所有)

少しだけ書くと、ベースグレードから装備もEXサルーンGだと、誤解されているケースが見受けられるのですが、実は装備品はセレクトサルーン級でした。
ストレッチ関係以外は、EXサルーンGベースでセレクトサルーンの装備に落としたと見るか、セレクトサルーンベースで2000を搭載したと見るか、判断が分かれそうです。いつも引用する特別仕様車パーツカタログでは、後者の記載となっていますね。



ここからは特別仕様車パーツカタログにも記載がないため、自動車ガイドブック1991年版からの引用となります。そのため、生産時期と内外装色は不明です。

【NEWセレクトサルーンG】
●1991年4月10日発表(即日発売)
(ベースグレード)
 セレクトサルーン

(特別装備)
 A1. ~ A11.
 A12.プッシュ式ヒーターコントロールパネル
 A13.AM/FM電子チューナー付カセットステレオ&4スピーカー
 A14.クールボックス付オートエアコン
 A15.LEDハイマウントストップランプ
 A16.トランクキーオーナメント

2016/2/6追記
コメントでのご指摘に伴う調査の結果、トランクキーオーナメントを追加しました。ただし、パーツカタログでは1991/1以降の設定となっていますので、セレクトサルーンGの途中で追加されていた可能性があります。


セレクトサルーンGがNEWに進化しました。
オートエアコン&ステレオまで装着されたため、ほぼこのままで追加装備は不要の仕様となりました。

カリーナのマイロード&NEWマイロードと照らし合わせてみると、発表&発売時期・特別装備が実に微妙な関係であることがわかります。さらに商談の場では、モデルチェンジ前後のカローラ/スプリンターも加わるわけですから、些細な装備差ですら、疎かにはできない状況だったのです。



【GXサルーン】
●1991年6月3日発表(即日発売)
(ベースグレード)
 GX

(特別装備)
 C1.電動ドアロック
 C2.キーOFF後作動可能ワンタッチパワーウィンドー
 C3.ウレタン3本スポークステアリングホイール
 C4.カラーティンテッドガラス
 C5.ファブリックドアトリム

GXでは選択できなかったパワーウィンドー&電動ドアロック他を追加した特別仕様となります。末期特有のお買い得を前面に出した感が強いですね。
上の主要装備一覧のとおり、セレクトサルーンとGXの装備差は少なかったため、追加装備によりさらに差が縮まっています。



といったところでいかがだったでしょうか。
後期は、例外的なスーパールーミーを除けば、前期にあったEXサルーン系の特別仕様車の設定はありませんでした。

これはモデルライフが進む中で、Exivの追加もあって、販売比率がだんだんと中下級に寄っていったことが要因だったようです。コロナの上級グレードを検討中だとExivの方を勧められるケースが多かったようですね。(実際、170コロナの代替にExivを勧められた経験あり)



ここで話を少し変えてみつつのまとめです。
故徳大寺有恒氏は、著書「間違いだらけのクルマ選び」の中で、カリーナ共々、このコロナを高く評価していました。
以下、いくつか抜粋しています。

「コロナ/カリーナは、現在日本で売られているファミリーカー中、消去法でクルマ選びをしていくと、かならず最後に残るクルマだ。(中略)どこといって悪いところはひとつもないのである。」
「あらゆる面でよくできているクルマにもかかわらず、街なかでほかのクルマの群れのなかにはいると、見事にまぎれこんでしまい、まったく目立たない。日本ではクルマにそういう性格を求める人は多い。その点、トヨタはいかにも日本人好みのクルマを作るのが上手なメーカーである。「クルマなんてこれでいいじゃないか」と見切ってこのカリーナ/コロナを選ぶのは、へたにマイノリティを気どるよりずっとインテリジェンスのある選択かもしれない。」

「コロナ/カリーナのようなクルマを選ぶコツは、むやみに最高仕様車は狙わず、上から2番目、3番目あたりを選ぶことだ。メーカーもそのへんは心得ていて、この中間あたりに買い得なタマを用意している。」 ・・・以上、1989年版より

「日本でファミリーカーのNo.1は?と問われれば、私は迷うことなくコロナですと答える。それほどコロナ/カリーナの完成度は高い。」
「コロナは普通、専門誌などを買ったこともない人が、セールスマンに勧められるままこれを買い、一切疑念を抱かずに、壊れるまで乗るというクルマである。」
「コロナは買ったら最後、クルマのことなど思い出さずにすむクルマである。へんにのしかかってくる印象がなく、身近にあってもまったく気にならない。まさしく日本のクルマといえる。」
 ・・・以上、1990年版より

「トヨタのクルマ作りの特徴はあくまで中庸主義だが、往々にしてその中庸な性能のなかに刺激的な毒を入れ、それをテコに車を売っていく。ところが、カリーナ/コロナにはそういう毒がまったく見られない。刺激的な要素はまったくなく突出しない。だから誰もがコロナというクルマがあることすら忘れてしまうほどだが、このコロナこそ依然としてトヨタのラインナップ中もっともいいファミリーカーである。」 ・・・以上、1991年版より


時は正しくバブル真っ盛り。徳大寺氏も、一番多くの仕事をされていて高級車と呼ばれていたクルマを複数乗り継がれていた時期に重なります。

当時の日本車は時代の雰囲気を反映して、大パワーや豪華さを競ったり、あるいは新技術を高らかに謳ったりしていました。一言で書けば「派手で刺激的な存在」だったのです。

そんな中でコロナ(カリーナを含む)は、王道を歩みつつ、ユーザーの声なき声に応える形で地道な改良を重ねる存在であり続けました。決して派手ではないし、注目を集めることもないのですが、実直なクルマだったと言えます。

氏が高く評価していたのは、そんな決して見易くはない成り立ちの背景を見抜けていたからですね。


このコロナ/カリーナは、当時のアムラックスの数ある展示車の中で、クルマ好きを引き寄せないクルマの筆頭にありました。それでも表に出ないファンが静かに支え続けていたことは、販売台数の上位を占めていたことに表れています。

当時の担当のK氏は「きっと、狙っていた方が多かったのでしょう。モデルチェンジ直前は在庫の奪い合いになりました。お客さんの一人にグレード変更を要望された方がいたのですが、変更ができなかったくらいでして。」とか話されてもいました。


ここから4半世紀近い時間が流れて、ファミリーカーの標準形も大きく変わりましたが、今でもこのコロナを思い出す度に、クルマ好きの視点だけでクルマを語るのは片手落ちと自戒を込めて再認識するのです。
2016年01月27日 イイね!

