
思い出のクルマ第10回その6です。
GX71クレスタも、一応の最終回ということで、ここまでお付き合いいただきまして、厚く御礼申し上げます。
好評のために、何とかが木に登るがごとく、つい気が大きくなりまして(笑)、当初予定を大きく上回るボリュームとなってしまいました。一応は、引用部分だけでも価値があると思いますので、まぁよかろうということで。
そんなこんなで、今回は急遽作成した回だったりします。
※2014/3/25 画像を全て更新しました。
引用カタログは、後期のOPカタログになります。以前掲載しました、
81のOPカタログと比較するのも一興かと思います。

見開き頁は、ここにこんな用品が付けられますよという未装着車の画像。
前々回のとおり、カタログからの引用ですね。

エアコン&オーディオ系の用品。
カセットデッキは、中級以下のグレード用のため、当時のトヨタ汎用品ですね。
パーソナル無線は、技術の進化に伴い、1/2DINサイズに縮小されています。
エアピュリ画像では、リヤトレイが狭いのに注目。スタイリングの影響なんですが、兄弟車で唯一16cmスピーカーは納められずだったりします。

フロアマット他の用品。
フロアマットは、シャギーが最高級。81ではこの上に何種類か追加されますが、当時は種類も限られたものでした。

シートカバー他の用品
シートカバーも、ハーフCが最高級。81後期で追加されたハーフロイヤルやら緞通マットは、バブル時代ならではの選択肢だったのです。

外装系の用品
コーナーポールも電動格納式は登場前。もちろんコーナーセンサーもありません。

ボディカバー・ルーフラック等の用品
この辺は81とあまり変わりませんかね。

教習車・愛車セット関係の用品
この辺、こだわりをお持ちの方には興味深いのではないでしょうか。
それでは、先延ばしをし続けた(笑)印象記です。
教習車がコレだったというのは先述の話ですが、その後の経験を記載します。
まだコロナに乗っていた時代ですから、20年以上も前、職場の人が後期スーパールーセントに乗っていまして(購入直後にエクシードが出たんだよね、とのこと)、これには同乗も運転もしたことがあります。81を買おう、あるいはデジパネもいいなぁと意識しだした発端となった車ですね。
その後、10年ぐらい経ってから、後期アバンテも運転したことがあります。
この時は既に81に乗っていたので、比較しやすくかつ印象補正が入っています。
前提条件は以上のとおりということで・・・
(座ってみて)
運転席の印象は、何よりノーズが長いというのが第一。教習車で経験していたはずなんですが、コロナ比だとどうしてもですね。チェイサーの時は、81比だったので気になることはありませんでした。
クレスタは兄弟車の中でも、ボンネットが長くノーズのスラントもほぼ皆無ですので、なおさらです。
運転席のポジションは81よりも屋根が高いだけあって、テレスコピックが備わらなくても、何とか違和感なく決まります。(81は71をベースに屋根を低くした影響で、ポジション補正のためテレスコを備えざるを得ず、それでも補正しきれていないというのがよく判ります)
81比ではピラー類が立っている&細い分解放感があるのも好印象です。
インパネの操作性はリーチ量低減要素が入る前ですので、全体的なデザインは立体的ですが、特に最下段かつ奥に押し込まれたオーディオが遠くに感じました。手元のサテライトスイッチのみで大半の操作はできますので、テープの入替等でなければ、決定的な欠点とはなりませんが。
運転席の位置をそのままで後席に移ると、4人乗車には頭上・足元ともに厳しいスペースとなります。姿勢を変えるのも制限されますから、長時間ここに収まるのは遠慮したいところです。
さらに5人ではセンタートンネルが大きいため、あくまでもカタログ上の表記に留まります。
このクルマは、4ドアセダンでありながらも、パーソナルカー要素が強いのです。
(リヤドアの付いたソアラという評価が実に適確(笑))
(動かしてみて)
動力性能は、GX81より100kg近く軽量な分、スタートこそ同等以上(セミトレの癖で発進時は後ろが下がるため誤解しやすい面有)ですが、1G-FEで感じる中回転からの伸びはありません。大人4人で乗ったりするとあまり余裕があるとは言えませんでしたね。
静粛性は、さすが6気筒。GX81よりは一回り騒音レベルが上がる気がしますが、音自体はワンカムの方が澄んでいるため、あまり気になりません。コロナとの比較では、「6気筒ってやっぱりいいなぁ」と思わせるのに十分でした。
操縦性はリヤサスがセミトレになるという点が大きいですね。先述のとおり、発進時やATのシフト時等はもれなく後ろが下がりますし、限界近くになると81の安定感(こちらはフロントが逃げる)とは違う感覚が襲います。
リヤ下がりは、むしろこれが好きという人が多そうですが、柔らかい純正サスと組み合わされると、4人乗車の発進時では多少の段差でも気を付けないとエンドマフラーをすることとなります。
今の基準からすると、ボディ剛性を筆頭に安全性、装備等、一時代前なのは明確ですが、このクラスであっても軽量であることの良さというのは感じることができると思います。81のように豪快な作り込みに至っていないのは、設計年次の差でしょうが、これはこれでいいバランスと感じるのですから、クルマというのは奥が深いですね。
(結論を装う余談)
かの徳大寺氏は、86年版「間違いだらけのクルマ選び」において、
「立派に見えるということでマークIIを選ぶのは、まだ人々がクルマにある種の夢を抱いているからだと思う。 私はその夢の実現の仕方がマークIIという形では少々寂しいとは思うけれど、夢も何も無く、クルマはただ動けばいいというマーケットよりはずっといいと思っているのである。」
また88年版において、
「マークIIのオーナーになることは、自分が豊かになったことを実感させてくれるのだろう。しかし将来の日本を考えると、われわれは本当に豊かでいつづけられるだろうか。そう考えると、昨今のマークII現象を、そう嫌ってばかりもいられない。」
と記載しています。
そこから、数十年を経た現在、経済的事情以外の理由も多々ありますが、危惧されていた(?)クルマなんか動けばいいというトレンドが急速に広がりつつあります。
実に予言的であったのですが、私はクルマ趣味人の一人として、動けばいいという流れとは、反対の立場で居続けたいと思っています。
初回に書いた通り、このクルマが当時の男性諸氏を熱狂させたのは事実ですから、今更ながらであっても、こうして振り返ってみるのも決して無駄ではない、と思いたいですね。