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2014年12月05日

80スプリンターのセールスマニュアルの話(後編)

80スプリンターのセールスマニュアルの話(後編) 間に別の話を一つ挟みましたが、前編に続く後編をお送りします。

タイトル画像は裏表紙になります。

名前のとおり、セールスマニュアルですから、最終的にはお客様に買っていただくのが目的ではあるのですが、あまりあからさまな記載はないように思います。たとえ本音であっても、露骨に売らんかなで書かれるのは、あまり気分の良いものではないと私なんかは思うので、このマニュアルにはむしろ好感が持てます。

今と違って新車の販売台数が年々増えていく中でしたので、今よりもノンビリしていたと言えるかもしれませんね。



前段はこれぐらいで後編に入っていきます。
2015/4/12 画像を全て更新しました。



左頁は5ドアのスタイリングの紹介
リヤドアから前は4ドアと共通ですが、Cピラーから後で独自性を強調。
ここでは空気抵抗係数の低さを謳っています。
ライバル車の数値も記載されているのですが、サバンナやカペラで空気抵抗係数の先駆けとなったファミリアの数値の高さが意外だったりです。

右頁は5ドアの最大のセリングポイントとなるオールフラットシートの紹介
ワンボックスワゴンが先に”売り”にした機能にあやかる形です。
このサイズでこの機能を達成しようとするとどうしてもフロントシートを小さくせざるを得なくなるのですが、リヤシート座面を斜め後ろに引き上げさせることで、回避しています。その分作り方は複雑となっています。
まぁ、使い易さよりも機能を備えることが重要としている感もありますね。





オールフラットシートで掴みを得たところで、今度は運転席周辺の紹介
5ドアZXの前席には7ウェイスポーツシートが標準となっています。
このシートは先行したカローラII系3兄弟のスポーティグレードと基本形状を同じにするもの。4ドアのシ-トとの分け方からして、4ドアよりも若年層を狙ったことを伺わせます。

右頁の各装備は、リヤワイパーを除いて4ドアSE系とほぼ同水準となります。





続いての左頁はリヤシート周辺の紹介
分割可倒式リヤシート以外は5ドアの独自機能となります。
少し前に登場したコロナFF5ドアは、これら機能の他にリヤパーセルボードを簡易座席にできる機能もありましたが、こちらは備えません。

右頁は5ドアが搭載するエンジンの紹介
4ドアにある1300の設定が無いのですが、こちらには4ドアには無い1600EFIがある形。(もっとも直ぐに4ドアにも1600EFIが追加となるのですが。)
設定の仕方からして、5ドアを上級に見せたかったのでしょうね。





5ドアのセリングポイントを一通り紹介したところで、量販グレードと見込んだ1500ZXの紹介
先に書いたとおり、ZXは4ドアSEと並ぶ上級グレード。
どうやら他車からの吸引を5ドアに任せたかったことが伺えます。
この中ではウェザーストリップの記載が謎ですが、どうやらリヤスポイラー解禁に合わせる筈が、モデルチェンジが先行したための措置らしく。
初期型はちょこっと反っただけでしたが、解禁後の部分改良では明らかにスポイラー形状と判る形に大型化されます。





5ドアは小型車との比較や小型車からの代替があると目されていたため、オプションながらも豪華装備が選択可能になっています。
このクラスでパワーウィンドーやオートドライブが選択できるようになったのは驚きでした。もっともこれらを装備すると価格も小型車に匹敵する金額となります。
スプリンターの取扱チャンネルだったオート店は、スプリンターの上級車種はチェイサーとなってしまうため、こういう設定を必要としていたのも事実。

右頁は1600のATに設定された、電子制御4速オートマチック”ECT-S”の紹介。ECT-Sは、この後トヨタの電子制御オートマチックの基本プログラムとなります。従前のECTは、パワー・ノーマル・エコノミーの3パターンでしたが、ノーマルの替わりにマニュアルを追加したというのが主な違い。
このクラスのATは3速が大多数の中で4速を導入したのは先進的な試み。やがてこのクラスのAT比率の向上に貢献していくこととなります。





5ドアの次はヤング層の注目が集まったトレノの紹介
お客さんには、「まずじっくり車を見てもらうこと」という辺り、セダンシリーズとは客層の違いが明確に感じられます。商品力への自信の表れと言えるかもしれません。

右頁は期待の新エンジンとなる4A-GEUの紹介
クラス随一の130馬力(旧型比15馬力UP)によって、パワーウェイトレシオは大幅向上。当時、性能の目安とされた0~400m加速でも、一クラス上を上回るタイムを誇っています。