170前期コロナ セレクトサルーン他のカタログ

170前期コロナ セレクトサルーン他のカタログ2台のラグジュアリークーペ話は、共に好評だったのですが、今回から2回連続で特別仕様車話をやってみます。

今回取り上げるのは、170コロナの前期です。

コロナの兄弟車、カリーナの特別仕様車といえばマイロードというのは、以前に書いたことがありますが、コロナといえばセレクトサルーンが該当になると思います。セレクトサルーンは、カリーナ マイロードほどの歴史とはなりませんでしたが、それでも150・170・190と3世代に渡って設定されたグレードでした。


今回(特にセレクトサルーン)は、170コロナの一般仕様(リンクはこちら)、170カリーナの特別仕様車(リンクはこちら)、90カローラ/スプリンターの特別仕様車(リンクはこちら)とを比較しつつで読み進んでいくと、より興味深いと思います。

それでは、特別仕様車パーツカタログからの引用をしつつで、トヨタ80年代特別仕様車の深海へ潜行してみることにしましょう。

先ずは、1988年12月発行のカタログからです。

【EXサルーン リミテッド】
●1988年12月 (?)発表&発売
(ベースグレード)
 1800 EXサルーン

(外装色/内装色)
 a1.スーパーホワイトII(040)/セーブル(FG45)
 a2.グレーM(167)/グレー(FG15)
 a3.レッドマイカM(3H4)/グレー(FG15)
 a4.ダークブルーマイカM(8E9)/ブルー(FG85)

(生産時期)
 1988年12月 ~ 1989年3月

(特別装備)
 A1.カラードフルキャップ(040・167のみ)
 A2.カラードプロテクションモール(040・167のみ)
 A3.カラードマッドガード(040・3H4のみ)
 A4.カラードウォッシャノズル(040・3H4のみ)
 A5.カラードドアミラー(8E9のみ)
 A6.専用リアエンブレム
 A7.コーナリングランプ
 A8.コンライト
 A9.革巻き4本スポークステアリング
 A10.カセットボックス付フルコンソールボックス(ファブリック巻)
 A11.ファブリック巻アームレスト
 A12.運転席2ウェイパワーシート
 A13.カセット一体AM/FM電子チューナー付ラジオ




170コロナの中心グレードと位置付けられていたEXサルーンの特別仕様となります。
元々170コロナは、5ドアを上級とするという販売戦略から、ボディ細部のカラード化やコーナリングランプ等、5ドアのみ優位に設定されているものがいくつか存在していましたが、特別仕様によって、その差を縮めています。
内装は、上級のEXサルーンGに近い設定となります。

マイナーチェンジ後のEXサルーンは外装のカラード化が進んだことからすると、仕様摸索の意味合いも兼ねていたと推測できます。



【SF X リミテッド】
●1988年12月 (?)発表&発売
(ベースグレード)
 1800 X

(外装色/内装色)
 22M(ダークブルーマイカM(8E9)/ミディアムグレーM(157))/ブルー(FG85)

(生産時期)
 1988年12月 ~ 1989年3月

(特別装備)
 b1.カラードフルキャップ
 b2.カラードプロテクションモール
 b3.カラードマッドガード
 b4.リヤスポイラー
 b5.専用リアステッカー
 b6.コンライト
 b7.カセットボックス付フルコンソールボックス(ファブリック巻)
 b8.ファブリック巻アームレスト
 b9.運転席2ウェイパワーシート
 b10.カセット一体AM/FM電子チューナー付ラジオ



こちらもSFの中心グレードXがベースとなります。
EXサルーンリミテッドの5ドア版と言えるのですが、こちらは特別設定のツートンカラー1色のみの設定。
色自体は悪くないと思うのですが、当時の売れ筋はホワイトやグレーでしたから、売れ筋を外していた感は否めません。



【セレクトサルーン】
●1988年10月3日 発表(即日発売)(2WD)
(ベースグレード)
 GX

(外装色/内装色)
 c1.スーパーホワイトII(040)/グレー(YX15)
 c2.レッドマイカM(3H4)/グレー(YX15)
 c3.ダークグレーマイカ(175)/グレー(YX15)
 c4.グリーンM(6J7)/グレー(YX15)
 c5.ダークブルーマイカM(8E9)/ブルー(YX85)

(生産時期)
 1988年10月 ~ 

(特別装備)
 C1.カラードバンパー
 C2.カラードルーフモール
 C3.専用リアエンブレム
 C4.カラード電動ドアミラー(040・3H4・6J7のみ)
 C5.タコメーター&ツイントリップメーター
 C6.ワンタッチ式パワーウィンドゥ
 C7.電磁式ドアロック
 C8.ウレタン3本スポークステアリング
 C9.カセットボックス付フルコンソールボックス
 C10.専用高級フルファブリックシート&ドアトリム



一世代前で初登場したセレクトサルーンですが、当初は、新設グレードMXがセレクトサルーン的位置づけとされていました。しかしながらこの辺りに最多需要が潜在していたということもあって、170コロナでも復活しています。
MXとGXの装備差は大きくないにも関わらず、中間に捩じ込んだ感もありますが、その一方でMXでは装着車設定だったパワーウィンドー&ドアロックが標準とされる等、仕様摸索の要素も見受けられます。
追加後は、最多量販グレードとなっていますね。
この時点ではセレクトサルーン限定だったグリーンM(6J7)のボディカラーは、マイナーチェンジの直前に一般グレードでも選択できるようになります。



