
今回は1997年のメルセデス・ベンツをお送りします。
この年代になると80年代とは違い、Net上に情報がちらほらと落ちているので真剣に情報を追うこともないかなぁという感もありますが(笑)
今から18年前ということで、課税対象としては第2段階の重課となる年代ですね。その一方でそんなに年数を経過していたっけ?、という思いもあったりです。
メーカー自身としても、これからお送りする世代の一世代前となるW201・W124・W126辺りは、
「ヤングクラシック世代」ということで価値を認めつつで保護体制にあるのですが、この世代はR129を除けば、まだそこまで至っていません。
国内の一般世間的な見方も、あまり高評価されずできましたが、そろそろ再評価されつつあるといった辺りでしょうか。「メルセデスは台数が減ってくる頃から脂身が抜けて枯れた味が出てくる」なんて評価もあるようですが、ちょうどその端境期なのかもしれませんね。
前置きはこれぐらいで、1997年1月の総合カタログを紹介していきます。

最初の見開きはメーカーとしての姿勢をアピールしています。
一時期高々と謳われた「最善か、無か」は一度消えた後、近年になって復活しています。ここに書かれている「最上の満足を最良の形で」という文句は表面に出ることこそなかったものの、むしろこのメーカーのずっと変わらぬ姿勢と言えるかもしれません。

最初はCクラスセダン(W202)
1993年にそれまでのW201と世代交代して登場。前期最終モデルに相当します。
当時のCクラスは、現在の「AVANTGARDE」に相当する「SPORTLINE」と、ベーシックグレードに相当する(本国名は「CLASSIC」)C200を除けば、全て「ELEGANCE」が輸入されていました。
本国にはその他に、「ESPRIT」もありましたが、最後まで輸入はされず、本国でも消え去ることとなります。
まだ全グレードでハンドル位置が左右共に選べる辺りも、過渡期と言えますね。

続いてはEクラスセダン(W210)
1995年にそれまでのW124と世代交代して登場。
楕円丸4灯のヘッドランプが賛否分かれて話題となりました。
左頁は、従来の流れを汲む、E230・E320。
右頁には、それに加えてE320に初登場後、続いてE400が追加された「AVANTGARDE」。
「AVANTGARDE」は、外観では専用のフロントグリルとアルミホイール、内装ではバードアイ・メイプル・ウッドに本皮革シートの標準を特徴とします。この「AVANTGARDE」スタイルは好評となり、他モデルだけでなく一世代前のモデルにも、これに似せたモデファイが流行するまでになります。

続いては共に日本導入直後となるステーションワゴン
左頁はCクラスステーションワゴン
W201はセダン以外のボディタイプを持ちませんでしたので、同クラス初のワゴンとなります。
右頁はEクラスステーションワゴン
現在はE350のモデル廃止で選択不可となってしまった、サードシートが標準で備わっていました。
共に導入直後ということで、230グレードのみの輸入。現在とは違って、ワゴンも静かな人気があったものの、まだまだセダンが中心だったのです。

続いてはSクラス(W140)とCLクラス(C140)
W140は、1991年にそれまでのW126と世代交代して登場。
当初は300SEや600SEL等、クラス分けされる前の名称でしたが、C・E・Sのクラス分けで名称変更されることとなります。
CLも輸入当初は、600SECとSクラスの一部に類されていましたが、ここで新分類CLクラスを名乗ることとなります。
共に「最善か、無か」を謳った最後のモデル。
当時はその巨大なサイズが不評でしたが、モデル自体の出来栄えや次世代以降の変遷を考慮すると、不当な評価だったと言えるかもしれません。時代背景やら時代の気分やらに合っていなかったのは事実でしょうが。

続いてはメルセデスの伝統芸であるロードスターモデル
左頁は、発表直後のSLK(R170)
この時期相次いで登場したマツダロードスター(MX-5)の影響下のモデルの一つですが、SLに比べると身近なメルセデスのロードスターということで導入前から高い人気がありました。
「KOMPRESSOR」名のとおり、このモデルに搭載されたスーパーチャージャーは、この後しばらく、世代を変えつつでメルセデスの4気筒の主流となります。
右頁は、SL(R129)
1989年にそれまでのW107と世代交代して登場。
モデル末期に近づいていましたが、既にステイタスシンボルとして確たる地位にありました。先述のとおり、この年式の中で唯一、メーカーが謳う「ヤングクラシック」世代に属するモデルとなります。

左頁は「GELANDEWAGEN」と呼ばれていた頃の現在のGクラス(W463)とAMGモデルの紹介
現在も販売が続くW463ですが、濃厚長大化が始まったばかり(?)の時期のため、まだG320のボディ違い3種のみ輸入されていました。
現在はだいぶ凄味のある方向に進んでしまいましたが、まだこの頃は本来の面影が残っていたとでも言いましょうか・・・(実に表現が難しいです・(笑))
AMGモデルは、設定でお分かりのとおり、明らかに特別感のあるクルマでした。現在のラインナップを振り返ると、AMGの民主化が進んだと言えるかもしれません。
共に他モデルとは違って、輸入元は「エーエムジー・ジャパン(株)」という別会社でした。
右頁はちょっと見辛いですが、各モデルの諸元表。
Cクラスも20年近い時の中で、当時のEクラスのサイズとラップするくらいまで成長したことがわかります。衝突安全や商品性の向上が長年の課題となる中では、仕方のない面もあるのですが、当時の日本の都市でも使い易いサイズを貴重に思ったりもします。
ということでいかがだったでしょうか。
1996年夏から発表された、この1997年モデルは今と似たニューモデルラッシュの年でした。
当時は、「最上の実用車メーカーの看板が揺らいでいる、あるいは看板を降ろしたのでは?」という否定的な見方もありましたが、現在目線ではまだまだ「質実剛健」なモデルが多いように見えます。
この時の「AVANTGARDE」の人気が、今に至るまで輸入グレードに影響しているのは事実でしょうし、今の拡大路線は、当時の流れの延長戦にあるとも言えます。
間違いなくこのメーカーの方向性の分水嶺となった年なのでしょう。
そういう意味では、この先、この時期のモデルがどう評価されていくかが、この後のモデルの評価を決定づけるかもと思っていたりするのです。