
思い出のクルマ第10回その3です。
71クレスタを始めたら、予想以上の好評でとても嬉しく思います。
間もなく登場して30年を経ようというクルマにも関わらず、この手のクルマが好きな人は多いんだなぁと再認識しました。
書いている方も、もちろん好きでして、今よりはるかに熱かったあの頃の雰囲気を多少なりとも感じていただければと。
1985年夏に、最大のライバル車であるスカイラインがモデルチェンジされることが確定。前年にローレルで登場した新世代直6である、RB20EだけでなくそのDOHC版、さらにターボ版までの登場も噂されていて、今度こそ最強グレードはGT-Rの再来かと、市場は熱く盛り上がります。
迎え撃つトヨタも、夏前から”CHARGED LASREα”の情報が流されていて、こちらは、スーパーチャージャーやツインターボを開発中という噂もちらほら。パワーウォーズ再びの世相に対しては「日本の道路事情を考慮すると高性能車は必要ないのではないか」などと言う自称良識派もいましたが、車好きにとってはそんなの聞き流してしまうわけでして(笑)。
スカイラインの新型が登場して間もなく、クラウンのマイナーチェンジと同時に、スーパーチャージャー仕様が追加となります。それまで5ナンバーの最上級だった、ロイヤルサルーンツインカム24の延長線上にある上級グレードということで、ほぼ予想通りの仕様での登場となりました。
同じ頃、遅れて登場するこちらのツインターボの公道テスト車両がスクープされますが、事前予想ではクラウン同様の大人しい上級グレードだったのに、何やらクラウンとは違う様相だったのです。。。
2015/4/24 画像を全て更新しました。
ということで新たに追加された、その名も”GT TWIN turbo”
開発のテーマは、「時代をリードする本格的高級GT」 ということで
1.1G系の頂点を極めるツインターボエンジン
2.本物の味を追求したサスペンション
3.高級GTにふさわしい装備品
が掲げられています
GT TWIN turbo(パールシルエットトーニング)の外装画像
GTの特徴としては
1.フロントスポイラー(リヤスポイラーはオプション)
2.ラジエータグリルの”TWIN turbo”エンブレム
3.リヤドアの”24VALVE TWIN turbo”ステッカー
4.ラゲッジドアの”GT TWIN turbo”エンブレム
5.ピレリー社製(P6) 205/60R15タイヤ
6.デュアルテールパイプ
があります。
2~4を外してしまえば明確にGTを主張するものは6くらい。所謂”羊の皮を被った狼”ですね。
GT TWIN turboの内装
GTの専用装備として
1.バケットタイプのスポーツシート
2.本革巻き3本スポークステアリングホイール
が設定されます。
1は、シートバックのセンター、サイド、アッパーサイドの各パッドを独立させた、セリカやソアラを彷彿させるもの。1世代前のツインカム24追加時にもここまで深いバケットシートは設定されなかったため、ここまでやるかと衝撃的でした。
2も、セリカXXやソアラは、まだ2本スポークだった時代。当時流行したイタルボランテを髣髴させるようなステアリングホイールで登場してくるとは思いませんでした。
GTの追加によりセカンドグレードに格下げ(?)のスーパールーセントツインカム24
GT追加と同時の変更点として
○OP設定のリヤスポイラーのカラード化(スーパーホワイトII(040)及びパールシルエットトーニング(2V0)の場合のみ)
その他にスーパールーセントと共通の変更点として
1.ベージュメタリック(4E6)及びダークブルーメタリック(8C1)のマッドガードのカラード化
2.電動格納式ドアミラーの採用
があります。
ターボが廃止されてシングルカムのみとされたスーパールーセント。
しかしながら地味に手が入っています。
1.ブレーキの強化(1G-GEU搭載車との共通化)
(1)ブレーキブースターのサイズアップ(9インチシングル → 7.5インチタンデム)
(2)フロントブレーキローターのサイズアップ(厚さ18mm → 22mm)
(3)リヤブレーキローターのサイズアップ&ベンチレーテッド化(厚さ10mm → 18mm)
2.1G-GEU搭載車には設定済だったダッシュアウタサイレンサー及びリヤサスペンションメンバ部へのダイナミックダンパの追加
3.パールシルエットトーニング(2V0)の設定追加
3については、特別仕様EXCEEDで市場観測をしていたのですが、好評という判断により設定が追加されます。
スーパーデラックスとスーパーカスタムは、1985年5月の一部改良により、スーパーホワイトII及びカラードウレタンバンパーが選択可能となっています。
注目された1G-GTEUのエンジンスペックは、測定方法が従来のグロス方式(エンジン単体で測定)からネット方式(エンジン車両搭載状態で測定)に変更されたにも関わらず、従前の1G-GEUやM-TEUを大幅に上回る数値でありました。
ネット表示はグロス表示の15%減というのが通説だったのですが、その通りで換算すると、トヨタ最強はもちろん、日本車全体でも、日産のVG30ETとマツダの13B-Tが上回るのみでした。
足回り関係では、TEMSも当然装備してくるだろうという事前予想を裏切り、ハーダーサスを採用。PPSも1モードのみということで、ベストチューニングを追及しています。
この辺りは、GT用を除けば、特に変更点はないのですが、掲載してしまいましょう。

左頁は、主要装備及び内外装色の一覧表
ここでは、その他の変更を補足します。
(装備関係)
○部分強化ガラスだったグレードは、全車合わせガラスに変更
その他に教習車の変更点として
○運転席上下アジャスターを2ウェイから4ウェイに変更
○助手席ランバーサポートを追加
(色関係)
○ワインレッドメタリック(3E2)の設定廃止
○ホワイトを(033)から(041)に変更
右頁は、主要諸元表
1G-GEUやM-TEUとの数値の比較はこちらをご利用くださいませ。
GTの追加は、カンフル剤としては覿面で、街中に大量に出回ることで新車効果が薄れ始めていた3兄弟が再び脚光を浴びることとなります。
もっとも販売の主流は、相変わらずツインカムやシングルカムのスーパールーセントでしたが、GTの役割がイメージリーダーだったことを考慮すれば十分以上であったと言えます。
それこそ、このクルマで”男30才 GTアゲイン”を果たされた方もいたのではないでしょうか。
中学生だった私も、クルマ好きの同級生と共に「大人になったらいつかは・・・」と語りあえるクルマだったのです。