【4WD セレクトサルーン】

●1988年11月25日 発表(即日発売)(4WD)
(ベースグレード)
 GX

(外装色/内装色)
 c1 ~ c5

(生産時期)
 1988年12月 ~ 

(特別装備)
 C1.~ C10.
 C11.大型ヘッドレスト



ほぼ2WDと同じ仕様ながら、4WDの発表&発売は2WDよりも遅れています。遅れた理由と、4WDのみ大型ヘッドレストが含まれた理由が謎ですね。





コロナの一般グレードです。
4ドアと5ドアは特別仕様車との比較をどうぞ、という趣旨でしょうか。
先に書いた通り、上段の2台は売れ筋グレードでもありました。





最後は、表紙と裏表紙です。
裏表紙には、登場直後の81マークIIが掲載されています。



続いては、1989年8月発行のカタログからです。

【新セレクトサルーン】

●1989年6月(?) 発表&発売
(ベースグレード)
 GX

(外装色/内装色)
 c2.~ c5.
 c6.スーパーホワイトII(040)/セーブル(YX45)
 c7.グレーM(167)/グレー(YX15)

(生産時期)
 1989年6月 ~ 

(特別装備)
 C1.~ C11.
 C12.ハイグレードフロントグリル
 C13.ハロゲンヘッドランプ
 C14.カラーティンテッドガラス
 C15.プッシュ式ヒーターコントロールパネル





前回のセレクトサルーンの好調を受けて、一部装備が追加された新セレクトサルーンが発売されています。
発売時期には、夏のボーナス商戦対策だけでなく、カローラ&スプリンターのマイナーチェンジ対策という側面もありそうに思えます。セレクトサルーンの主力となる1500は、カローラ&スプリンターがインジェクションに改良されたのに対して、キャブレーター仕様という不利な点が生じたのです。
今回の仕様追加では、MXでは装備されないプッシュ式ヒーターコントロ-ルパネルも含まれたため、MXとの仕様のクロス感は強くなっています。





左頁は、4WDの新セレクトサルーンです。
今回は2WDと4WDが同時発売&同仕様とされています。

右頁は、EXサルーン リミテッドです。
こちらは当初の好評を受けて、当初の生産時期1988.12~1989.3が、1989.4~1989.6へと3か月の延長となっています。こういう場合は、仕様追加等が行われることが多いですから、全く同じ仕様というのは珍しいケースですね。
ちなみに、生産時期過ぎとなる8月のカタログに掲載されている矛盾があります。再度の継続生産があったのか、生産打ち切り後も掲載されていたのかは謎です。

なお、SFの方は、再度の期間限定とはなりませんでした。





特別仕様車の主要装備一覧と主要諸元表です。
追加装備もさることながら、特にEXサルーン リミテッドの内外配色表に当時のトヨタのきめ細かさが表れていると思います。カラードにするということは、それだけ部品数が増えるということなのですが、当時は意匠の方が優先されていたのです。





トヨペット店扱いの他車が掲載されています。
前回とは異なり、フルモデルチェンジ直前のコロナ クーペの掲載が省略されています。

81マークIIは、ハードトップこそ最多量販のハイメカグランデが掲載されていますが、セダンの方は追加直後のGRサルーンとなっています。コロナと比較してはいかがという趣旨でしょうか(笑)



といったところで、いかがだったでしょうか。
コロナの売れ筋には、1800の上級グレードと、1800&1500の中間グレードの2つの山がありました。

前者に向けての特別仕様がEXサルーンorX リミテッド、後者に向けての特別仕様がセレクトサルーンでした。

前者は、カムリやカリーナEDの売れ筋と重なる部分があるのですが、2000を設定せず180のみというのが一つのポイントとなります。外野的視点では、ほぼ同じようなクラスの車種であっても、微妙なクラス分けがそこには存在していました。系列内で見た時に、上級セダンを持たないカムリや、上はクラウンまで開くカリーナEDとは違って、マークIIが直上にあるという事情も反映されていたのでしょうね。

他方で後者は、カリーナやカローラ/スプリンターが競合関係にありました。このクラスは、装備と価格がシビアに選別されるため、必要装備・不必要装備を時代の推移を考慮しつつで決めていた感が強いですね。こちらも、同じ系列内で見た時の上下関係が、排気量や装備の微妙なセグメントとなって表れていました。


セダンという大括りの中で、需要の喰い合いをせずに、これだけの車種を微妙に変えて成立させることができたのが、当時のトヨタの強さの源泉と言えます。現在も当時の名残が、ノア・ヴォクシー・エスクァイアの兄弟間における仕様差や特別仕様となって残っていたりしますね。

ユーザーの好みにより近い仕様が選べるという長所を取るか、この差をもっと別に生かしてほしいと考えるかは、その昔から意見が分かれるところなのですが。

・・・長くなりましたので、後期は次回に送ります。
2016年01月24日 イイね!

「さらば あぶない刑事」劇中車展示イベント

「さらば あぶない刑事」劇中車展示イベント30年目にして完結となる「あぶない刑事」の公開に合わせたイベントが日産グローバル本社ギャラリーで開催されているため、横浜に出かけてきました。

本放送をリアルタイムで見ていた世代ですから、この手のイベントをみすみす見逃すことなんかできるはずはないのです(笑)

天気予報の雪を警戒しつつで向かった横浜ですが、寒さはあるものの降られることはなかったのは幸いでした。


前置きが長くなる前に早速、画像をご紹介。







数ある日産の新車と共に並んでいるのですが、もう全然オーラが違います(私感)。

先々週の石原プロの劇中車と違って、レプリカではあるのですが、程度の良さはもちろん、無線機・純正オプションのCDプレーヤー等よく再現しているなぁと感心するばかり。ここまで作り込んでいるからこそ、若干惜しい点もあるのですが、そこを指摘するのは野暮というものでしょう。
このクルマもまた、30年の時を超えたタイムマシンなのです。


ここからは、思い出話など。
本放送の開始当時は、レパードよりソアラ派でしたし、レパードならダークブルーツートンだと思っていたものですから、この仕様の起用は正直?ではありました。