続いては細部の説明。
この辺もセダンシリーズとは違って、お客様は既に研究済み、売る方は知識の補助という位置付けが感じられます。
従前「トレノ」名はクーペのツインカム限定で使われた名称でしたが、モデルチェンジの際、クーペシリーズ全体の名称となったことへの理由(言い訳?)が説明されています。

同じGT APEXでも、2ドアはパワステが標準、3ドアはデジパネが標準と設定が分かれている辺り、3ドアの方が若年向けと想定されていたようです。
セダンのATは、1600のみ4速で他は3速でしたが、こちらは1500にロックアップ付4速ATが設定されています。





左頁は戦略グレードとされる、GTVとGT APEXの紹介
GTVは、その昔セリカに設定されたグレードですが、時を隔てて走りを徹底追及したグレードとして、レビン・トレノに復活します。
GT APEXは、豪華装備も備えたグレード。旧型では、マイナーチェンジの時にクーペの最上級グレード、トレノAPEXとして追加されています。
ライバル車との比較では、他社の一クラス上の車種に対して過激な言葉が並びます。

右頁はボデー・エンジン・ミッションの一覧
モデルチェンジで設定が大幅に変わったため、混乱しないよう注意事項が書かれています。前回書いたとおり、それほど時間を空けずに再度変更を受けていて、また設定内容が変わるのです。販売最前線の苦労が偲ばれます。





最後は以前に紹介したクレスタでもあった商品知識テスト。
先日1級不合格が判明した「くるまマイスター検定」もこういった内容なら、ほぼ満点近く取れたと思うのですが(笑)


ということでいかがだったでしょうか。
ページ数の割り振り方からして、初となるFFシリーズが重視されているのは明らかです。先述のとおり、トレノシリーズに関しては、お客様に負けない知識という観点は持っていないのでしょうね。

そんな期待を背負ったシリーズでしたが、トレノが好調に売れる一方でセダンシリーズ、特に5ドアはそのスタイリングが一般受けせず伸び悩むこととなります。急遽4ドアにもスポーティグレードのSRを追加しますが、販売台数の大幅増とはならず、早期のテコ入れで商品力を補強しつつも、マイナーチェンジあるいは次世代に向けて戦略の見直しを迫られることとなるのです。

私自身は、保守的なチェンジが多かったこのシリーズには珍しく意欲的な取り組みが多くて、この世代好きなんですけれどね・・・
ブログ一覧 | セールスマニュアル話 | クルマ
Posted at 2014/12/05 21:22:37

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この記事へのコメント

2014年12月5日 22:10
こんばんは。

私もこの世代は好きですね。
5ドアやワゴンが好きな身としては、この5ドアはいいなぁと思っていました。
特に初期は4ドアにない1600EFIやECT-Sなどの装備も充実していましたしね。
ただ一般的には前期型はあっさりした感じで、イマイチな感じだったのでしょうかね。
マイナーチェンジ後の後期型は、驚くくらい豪華になっていますから。
初代(FFになってからの)ビスタ/カムリの時と同じパターンに思えます。
コメントへの返答
2014年12月5日 22:30
bouyukiさん、こんばんは

意欲作であるだけに玄人好みかもしれません。
少し前から2ボックスHBの比率が上昇していましたから、セダンを買っていた需要の一部は5ドアに移ると読んでいたのだと推測しています。FF化が進む過程において各車のFF第一世代は市場観測もしていたのかなぁと。
第一世代は若干のズレがありましたが、第二世代はトレンドにピタリと嵌める辺りが実に巧みというか(笑)

前にも書いたと思いますが、(販売予測を下回った)初期型を買った我が家には結構な厚さのアンケートが届きました。きっとそれらの集計結果がマイナーチェンジに反映されたのだと思いますね。
2014年12月5日 22:44
こんばんはです!

いやー、今見ても5ドアいいですね^♪
個人的に5ドアならカローラ顔のほうが似合ってると思ってます。
5ドアの前期のリアスポイラーは「ウェザートリップ」という名目だったんですね。
黒のリアスポがいいアクセントでした^ ^

スタイリングはもちろん、デジパネやフルフラット、4ATなど…トヨタ大衆車もやっと新しいステージに入ったと当時実感しました。
コメントへの返答
2014年12月5日 23:42
EMoonさん、こんばんは

「今見ても」と書かれる辺り、やはり玄人なのだと思います(笑)。当時の日本車離れしたオシャレさとでも言いましょうか。顔は前期カローラが背伸びもせず一番素直かなぁと。
スポイラー解禁前は、当時の運輸省がアレルギーのように嫌っていたアイテムですから、”雨樋”とせざるを得なかったのでしょう。

