
ここのところ、カタログ話はトヨタ車が続いていましたので、今回の棚から1冊は他社から選抜ということで。
車歴のとおり、父親がトヨタ好きだったため、どうしてもトヨタ車の資料が多くなるのですが、他社も無い訳ではないのです。
スカイラインは、以前に
R32と
C210(ジャパン)を取り上げましたが、今回はC110、通称”ケンメリ”となります。
このカタログに関しては、スカイライン本体はもちろん、神話やらグッズやらも主役じゃない?、と思うのが取り上げた理由です。何せ表紙からしてタイトルは「スカイラインの世界」、真ん中の画像は「ケンとメリーの木」の下に佇む二人、下半分には洒落たフレーズが並ぶという具合なのです。
それでは早速紹介していきます。出版は1975年(昭和50年)3月。一部改良と共に、2000GTに後の量販グレードとなるLタイプが追加された時のものとなります。排ガス対策は昭和50年規制に適合する前ですね。
2015/5/17 画像を全て更新しました。
左頁は「モーターファン」誌主催の「リーダーズ・ベスト・カー」と「月刊自家用車」誌主催の「国産乗用車人気投票」で受賞したという話。
国産乗用車人気投票は今も続くイベントですが、この当時の総合部門はスカイラインが最強。初代ソアラが登場するまで、その人気は続くこととなります。
右頁はそれを静かにかみしめるひとりの男。
もちろん「桜井真一郎」氏なのです。おそらく日本一有名な設計者ですね。
続いての左頁は自動車評論家の寄稿。
書いているのは、「教授」こと岡崎宏司氏。
若い人には、「クルマでいこう!」のキャストで有名な岡崎五郎氏のお父上と言った方が分かり易いかもしれませんね。
右頁は自動車専門誌からの抜粋
モーターファンとカーグラフィックが無いのが不思議。ベストカーガイドは創刊前となります。
前段に4ページを使って、ようやく(?)外観デザインの紹介
ショートノーズのハードトップは何故か掲載されず。
紹介の中には、部分改良の内容とLタイプの追加装備も記載されています。
続いてはインテリアの紹介
変更内容で大きいのは、シート素材の一新です。それまでビニールレザーでトリミングしていた部分をクロス地に変更しています。
それまでは耐久性の点でビニールレザーが使われていましたが、クロス地でも大丈夫となったということなのでしょう。
他車も同様の変更は多く、日本車のシート前面についてはクロス地に主流が移ります。
デザインに続いては各装備の紹介
新登場のLタイプは左の5アイテムが追加されています。
それまでは、GTとGT-Xの2タイプのみでしたが、ライバル車が装備の充実を謳うようになってきたので、その対抗の意味合いが強いと思います。
スカイラインは、ライト&ワイパースイッチをステアリングコラムに設置したのは早かったですね。ライトスイッチをターンシグナルスイッチと別立てとしているのは過渡期ならではです。
中間頁には、山並みを背景としたセダンGTの後姿
当時の若者にはハードトップが大人気でしたが、私的目線だとセダンが魅力的に写ります。この角度だと、次代のジャパンがこのスタイリングモチーフを引き継いでいるのが見て取れますね。
スカイライン神話の数々です。
R30辺りと比べるとその数も少なくなります。その多くは寄稿されているもので、書き手は自動車ジャーナリズムの創世記から活躍をされていた面々。後年にはジャーナリズムの重鎮となっていますね。

「スカイライン」の名を冠した道路ということで51コースが記載されています。40年近く前の一覧ですので現在と比較してみるのも面白いかもしれません。(参考:wikipedia.
日本のスカイライン)
ケンとメリー血液型による相性判断
もはや、クルマと何の関係が?と思うところですが、「お二人がいつまでも幸せなカップルであるように」、「ステキな恋人獲得作戦の一助に」、だそうです。
適当な方を当てはめてご判断くださいませ。
左と右半分までは、ケンとメリーのオリジナルファッション
ケンとメリーのグッズではTシャツが有名ですが、他にもいろいろアイテムがあったようです。各お値段は現在の貨幣価値換算では約1/3といったところでしょうか。
右半分はプリンスが始めた新システムの紹介
「ダイヤルフォローサービス」と名付けられた内容は、整備終了一週間後に電話で車の調子の確認を行うというもの。
車の耐久性がまだ短かった時代ですから、サービスフォローは重要なセールスポイントになり得ました。そういえば、他社事例ながらも90年代初頭くらいまでは、確認電話があったような記憶があります。

左頁は車種一覧
ジャパンに比べるとまだまだシンプルな構成でした。
右頁は主要装備一覧と主要諸元
排ガス規制前ですので、4気筒エンジンは最後のプリンス直系Gシリーズとなります。
6.15-14というタイヤサイズは日産がブルーバードU等でも使用したサイズ。これがトヨタだと、5.60-13の上には、6.45-13を使っていました。いずれにせよ全車バイアスタイヤというのが時代ですね。
ということでいかがだったでしょうか。
日産プリンス自動車販売主導のカタログは、これに限らず独自の雰囲気が特徴的でありました。
ご存知のとおり、当時のスカイラインは他社はもちろん自社他系列も羨む超人気車だったのですが、その理由の一つに、ここにあるようなソフトウェアに属する周辺情報の充実があったのではないかと思っています。もし購入したら・・・というイメージが湧くクルマって人気車になり易いんですよね。(この辺を分析した上で、新たな価値観を提示したのがクレスタ以降のマークII3兄弟ですね)
・・・にも関わらず、今日の日本車では、便利そうだなと思わせるくらいで、購入後のイメージが広げ易いのはミニバンくらい?というのは実に不思議なのです。
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カタログ話(雑談編) | クルマ
Posted at
2014/12/08 21:07:47