ところが放送回を重ねるうちに、だんだん独自のイメージが形成されていって化けましたね。車自体は広報車の流用で、番組中でも西部警察の特車的扱いをされているわけでもないのですが、使われ方が非常に印象的だったのが大きかったと思うわけです。

考えてみれば、スーツ姿の大人の二人が乗る車として似合うのは、ラグジュアリークーペですし、組織の中からはみ出すことを厭わずに己の「正義」や「美学」に邁進するという設定に似合うのは、当時だと日産車なんですよね。

さらに当時の横浜、特に再開発が入る前の街並みや風景にピタリと嵌るのも、日産車だと思います。
(以上、あくまでも私的感想ということで)


当時の開発インタビュー記事を見返すと、「35才以上のアダルト」「スターがいるだけで、ぱっと周りがはなやぐ雰囲気」「尊大で、生活感のないクルマ」という話が出てきますから、そういう意味では、このドラマは最高の舞台であったと言えそうです。


数あるシーンの中から、個人的に好きなのを手持ちライブラリより掲載してみます。
第5話「襲撃」より、ヨットハーバーに向かう犯人を追跡するシーン。
撮影場所は、番組中でよく使われた、本牧のかもめ町。
BGMの「You're Gonna Lose Me」が、また効果的に使われています。







画面狭しと滑っている構図も悪くないのですが、こうした疾走シーンが特に好きだったりします。
このシーン、後ろがY30というのが、さらにいいんですよね。

これが、2代目ソアラと120クラウンの組み合わせだったら・・・と想像してもらうと、上に書いたことが何となくでも理解してもらえるかなと。(この両車なら、横浜ではなく西新宿とか(笑))

今では、この上に首都高が被さってしまったため、こうした絵になる風景は撮影困難となってしまいました。


やがて時代が推移する中で、主人公の二人が乗る車として他車が用いられることとなるのですが、このシリーズから連想される車名は揺らぐことはありませんでしたから、シリーズが終焉を迎えるにあたって、2代目レパードを再び登場させるというのは、とても納得できるのです。

ちなみに今回の映画、2代目レパードの登場が1986年2月ということで、ちょうど30周年と重なっていたりします。
もちろん、公開早々に鑑賞に行く予定です。


以下、おまけ的な話を少し。



日産グローバル本社ギャラリーの一角に展示されていて気になった一台です。
S110シルビアはベースがA10バイオレットだったこともあって、登場当初こそ、あまりモータースポーツの匂いのしないクルマでしたが、バイオレットのFF化を契機に、ラリー界に進出することとなります。

このクルマも80年代日産車の一台として印象に残るクルマですね。


さらにおまけ話
日産グローバル本社ギャラリーでは、来月からセドリック・グロリア展示イベントが行われるとのこと(詳細はこちら)。
もちろん、見逃すはずもなくて、来月以降も再訪することとなりそうです。
Posted at 2016/01/24 14:05:25 | コメント(9) | トラックバック(0) | お出かけ日記 | 日記
2016年01月21日 イイね!

1986年のソアラのパンフレット

1986年のソアラのパンフレット今回は2代目ソアラを取り上げることにします。

お気付きの方もいるかもしれませんが、登場したのは今からちょうど30年前となる、1986年(昭和61年)1月21日です。そういえば、2代目ソアラの登場って1月だったよなと少し前に思い出して、発表日を確認したら、当時のことまでいろいろ思い出した次第です。


今回は、カタログを紹介する前に、先ずは私的思い出話にお付き合いくださいませ。


ソアラは、やっぱり初代の登場がものすごく衝撃的だったんです。
2.8LのDOHCを積んだ2ドアクーペって、長い悪夢だった排ガス規制をようやく乗り越えようかという時代にはセンセーショナルな存在でした。
私も登場直後から憧れた一人なのですが、トヨタにしては珍しく、モデルイヤー的に毎年手が入って、それが効果的な改良でありましたから、その憧れは末期まで色褪せなかった感が強かったです。

そのクルマが、初のモデルチェンジを行う。
とても期待しましたし、その一方でどうなるのだろうという不安が少しあったりもして。

当時ですから、今みたいに即日で詳細情報を知ることはもちろんできず、翌22日の新聞に発表の情報が小さく掲載されたものの、詳細は26日発売の自動車雑誌を待つしかありませんでした。

当時のカレンダーを見返して思い出したのですが、26日は日曜日ですから、土曜日となる25日に自動車雑誌(CAR and DRIVER誌)を買っています。その翌日に同級生3人で、今はアムラックスを経てヴィクトリアになった場所にかつてあった、東京トヨペットの池袋営業所にカタログを貰いに出かけています。ディーラーの選定はもちろん私。今にして思えば、まぁ生意気なんですけれど、3人寄れば勇気も出ますね(笑)

日曜日午前中の営業所内は、他にお客さんもいなくて、割と自由だったことを覚えています。展示車は最上級の3.0GTリミテッドがあったのかな。もちろん本カタログは店頭に置いていなくて、代わりに貰ったのがこのパンフレットです。当時は、ソアラのカタログは容易に入手できないと思っていたものですから、これでも十分満足していました。


思い返すたびに、いろいろ思い出すのですが、さすがに思い出話だけで引っ張るのは難しいので、いつものように月刊自家用車誌の車種別総合研究から、当時の主査である岡田稔弘氏の発言部分を引用しつつでパンフレットの紹介に入っていきます。

岡田氏は、主査としては珍しいデザイナー出身の方で、初代と2代目をまとめられた後、3代目の開発途中までその任にありました。
現在もお元気なようで、各所での講演等もされているようですね。



もう最初の見開きだけで、感動的でした。
後の雑誌での紹介等からすると、登場前後は不明ながら、欧州に持ち込んで撮影をしたようです。国内の著名なジャーナリストは、現地でソアラの高性能を満喫し、記事にしていましたね。

