
引越し後1年近くは、マークIIとMAXクオーレの2台体制だったのですが、2台を持ち続けるのはもったいないということで、両車の中間サイズである、1500ccの4ドアセダン1台に統合することが決定します。さらに、ここまでは中古車を乗り継いできましたが、新車を長く乗るのがお得という判断に。
新車に限定したもう一つの理由は、同じ頃、小型車クラスで大きな波となっていたFF化でした。室内スペースや直進性・操縦性等、車自体の性能が大幅に向上しているのが明白で、中型車から乗り継いでも不満は無いんじゃないかという期待もありました。
それまでの歴代でお解かりの通り、トヨタ党ですから最初のターゲットは、コルサ4ドアSXでした。しかしながら、実車を見たところパワーステ装着不可や内装の質感が今一つということで、登場したばかりのカローラSEに変更となります。さらにSEにパワーステを付けると4万円差、でSEサルーンに。
登場1年未満ということで、値引き交渉は強気かと思ったら、予想外の大幅値引き。あとでその理由が判明するのですが。
ということで、最初に1983年(昭和58年)10月のカタログから紹介します。
2015/4/25 画像を全て更新すると共に一部追加をしました。
手前は、4ドア1500SEサルーン(ホワイト)
奥は、5ドア1600ZX(イエロー) 共にOP装着アリ
ドアミラーやボディ一体型のバンパーが採用されることにより一気に近代化されています。
フロントノーズを下げる一方でトランクを上げたスタイルは、前代70系よりもさらに思い切ったものでした。衒いの無いスッキリとした外観は、個人的に歴代を通して見ても高評価ですが、市場の反応は今一つに終わります。
マイナーチェンジでメッキを増やした(個人的には改悪の)豪華方向に舵を切った後、次代となる90系では、車高を抑えたり、前後ピラーを寝かしたスタイル重視へ方向修正されることになります。
同じくSEサルーン。
バンパー上部だけの(材着色)カラードバンパーは、SEサルーンとSRのみの設定となります。直後の1984年(昭和59年)2月にはスタイリッシュ・バンパーと銘打って、バンパー下部もカラード化されるのですが。
この時にドアミラーも手動格納可能に変更されています。
男の真ん中 on the タイガーキャブ(違)
4ドア唯一の1600EFI搭載、かつスポーティグレードである1600SR。
このグレードのみ、80系登場後半年ほど経過した1983年(昭和58年)10月に追加設定されています。SE系と違って、メッキモール類が廃された外観がスポーティな印象ですね。
当時の流行色である白が多かったのですが、こうして見ると黒も似合いますね。
4ドアのグレード紹介を兼ねつつで各角度からのスタイリングが紹介されています。
このスタイリングは、おそらくトヨタ的には自信作だったであろうことが垣間見える気がします。
グレードは上から、1500SE、1500GL、1500ライム
トヨタ横置きFFの第一世代に共通する、開放感を重視したインパネです。
インパネ上部を濃色(ここではマルーン)、下部を淡色(ここではベージュ)の2色構成にするのは現在でこそ主流となっていますが、この当時は評判が今一つだったらしく、1984年の一部改良では、下部も上部の色と統一化されます。
この時点では、1500のATは3速のみ(1600EFIのみ4AT)ですが、その時にSE系のみ4ATに設定変更されます。
これまた横置きFF第一世代共通の、広さや開放感重視の室内空間です。
3代目カムリ&2代目ビスタ以降の第2世代FFでは、豪華さや包まれ感を重視して、室内スペースを狭めてしまいます。カローラ系も室内スペース(特に頭上空間)では、80系 > 90系。
実用的な可倒式リヤシートに、趣味の悪くないベージュ色のシートは、豪華さに欠けると判断されたらしく、1985年(昭和60年)のマイナーチェンジ以降、センターアームレスト追加の替わりにリヤシートは不倒式に、シート色はマルーン色に設定変更されます。
ここでは5ドアが紹介されています。
グレード構成は、ZXとSXの2つとなります。
保守的な4ドアに対して、先進的な5ドアという役割だったのですが、進化し過ぎと判断されてしまうこととなります。
リヤスタイルこそ類似すらないデザインですが、パッケージングは最も健全のように思うのですけれどね。
エンジンは、前代70系で使用していた1500ccの3Aを横置きにして搭載しています。1300ccは4Kから2Aに変更されると共に1600ccの4Aも加わって、ガソリンはA型に統一されることとなります。
A型は本来縦置きの前提で設計されたため、横置きに際して新設計も検討されたようですが、登場して間もない中では勿体ないと判断されています。その後も長くカローラ系のエンジンルームに収まることになりましたね。
ATのトヨタらしく、1600EFIにはクラス初の4速ECT-Sが搭載されています。
フロントサスのLアーム式ストラットは、カムリ・ビスタとは別型式で僅かに先行したFFコロナと同じ型式となります。