この少し前に出たコロナFF5ドアと比べても仕様上では逆転した部分もあって、新世代を予感させるには十分なものがありましたね。もっとも逆転部分は、時を経る中で序列順に整えられていくこととなるのですが。
2014年12月6日 18:52
今見ても新鮮なスタイリングですね!自分は初代FFコロナが凄く好きなのですが、このスプリンターはその流れを組んだデザインのように思います。
SRグレード、その後GTの追加、可動式ドアミラーやブロンズガラスの採用、カラードバンパーなど、前期でも大きな仕様変更がありましたね。高級化がキーポイントだった時代をまさに反映した変更だと思います。
コメントへの返答
2014年12月6日 20:53
tteeさん、こんばんは

玄人の方がもうお一方ですね(笑)
意外と現行プリウスを時代遡らせるとこの辺りに帰結するのかもしれません。私も初代FFコロナは日本車離れした大人びた雰囲気が好きでした。FF化に際して、日本人の好みを国際的にしたかったのかもしれません。

仰るとおり、上級グレードとなるSR・GTの追加や各種装備の追加等、豪華になる一方でした。ドアミラーを例にすると初期はダイレクトリモコンでしたが、最終特別仕様車は電動格納式に至りましたし(笑)
ハイソカーブームの影響を受けているように思いますが、ユーザー側が大衆車にも豪華装備を望んだのも事実ですね。
2014年12月7日 18:58
やっぱりトヨタのセールス・マニュアルは上品な表現ですね。これが同時代のマツダだと、コロナに槍が刺さってるは、ブルーバードが半分にちぎられてるは・・・良く言えば闘志満々、悪く言えばゲスの極み(笑)で、想像通り、CMキャラクターへの言及は無しと・・・
コメントへの返答
2014年12月7日 19:42
営業部長さん、こんばんは

このマニュアル、サニーとの比較はあってもファミリアとの比較はないのが不思議だったりです。
マツダのマニュアルは見たことがありませんが、過激なのですか。こちらのマニュアルはあまり過激な表現も無く上品な印象ですが、実際の販売最前線では、日産・マツダと激しい値引き合戦を繰り広げていたのも実情ですね。

CMキャラクターは前回の一言だけでしたね。差替えの影響なのかは知る由もありませんが。
2020年12月10日 12:39
80系スプリンターのセールスマニュアル初めて見ました。
当時は5ドアセダンに力を入れていたんですね。
知りませんでした。
我が家はカローラのZXを所有していましたが、当時はメーカーが想定していた一応ターゲット層だったのかな?(笑)
30代のファミリー層でした。
親父が2歳の娘(私の妹)を帰省時に後部座席でリクライニングで寝かせる為に選択したのが5ドアでしたから。
オールフラットシートは私が小学生高学年になってから取説読みながら一度だけ遊びでやったことがあります。
確かに大変だったように記憶してます。
今の所有車のスズキ パレットも同様のシートアレンジが可能ですがやはりもっと手軽に出来るように進化してますね。
リヤスポイラーは認可がおりる前の苦肉の策だったんですね。
雨樋扱いなのは笑えます。
改良後は堂々とリヤスポイラーとカタログにも記載されてますね。
我が家の場合、改めて改良後のモデルが納車されたのはラッキーだったのでしょうね。
登録も昭和59年2月でしたから。
コメントへの返答
2020年12月10日 18:13
家に初期型の80カローラがありましたから、手を出さずにいられなかった資料でした。

70年代末から80年代初頭にかけて、このクラスはハッチバックの販売比率が増えていた背景もあり、その多用途性を知ったユーザーは4ドアでは物足りず5ドアを求めるという読みだったようです。スプリンターはカローラよりもやや進歩的だったということもありますし。

オールフラットシートは、限られたスペースで実現するため、苦慮した感があります。今目線だとリヤリクライニングだけでもアピールになると思うのですが、当時はワンボックスワゴンのブームもありましたからね。

この時期、60タイヤ・ドアミラー・スポイラーと解禁が進んでいるのですが、時期が微妙にずれていたため、過渡期的な対処だったのでしょう。

初期型ユーザーからすると、商品力の向上が明らかで(笑)。登場後半年強であそこまで手が入った事例は稀有だと思います。

プロフィール

「帰還後の近況 http://cvw.jp/b/1984303/48316556/
何シテル?   03/16 21:58
3台計で20年以上の長きに渡って乗り続けたX80系からW204への代替がみんカラを始める動機となりました。 最初はW204関連を主とするはずだったのですが...
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