ここで、岡田主査が語る2代目ソアラの狙いを引用してみます。

やっぱり彼らが得意とする分野で追い越そうというのが掲げた目標ですから、得意としてないところは旧型ソアラでも凌駕していたところはあると思うんですよね。だけど得意とするところっていうのは、非常に難しいあれですけれど、足回り、直進性、ハンドリング、操縦性、それからもう一つ大事なのは車両全体が持っているリジリティっていうかソリッド感ですね。ガチッとした感じ。こういうやつがやっぱり離されていたわけですね。そういう点を凌駕しようというのが目標だった(後略)

日本ですと100キロでは走れるわけですけど、100キロで走ってもストレスがあるクルマ、ないクルマ。ないにしても、程度、具合っていろいろありますけれど、そういう点の、まっすぐ走る上の安心感ですね。障害物が出たらブレーキを踏めばいい、レーンチェンジするときはハンドルを切ればいいという、そういう感じが欧州の高性能車は非常に優れているわけですね。そういうところをやはり追いつかないかんなあと。

初代ソアラは、それまでの国産車からすれば高性能車だったのですが、それでも欧州の高性能車には追いついていないという認識があったようです。今度は、それに追いつき・追い越すという目標が掲げられています。

初代・2代目のソアラは輸出されませんでしたから、国内の道路環境からすれば、それはオーバークオリティと言えないこともないのです。それでもその領域に挑むというのは、トヨタの技術的シンボルであったということも意味しています。





最上級の3.0GTリミテッドが見開きで掲載されています。
初見では、あまり変わっていない印象だったのです。その要因は、キャビン部がフラッシュサーフェス化こそされたものの、デザインを変えることをしなかったからですね。実際は、先代比で全体的に低くなっていますし、ウエストラインから下の部分は面構成を大幅に変えてもいます。

先代と並べてみると、違いはより明確になる構図です。

ユーザー調査では「変えてくれるな」という意見だけが集まってしまい、その一方でキープコンセプトでは必ず失敗するというジンクスに挟まれて、デザイナーは相当悩んだようです。

詳細は後述するとして、その答えがこのスタイリングだったのですが、結果は大成功となりました。このことから、130クラウン・81マークIIを代表とするこの時期のモデルチェンジでは、同様の変え方が度々踏襲されることとなります。

一点、気になったのは些細なことですが、GTリミテッド専用色の「クリスタルホワイトトーニング」の名称。お分かりのとおり、日産がトヨタのスーパーホワイトに対抗して作ったのが、クリスタルホワイトでしたね。





3.0GTリミテッドのインテリアです。
スタイリング以上に大きく変わったなと思ったのが、インテリアでした。

軽く取り上げるだけでも、虚像表示のスペースビジョンメーター、センターコンソールに移されたマルチビジョン、エアコン&ステレオ兼用のマルチコントロールパネル、グランベールインテリアetcと実に盛り沢山でした。

それらを包むインパネもデザインが洗練された感が強いですね。
インテリアカラーもマルーンからベージュとなって、先述のクラウン・マークIIで見られたインテリアカラーの変更を、一足先に行っています。





スタイリングやボディの解説です。

私見は先に書いたので、ここでは岡田主査の話を引用してみます。
デザイナー出身の方らしく、スタイリングの話は力が入っていますね。

(みんなが気になるのはスタイリングだと思うと問われて)そうですね。あれは初代よりもやはり難しかったですよ(笑)

イメージを意図的に残そうなんていうふうには思ってなかったんですよ。エンジンも足回りも全部違っちゃってまるっきり新しいクルマなんだから、無理してイメージを残す必要もない。初代は評判がいいからそれを残さないかんと思っていなかったんですけれど、ただ、ソアラのスタイルの中で大事なことは、走りのほうも同じですけれど、丸いとか四角い、好き嫌い以前に、質の高いデザインと質の悪いデザインがあるわけです。そういう観点でいくと、一番質感の高いデザインにしようということがあって、それで新しさがあるという、この二つが一番重要なポイントで、あとは丸くても四角てもいい。イメージが似てるとか似てないかというのも、第二義的に考えてました。

特にフロントビューなんか見ますと、絞りや何かがものすごく違うんですよね。旧ソアラもあの時代ではフロントの絞りは随分やったつもりなんですけれど、セダンみたいなピン角に見えるんですよね。

そういうあれでいきますと、ナウい感じは相当出ているから、何とかそういう点、新しいソアラを買っていただくお客さんには説得力ある形になっているんじゃないかなと思うと同時に、12万人強、13万人ぐらい旧型のソアラユーザーがいるわけです。そういう人たちにしたって、何か裏切ったようなことにならないんじゃないかなと思います。

もう一つは、例えば旧型のリヤクォーターだとかバンパー下の処理が、やっぱりやり残してるところがあるんですよね。サイドビューで決めた線とリヤビューで決めた線が、何となくつじつまを合わせるためにやったような処理がリヤクォーターやバンパーの下に残っていますけど、今度はそういう割り切れないというか、正数でスパッと割り切れないようなスタイルはもうやめようということを話していて、かなり末端に至るまで、そういう点では全体のフォルムの割り切りのよさというのを突っ込んだんです。



2代目ソアラのスタイリングを作りこむにあたっては、主査がエースだと思うデザイナーに任されたようです。この手のクルマは、経験を重ねて美的感覚が磨かれた手練れが手掛けてこそ、という思いがあったようですね。そのデザイナーと岡田主査がディスカッションを行う際は、デザイナーの共通言語が理解されやすかったなんてエピソードもあるようです。

製品化されたデザインは、年月を経た今でも、時代を超えて美しいと思います。十分なサイズの2ドアクーペですから、元からプロポーションは恵まれているのですが、そこにディテール部の磨き込みが加わることで、更なる美しさを作り上げていますね。
これは個人的主観に過ぎませんが、岡田主査が言われている「質の高い・質の悪い」の差は、年月の風化に耐えられるかで現れるのではないでしょうか。ソアラ的手法の多いこの年代は、長いトヨタ車の歴史の中でも、好きなスタイルの多い年代でもあります。