リヤサスは、この当時の主流だったデュアルリンクストラット式を採用。
FR時代はリーフ式 → 5リンク式への変更は受けたものの、ずっと固定軸でしたが、この代で4輪独立懸架となります。
この時代のFFセダンらしく、ポケット類は豊富で様々な小物の収納には重宝しました。
時間調節式間欠ワイパーやブロンズガラスはSEサルーンのみの装備となります。このあたりに魅力を感じたのが、このグレードの選択理由です(笑)。
フェンダーミラーは電動リモコン式である一方、ドアミラーは室内からの手動リモコン式ですが、実用的見地からすればこれで充分な気がします。もっとも1984年の改良では、ドアミラーも電動リモコン式に改良されるのですが。
オプション品としては、当時認可されたばかりのパーソナル無線が早速採用されています。
パワーウィンドーと電磁ロックは、5ドアZXのみにこのクラスのオプション初採用で設定。オートドライブは、1600EFIのSRとZXのみとなります。
4ドアセダンのグレード一覧です。
左頁上から、SEサルーン、SE、SR。
右頁上から、GL、DX、カスタムDX。
初代から先代まで続いたスタンダードは、ついに廃止されています。
SEのツート-ンカラーは、先に掲載したSR用とは異なるもので、SE系のみの設定となります。
ここではオーナー特権で(?)、SEサルーンのみを抜粋します。
家にあったのは、AT・アルミ付ではなくMT・アルミ無でしたが色も同じでかなり似通っていました。この画像だけで、何もかも懐かしいのです(笑)。
左頁では、5ドアと4ドアライムが紹介されています。
掲載位置的にも、ライムの立ち位置の微妙さは表現されている感がありますね。
右頁では、同時期のカローラ系の他ボディが紹介されています。
”86(ハチロク)”で有名なレビン(2ドア・3ドア)と、ほぼ同時期にミドルルーフ化された前代から継続のワゴンです。(他にバンもあり)

左頁は、装備一覧表
次代の90系では一気に装備が充実しますが、この代はまだまだシンプルな設定です。
右頁は、主要諸元表
ボディサイズは歴代で順調に成長していますが、現行と比較すれば、まだまだコンパクトです。本当は、日本の路上ではコレぐらいのサイズが使いやすいのですが、衝突安全性を考慮すると、現代にこのサイズのセダンを成立させるのは難しいのでしょうね。
後ろ表紙をおまけで掲載します。
(概要データ)
型式:E-AE81-EEMES
グレード:4ドアSEサルーン
外装色:ホワイト、内装色:ブラウン
登録(購入)年月:1983年(昭和58年)12月
下取年月:1992年(平成4年)4月、廃車年月:不明
純正注文装備:オートエアコン、カセット、店頭付属品一式
今回もエピソードを紹介します。
○新車納車後、わずか2ヶ月で新型登場(泣)。この時の改良は新型登場から数えても1年未満ですから完全に予想外でした。今思い返せば、新型の評判が今一つだったことからの早速の改良なのですが、買った方は堪りませんでした。
○新車販売に苦労したことで知られるモデルということを裏付けるエピソードとして、購入後直ぐに、分厚いアンケート用紙がメーカー広報から届きました。ユーザーの声を真摯に掬ったのでしょうね。
○最初はフェンダーミラー希望でしたが、在庫の関係で初のドアミラーとなりました。「1週間で慣れます」というセールス氏の話は嘘ではありませんでしたね。
○FF化の効果で、期待通り性能は大幅向上。(5年前のKE50系では騒音やら直進性やらで100km巡航が困難でしたが、この代では全く問題ない状態に)
○標準ライトは白熱灯のため、明るさに不満がありました。CIBIEのライトハーネス追加とNORMAのハロゲンバルブへの交換で満足できる明るさに。
○FF第一世代ということで、品質が今一つでした。マフラーは穴あきで3年毎の交換が必要。ドアサッシも3年程度で錆が発生しました。(販売したセールス氏が後年話した内容に「70と80は錆に悩まされましたね」というのがありました)レンズ類や内装部品の色褪せ等も各所に発生していました。次代以降は品質が大幅に改善されることになります。ただ、機能部品の耐久性はマフラー以外問題ありませんでした。
○私が免許を取って最初に乗った思い出の車です。エンジンは排ガス規制の後遺症を引き摺っていて、回転落ちが悪くレスポンスが良くなかったですね。
○エンジンフードが低いのも相まって、見下ろし型のポジションは視界良好。トランク角も把握できたため、今回リヤコーナーポールを装着せず。
私が免許を取って以降も、併用で長く居続けましたが、8年半9万キロ強という時点で、クラッチ滑りが発生。2本目のマフラーにも穴が開き、オイル漏れも発生ということで、このあたりが寿命と判断され、GX81へ代替されることになりました。
下取りで出してしまったので、その後は不明です。後年、登録事項証明で追跡したのですが、時効抹消された後でした。
何回も書いている通り、販売に苦戦した世代ですが、私自身は、前後世代で見受けられた市場迎合型ではなく、むしろ理想主義を追っていたような感を強く受けていて、カローラでは今でもこのモデルが好きなのです。