
思い出のクルマ第14回です。
平日が忙しいにも関わらず、
旅行の予定が入っていたりするというドタバタ具合。
休日の隙間で旅の疲れを癒しつつの更新です。
クラウンは、
第2回で100系を、その他にも
ちょっと古いクルマとして、自分で買おうとしたという話も取り上げていますね。要するに、物心付いた時からつい最近まで三河方面に馴染んで来た身としては、多かれ少なかれ「いつかはクラウン」を意識せざるを得ないということなのでしょう(笑)。
今回は、
81を買う時に買おうかと考えていた、通称「130クラウン」の話になります。もっとも、140と併売期のセダンという辺りは、ちょっと違うところかもしれません。
130は、私がまだ高校生だった時代に登場。直接のライバルであるセドリック・グロリアが若向きにイメージ転換を図ったのに対して、前代の120のイメージを昇華&熟成させた形で登場しています。
キープコンセプトを危ぶむ声も一部にはありましたが、時はバブル真っ盛り、ハイソカーそこから発展した高級車の両ブームに乗ってほぼ300万円スタートだったクルマがカローラ・マークIIに続く販売台数を記録し続けることとなります。
私の周りでも、裕福な家庭のご子息は130の新車、自力でバイト全開は120の中古車ってな具合で「いつかは・・・」ならぬ「いきなり・・・」を実現されていたのが数名いました。さすがに途中追加されたV8は、簡単に買えないイメージがありましたけれども。
発売当初は、お高いイメージだったワイドボディHTにも2500やお買い得グレードが追加されて、いよいよ身近になってきたなぁと思うのも束の間、次期140の登場が間近に迫ります。
140は登場翌日にアムラックスに向かったのを記憶しています。・・・がそこに展示してあったのは、あの格好な訳です(笑)。で、元からのセダン好きも高じて大幅改良された130セダンに興味が移ります。やっぱり一般世間とは少しずれている当時20歳なのです(笑)。
それでは、いつものように長い前段の後にカタログの紹介です。
発行年月は1992年(平成4年)10月、スーパーサルーンEの5ナンバー仕様追加時になります。
2015/5/16 画像を全て更新しました。
セダンロイヤルサルーンGのフロントビュー
大幅改良の際に、Aピラーから前は全てのパネルを一新。その結果、フロントマスクだけならマイナーチェンジとは思えない変わりように。
フェンダーミラーは視認性向上のために大型化されていますが、このボリュームあるフロントマスクには違和感なく収まります。大型化のおかげでフェンダーミラーの弱点だった鏡面の小ささはドアミラーとの比較でも劣らないように改善されています。
ボディカラーは長らく続いたダークブルー(869)に替わり、新技術のフタロシアニンフレークを採用した、ダークブルーマイカフタロシアニン(8J5)。オプション料金を取られますが、実に鮮やかなイイ色合いでした。
セダンロイヤルサルーンGのサイドビュー
大幅改良の際に、Aピラーからフロントドア周辺、並びにリヤドアの下半分以外はパネル類を一新。3ナンバー車は前後バンパーも変更したのに合わせる形で、ロイヤルサルーンのみサイドシル部分にパネルを追加しています。
ホイールも5.5J-14インチからようやく6J-15インチに拡大されていますが、HTより若干スリムな195/65R15との組み合わせ。(HTは、6.5J-15に205/65R15)
本来は後席頭上空間の拡大が目的だったのですが、目的すら霞んでしまう大幅変更。大幅変更前のスリムなイメージから一転して恰幅のいい様相になっていますが、バランスはそれほど崩れていません。
AピラーとCピラーのラインが合っていないのと、膨らんだキャビンボリュームに対して相対的にホイールベースが短いのが気になりますが、そこはマイナーチェンジの限界。いずれも次世代の150セダンでは最適化されます。
セダンスーパーデラックスのリヤビュー
膨らんだキャビンボリュームに合わせる形で、リヤデッキ部分を嵩上げしつつ、リヤランプ部分を上下方向に大型化しています。
5ナンバー車はバンパー部分をそのままとしたため、相対的に下半身が痩せて見えますね。デザインバランスは明らかに3ナンバー車有利。
大幅改良前と同様、サルーン系とそれ以外でリヤランプは作り分けをされています。
セダンロイヤルサルーンGのインパネ
外装とは一転して、ほぼ改良前と同じ景色が広がります。
変更点は、ステアリング、シフトノブ及びオーディオ等
HTは、モデルチェンジに際して、液晶画面&GPSナビに進化しますが、セダンは、旧来のCRT画面&GPS無のまま据え置かれます。
セダンロイヤルサルーンGの室内
こちらもほぼ改良前と同様ですが、室内色はHTに合わせる形で落ち着いた方向に変更されています。
改良前の助手席ヘッドレストは、電動可倒式の凝った物でしたが、手動式に後退。
セダンの室内の紹介です。
5代目の後期で初登場したラウンジシートは、50/50分割で運転席と助手席用のアームレストを備える形状でした。ただしコラムシフトながら、5人乗り。
同形状のまま長く続いてきたのですが、この時点で40/60分割の6人乗りとしたニューラウンジシートに変更されています。
オットマン機能付きシートは、「リラックスシート」の名でセドリック/グロリアが430のマイナーチェンジ以降、採用し続けていました。