ちなみに、この見開きでは”ソリッド・パフォーマー”という言葉が何度か使われています。この言葉、岡田主査自らのお言葉だったりするのですが、その話は後ろに送ります。





ここでは、エンジンやシャーシ等メカニズムの紹介がされています。

パンフレットということもあって、ここでは新開発の7M-GTEUが主に紹介されています。7M-GTEUは、先代の6M-GEUをベースに4バルブ化してターボを装着したエンジンでした。

ここではトヨタ2000GTから連なる、M型の系譜が強調されていますが、実は岡田主査は違う構想をお持ちだったようです。以下、引用してみます。

M型というエンジン型式をやめようと本気に思ったんですよ。同じもの、もうないんですものね。ヘッドはもちろん違うし、ブロックだって、いろいろなところを補給をしたりやるにしても、ほとんどみんな手を入れて変わっておりますから、7Mじゃなくて違う何かがないかというのをほんとに探しました。あんまりないんですよ。うちの手持ちの、今まで付けてきたA型から始まりましてR型まであって、今はOとかIとかっていうのはゼロに見えちゃうから使えないんですけれども、あと残っているのがほんとに少なかったんです。Pも使っておりましてね、昔のP型ってありますね。
Q・・・・。Qだったらイメージがよくないでしょう? まあ7Mという名前にしましたけれど、新エンジンですね。


7MはターボとNAの2本立てで、80年代後半のトヨタ3000を支えますが、結局90年代初頭には、新開発2JZに道を譲ることとなります。


2代目ソアラの目玉の一つに、足回りの一新にありました。
この辺りも、主査のお話を引用してしまうことにします。

4輪のウィッシュボーンにしようというのは、まずは4駆じゃなくて後2輪駆動だというのを最初に決めたんです。その次に、今までストラット、セミトレというクルマでずーっとやってきまして、先行開発でも、いろいろな違うサスペンションの中でウィッシュボーンにしようというのはかなり早く決めました。決めてからいろいろなことをやりました。

ねらいのようなもの、例えば、今はやりのトーコントロールにしましても、キャンバー変化にしましても、付加的なものを付けないで全部やれるのは今のところダブルウィッシュボーンしかありませんからね。これは搭載上のスペースの問題だとか、現実にジオトメリーの設計みたいなものは、今、シャーシ設計のCADってものすごく持っておりまして、こういうねらい目なら理想的なジオトメリーはこうだっていうのが簡単に出てくるんですよ。(中略)ところが、それでつくって本当にねらい通りのクルマになるかっていうと、やっぱりならないんですね(笑)。そこがいいとこでしてね。

やっぱりウィッシュボーンで長所はいろいろありまして、ねらい目のアライメント変化が取れるというのがあるんですが、欠点は、要するに回転、摺動する部位がいっぱい増えるわけですよ。だから摩擦があるんですね。摩擦が強いと、せっかくの乗り心地や何かがかえって阻害されちゃう。それがボールなもんですから、そこらへんの動きを非常にスムーズにする。ですから、これ、目に見えないところにものすごくカネかかっているんです(笑)

この時代に導入されたCAD等が、設計において大きな貢献を果たしていたことは、同時期の他車でも語られている話です。CADの算出結果が、必ずしもねらい通りにならないというのは、興味深いですね。
さすがに解析技術の進化した現代では、当時とは様相が異なるのでしょうが。

4輪ダブルウィッシュボーンは、この後90年代のトヨタFR車の主流となります。





デジタルメーターの特性を生かした虚像表示は、今でも存在する技術ですが、当時はソアラが世界初で採用した装備でした。

初物だけにインタビューも興味深いやり取りとなっていますので、同じく引用します。

(メーターを見てて、ウィンカーをつけた瞬間見落としてしまうと言われて)ウィンカーは虚像じゃないんですよ。あれは実像を見ておりまして、あれは透過照明なんですね。タコメーターとスピードメーターが虚像を見てるんです。鏡に映っている像を見ているんですから。だからああいう、ちょっと奥行きの差があるんです。これを採用するときに、実際、いろいろなパネルを使いまして、見やすさの評価をいろいろな角度からやりましたけれど、表面に付けた旧型ソアラとの比較で、データはこちらのほうが必ず有利に出ました。いろいろな女性、それから中高年とやりましてね。

この後、デュアルビジョン等の技術の展開もありましたが、源流はこことなります。慣れてしまえば、視点移動が少なくて済む、有益な装備でした。


マルチビジョンは、データ読込ができるようになりましたが、その方式はカセットが採用されています。既にフロッピーやCDが登場していましたので、カセットの採用はデータ量や読込時間の観点から各誌の指摘がありました。主査的にも、問題は認識していて、精一杯速くした、実用上はこれで十分と回答されています。おそらくコストと信頼性を取ったというのが推測です。翌年の130クラウンでは、CD-ROMに進化することとなります。





左頁では、各グレードが紹介されています。

ここでは個別紹介はせずに、当時の東京地区の車両本体価格を掲載します。
 ・3.0GTリミテッド (エアサス仕様): 4,835千円(ATのみ)
 ・3.0GTリミテッド : 4,479千円(ATのみ)
 ・3.0GT : 3,711千円(ATのみ)
 ・2.0GTツインターボ : 3,206千円 / 3,320千円
 ・2.0GT : 2,922千円 / 3,036千円
 ・2.0VX : 2,611千円 / 2,705千円
 ・2.0VZ : 2,325千円 / 2,419千円

ちなみに先代の価格は、
 ・3.0GTリミテッド (EMV装着車): 3,984千円(ATのみ)
 ・3.0GTリミテッド : 3,669千円 / 3,784千円
 ・3.0GT : 2,967千円 / 3,082千円
 ・2.0GT : 2,735千円 / 2,849千円
 ・2.0ターボ : 2,508千円(ATのみ)
 ・2.0VX : 2,403千円 / 2,497千円
 ・2.0VR : 2,094千円 / 2,188千円
 ・2.0VII : 1,960千円 / 2,009千円