そこから10年間、クラウンはこの機能を取り入れることはなかった(ただしセンチュリーは早期に採用)のですが、ここで登場することとなります。
ワゴンロイヤルサルーンの外観
ワゴンは、フロントセクション及びサイドモールから下のみセダン同様の変更となっています、以外の部分は基本的に改良前のまま。
改良前のリヤバンパーはセダンと共用のためか、取って付けた感が否めない状態でしたが、ワゴン用の3ナンバーバンパーを新規に起こすことで対処しています。
ワゴンロイヤルサルーンのインパネ
こちらもセダン同様、大所はほぼ変更ナシ
オーディオは、ボタン整理が進みましたが、その代わりに上部の操作スイッチが省略されています。
ワゴンロイヤルサルーンの室内
ベージュの内装色は変更前と同様に見えますが、実はセーブル → クオーツに変更されています。
ワゴンのラゲッジスペースが紹介されています。
7代目・8代目とかなり作り込んで来ましたので、この時点では大きな変更はされていません。
豪華そのものの作りは、バンとは明らかに違う高級ワゴンならではなのです。
エンジンの紹介
JZ型エンジンは、2.5用として一足先に搭載されていますが、3.0も従来の7M-GEの替わりとして、2JZ-GEが登場しています。
マイナーチェンジ前には、V8 4.0の1UZ-FEが搭載されるグレードもあって静かな人気があったのですが、この時点で整理されています。
安全装備の紹介
基本的には従来のとおりなのですが、アイドラアームが2点支持から3点支持に改良されたことが目に付きます。
ユーザー層からすると、「アイドラアームって何?」といった感じだったのかもしれませんね。
マルチビジョンは変更を受けませんでしたが、オーディオは改良されています。
スーパーライブを謳いながらも、前席でなく後席重視というのがいかにもクラウンセダンらしいですね。
セダン上級グレードの一覧
上から、ロイヤルサルーンG、3.0ロイヤルサルーン、2.0スーパーサルーンE
前に書いたとおり、サイドシル部分はカバーされていないスーパーサルーンEの方がシンプルで好みです。スーパーサルーンEは当初3ナンバー仕様のみ設定されますが、5ナンバー要望も強かったらしく後日追加されています。(ただし、形式認定の関係で改良前のIRS&リヤディスクから5リンク&リヤドラムに格下げ。)
当時はダークブルーに内装色ブルーの組み合わせしかないと思っていましたが、今の目線では内装色グレーも落ち着いていてイイですね。
セダン下級グレードとワゴンのグレード一覧
セダンスタンダードは後期になると営業グレードのみとなるので自家用グレードとしては最後の掲載。
ワゴンのスーパーサルーンEは改良前は2.0でしたが改良に伴い2.5に格上げされています。
セダンの主要装備一覧表
改良前はバブル全盛期ということもあって、オプション沢山の注釈も沢山だったのですが、改良に伴いだいぶ整理されています。それでも今の目線でいけば、ここまで仕様を差別化するのかと十分感心できますね。
最後の自家用スタンダードとロイヤルサルーンGを比較すると、とても同じ車とは思えないというのはお約束(笑)。
左頁はセダンの主要装備一覧表の続き
右頁はワゴンの主要装備一覧表
変更前同様、同一車種内でインパネがグレード別に3種類あり。今ではちょっと考えられない設定です。
左頁は全車標準装備及び内外装色一覧表等
改良前、特にロイヤルサルーン系は外装色に関係なく、ほぼフリーに内装色を選べていましたが、改良を機に大幅に設定が狭められます。それでも、フォーマルセダンやフォーマルワゴンに求められる外装色は、ほぼ網羅。
上で褒めたグレー内装色は、実はロイヤルサルーン系のみの設定でした。
右頁は販売店装着オプションとタイヤ&ホイ-ル
ホイールの内、左側の3種類は変更時に新設定されたものとなります。
主要諸元表
81との比較では、フレームボディのため約100kgのプラスとなります。81の印象からすると、この重量には2500が必要、できれば3000が欲しくなるでしょうかね。ミッションは81とほぼ同じながらもファイナルギヤを下げて重量増に対処しています。
フルフレームボディとボールナットステアリングを採用した最後の世代となります。当時でも既にクラシカルだったのですが、きっともう再現されることはないでしょうから、乗れた方は貴重な経験をされたと思います。
最後に所感を少し。
これまた前に書いたとおり、130セダン、特に2.5スーパーサルーンEはコロナに乗っていた時に、いずれ買いたいなと思っていました。結局車庫に入らないことが判明して諦めてしまいますが、憧れたという事実は変わりません。
マークII3兄弟は81と90の間に思想の境界があると認識していますが、クラウンを境界分けするなら、思想よりもやっぱりフレーム付か否かかなと思うのです。フレーム付でも140は、デザイン面でセルシオやマジェスタの影響を受けていると思うので、130がクラシカルクラウンの最後かなとも。
実体験を以って「クラウンはフレーム付に限る」と言われた方もいらっしゃいました。フレーム廃止以降は合理化が進んだのも事実ですから、こだわる気持ちも十分理解できます。
少し前に紹介した
セド・グロセダン祭りでも一部130セダンの上玉が入庫していました。その時期には私の興味は150に移っていましたが、実は130の方が貴重だったのかもしれません。
もっとも上玉の130は既にファンが確保に走っているようですので、先々もイベント等では見受けられる予感がしますね。