以上、月刊自家用車誌より引用

最上級のGTリミテッドは仕様の大幅充実もあって800千円強の値上げ、中間の2.0GTでも200千円近い値上げでした。明確に一クラス上がった価格でしたね。

でも、それは、いいクルマを作ろうという意気込みがあったからこそと言えます。

岡田主査の締めのお言葉は、以下の通りです。

全体のクルマの質感みたいなのは、いろいろな宣伝をするときにカタログをつくったり何とかあれするんですけど、私はソリッド・パフォーマーだよというのを言ったんですけど、なかなか使ってもらえなかったんです。こんなところまで、これまでやったかという、他社さんが付き合いきれないクルマにしたいという。

(中略)そういうクルマが欧州車や何かにいろいろあるんですね。もう付き合いきれんなというところが現実にいろいろな面であって、その付き合いきれないというのはどういう部分かというと、やはり販価に転嫁できないような、もしくは地味で目立たないような、そういうところに凝ったりおカネを投資をするというところですね。ものがガシャガシャいっぱい付いてっていうようなことじゃなくて。

普通は開発コストもかけられないようなところにおカネをかけることが付き合いきれないという、そういうクルマにしたいと思っていましてね。


ソアラは登場時点から、従来のクラスをちょっと超えたところにありました。そのクルマが成功したことで、いいクルマなら少々高くても買ってもらえる自信がついたのでしょうね。
このクルマは高級車ですから、価格を裏付けるものがあるのであれば、こうした戦略も大いにアリだと思います。それがまた、憧れの源でもありましたし。





最後は頁を入れ替えて、主要装備一覧と諸元表を少し大きめで掲載します。

おまけ話的に、主査が語る面白いエピソードを引用してみます。

ぼくは9年間、ソアラのことばっかり考えていて、ソアラのことは日本で一番・・・。そら、考えてはいますけれど、じゃ、一番知っているかというと、必ずしもそうじゃないんですね。

3年ぐらい前に埼玉トヨタに行ったときに聞いた話なんですけれど、そこの車両部長の人が、「この間、ソアラを1台売ったんだけれど、なぜソアラを買ったのかと聞いたら、こんなことを言ってましたよ」ということで話してもらったんです。そのお客さんは、国産車の中でソアラのドアの膨らみが一番ぜいたくにふくらんでいて、たたいても底突きしない、それが気に入ったから買ったと。ソアラの購買動機なんです。

この話、実際に主査が通勤の時にリズムを取りながら叩いてみたら、ソアラが一番いい音がした。そこで、内装の設計屋さんに、断面の膨らみを旧型より落としちゃいかん、底突きするようなパッドの入れ方はいかん、という指定をしたという締めとなります。
狙った結果ではないのですが、理解あるユーザーさんが育てていたというエピソードですね。


ということで、最後にまとめです。
2代目ソアラが出た時、先述の通り、まだ免許も持たない子供ながらもディーラーさんを訪ねてしまうぐらい憧れはしたものの、現実感は全くありませんでした。自分が免許を取れる年齢になったころには、4ドアに目移りしていたこともあって、結局憧れのまま、縁がつながらずで終わっています。

もう一つ、これだけ進化したソアラも、初代セルシオ等、末期にはプレステージの面で凌駕する存在が現れるようになったのは、時代の進化が速かったことを意味していると理解しています。初代・2代目共に約5年のモデルライフでしたが、周辺車種の進化は明らかに後者の5年間の方が大きかったですね。

もっとも、だからこそ、今振り返ると、国内専売の5ナンバーサイズで最高級パーソナルクーペを目指した2代目までのソアラがとても貴重な存在に思えます。新時代のパーソナルクーペとして輸出との両立を目指した3代目や4代目の存在も尊重しているのですが、やはりソアラは初代と2代目に票を投じたくなるのです。

そこには、理知的な主査の多いトヨタには珍しい、どちらかというと情熱型の岡田主査の存在があって、それを支える老若男女のユーザーがあって、国内専売で採算が成立した時代があってという、ある種とても幸運な巡りあわせがあったからこそ独自の輝きを放っていたという更なる思いがあります。
そして、個人的にはその輝きを一番多感的な年代で受け取ってもいます。私のクルマ好きの構成要素の一部にソアラは間違いなく存在しているのです。


いつものようにダラダラと取り留めもなく書いてみましたが、珍しく登場日に合わせた思いを汲んでいただけると、幸甚に存じます。
Posted at 2016/01/21 05:22:15 | コメント(17) | トラックバック(0) | カタログ話(雑談編) | クルマ
2016年01月16日 イイね!

第26回東京モーターショー、スズキパンフレットの話

第26回東京モーターショー、スズキパンフレットの話30年前と書ける内に完結させるはずが、31年目に突入してしまった1985年のモーターショー話です(笑)

今回はスズキ編です。

この前の回では、フロンテ800以来の小型車市場への再参入となったカルタスの登場が話題となったスズキですが、翌1984年にアルトとフロンテをフルモデルチェンジを行った以降は、市販車での大きな話題はありませんでした。

ところが、そんな背景を裏腹にショーには2台のファンカーが舞い降りたのです・・・ということで、以下紹介していきます。



上は、「Light&Pure Sports」を掲げた、R/S1です。

縮小の関係で諸元が見辛いため、ここに転記すると
 ・全長:3,670mm/全幅:1,650mm/全高:1,090mm
 ・ホイールベース:2,230mm/トレッド(前)1,370mm/(後)1,380mm
 ・車両重量:720kg(目標値)
 ・エンジン:1300ツインカム4気筒16バルブEPI
 ・サスペンション(前):ダブルウィッシュボーン/(後):ストラット
 ・タイヤ(前):195・50VR15/(後):205・50VR15

カルタスをベースとする、MR2より一回り小さいサイズのミッドシップスポーツカーとなります。そのコンパクトなサイズと軽量は魅力的に映りますね。

フロントサスにダブルウィッシュボーンを採用することで、思いっ切り下げられたノーズを特徴とするスタイリングは、MR2比でも150mm以上低い車高と相まって、実にスタイリッシュに映ります。

当時のPCモニター風に6インチCRTを置くインパネもユニークですね。

市販化が期待されたものの、残念ながら参考出品に留まることになります。それにしても、ダイハツ(リンクはこちら)共々、コンセプトカーにミッドシップスポーツを掲げた戦略は、そのアプローチの違いも相まって興味深いものがあります。


下は、「Mini Performer」を掲げた、R/P2です。

こちらも最初に諸元を転記してみます。
 ・全長:3,430mm/全幅:1,540mm/全高:1,190mm
 ・ホイールベース:2,130mm/トレッド(前)1,310mm/(後)1,290mm
 ・車両重量:620kg(目標値)
 ・エンジン:800ツインカム3気筒12バルブEPI
 ・サスペンション(前後):ストラット
 ・タイヤ(前):175・50VR13

一見では、R/S1のミニ版的成り立ちに映りますが、こちらは横置きFFを基本とするパートタイム4WDのトラックでした。

タルガトップ&ガラスハッチを特徴とするスタイリングは、トラックという言葉からは程遠く、単なるデザインワークと見過ごすことはできませんね。

R/S1で外装:赤の内装:白の組み合わせをやって、R/P2では逆にする。
そんな小技も効いていたように思います。





左頁は、カルタスをベースとした参考出品のカルタスツーリングです。

ハイルーフにダブルサンルーフを組み合わせるだけではなく、リヤ側はボトム部を装着することでトランクにもなるというアイデアが披露されています。さすがに、このアイデアは市販化に至ることはありませんでした。

この車も90年代に実用化されたナビシステムが売りになっています。ディスプレイがCRTというのが時代ならでは。サイズ不明ながらも、クレジットカード風のナビカードが面白いですね。

エンジンは、1300ccの4気筒ディーゼル。需要はあったように思うのですが、残念ながらこちらも市販化されることはありませんでした。


右頁は、アルト/フロンテをベースとした参考出品のキャンバストップです。

Be-1といい、キャンバストップの流行が訪れていたことが分かりますね。あまり難しいことはせず、3ウェイの手動式となっています。ところが、シートは回転も含めて自動式を採用というあたりが何とも(笑)

アルトの方は、ほぼ同時期に販売開始となったEPIターボが搭載されています。キャンバストップにも需要はあったはずですが、ここだけに留まっています。





上段はジムニーベースの様々な提案です。
パノラミックルーフワゴンとEPIターボは、後に市販化に至ることとなります。EXPは、ロングボディ化して、オフロード系のパーツを追加したものですが、これのみ市販化はされませんでした。若干、スペースに余裕のできるロングボディに需要はあったように思えるんですけれどね。

マイティボーイのEPIターボも、イイ線突きながらも、この時のみに終わっています。セルボのターボが2年前に登場していることからすれば、遅きに失した感があるかもしれません。

SV250は、軽自動車よりさらに小さいサイズの提案です。
しばらく50ccでの模索が続いていたのですが、ここに至って250ccまで拡大されています。現在、各社が展開しつつある超小型モビリティの始祖と言えるかもしれません。時代は変わっても、この種を求める声は少なからずあるということなのでしょうね。

下には、当時のスズキを代表する2台である「カルタス」と「アルト」。そして両車のCMキャラクターと言えば、このお二方。もちろん、舘ひろしさんと小林麻美さんです。お二方の名前を付けた特別仕様車も随時投入されていましたね。





表表紙と裏表紙になります。
表表紙は、R/S1で、裏表紙はその他の市販車が掲載されています。
あまり目立たずに人々の生活を支えていた、そんなクルマ達ですね。

下段には、当時の関東と東海エリアの販売網が掲載されています。
カルタス店が別展開されているというのが、当時ならではですね。





タイトル画像の裏面です。
まごころの技術”HearTech”を掲げています。
中に書かれている内容は、今でも共感できるものばかりです。
ここにある「人々の暮らしを考え、生活を豊かに演出する便利なクルマ」というのは、今も企業情報トップに同様の文言が並びます。


といったところで、いかがだったでしょうか。
この頃のスズキは、当時のNo.1メーカーであるGMと組んでカルタスを誕生させる一方で、インドにいち早く拠点を求める等、外向きの動きを見せ始めた転換期にありました。

その一方で、当時のカルタスあるいはアルトというのは、よく言えば堅実、そうでなければ地味な印象のある商品でした。そしてそれらは、若向き路線を邁進しつつあったダイハツとは対照的でもあったのです。

そんなスズキが、このショーで見せた2台の筆頭コンセプトカーは、それまでのイメージを一新させるものがありました。スズキも凄いのを出すなぁ、みたいな感があったのです。

ここで勢いをつけたスズキは、翌年にカルタスとアルト&フロンテを比較的大きなマイナーチェンジし、それぞれ1300ツインカムと660ツインカムを追加しています。さらに後者はワークスに続くこととなります。もっとも、このマイナーチェンジは、スポーティ一辺倒だけでなく一般的なグレードにも効果的な改良を加えるというものでしたね。


今こうして振り返ってみると、ショーの参考出品群は、市販化に至っても不思議ではなかった提案が多くて、卓越した企画力と冷静な判断力がスズキを構成していたことが分かります。そして、そのことは今でも変わらない伝統的な社風なのだと言えましょう。

日本の自動車メーカー全てが、もしも国外ばかりに目を向けてしまったら、などという仮定で思える国内市場というのは、誠にお寒いのだろうなと想像してしまうわけで、スズキのように世界に目を向けつつも国内の人々のことも大事にするメーカーはやはり必要なのだと改めて思ったりするのです。

プロフィール

「日毎に暖かくなる季節の中で http://cvw.jp/b/1984303/47641110/
何シテル?   04/07 21:25
3台計で20年以上の長きに渡って乗り続けたX80系からW204への代替がみんカラを始める動機となりました。 最初はW204関連を主とするはずだったのですが...
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