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2015年06月02日

FタイプとアーバンXの話

FタイプとアーバンXの話 前回は、Y31のグランツーリスモを取り上げましたが、さすがは登場当時にかなりの話題となり、今でも根強い支持を持つ人気車でして、思っていた以上の反響となっています。


それであれば、グランツーリスモを調べていく過程で、ここにもスポットをあてようかと思っていたシリーズを取り上げることにします。


グランツーリスモが出るまで、セドリック/グロリアを代表するグレードといえばブロアムを連想される方が大多数だったわけですが、その脇にちょっと違ったグレードもしばらくの期間、並行配置されていたのです。


・1980年4月 SGL-F追加

先ずは1980年4月のカタログより






2015/6/3修正
Fはファンシーの頭文字からの引用のようです。ファンシーというとブルーバードの女性仕様車を連想しますが、セドリック/グロリアでは”上質な”の意味を取っていたようです。
Fはファッショナブル(Fashionable)の頭文字からの引用。
先代にあたる330にもFシリーズはありましたが、角型ライトとカラードホイールキャップ、ちょっと上級のオーディオが装備されていました。

SGL-Fでは、外観はトーン・オン・トーン(ツートーン)のボディカラーとスタールーフ、内装はアメリカ・チャサム社特製オーダーメード仕様を特徴としていました。
内外装共にライトカラーの仕立てであり、ダークカラーは選択できませんでした。
スタールーフの採用により、430ハードトップの特徴だったオーバーヘッドコンソールは、前半分だけとされています。

エンジンはこの時点ではノンターボのみ。少し前に追加されたターボは話題となっていましたが、同時販売のターボブロアムとの競合を避けたこと、あくまでもお洒落グレードのため走りの要望は低いと判断したあたりが、選択の理由と思われます。





同時期のブロアムの内装(選択の都合でこの画像のみ後期より)と比較すると、趣味性の違いは明らかです。
この内装を豪華と受け取る方が多数だったのですが(余談ですが、クラウンにもルースクッションを採用してほしいという声もあったそうです)、この手の内装は苦手な人も存在したということなのでしょうね。



自動車ガイドブックの1980年版によると当時の東京地区の価格は、

 ・280E ブロアム : 2,850千円
 ・ターボブロアム : 2,879千円
 ・ターボSGLエクストラ : 2,702千円
 ・200E SGL-F : 2,697千円 
 ・200E SGLエクストラ : 2,552千円

以上、全てハードトップのAT車

となっていますので、ノンターボながらターボSGLエクストラに迫る価格だったようです。



実は同時期のクラウンも同じような装備をアピールしていたりします。





1979年10月のモデルチェンジ時点では、2ドアのみランドゥトップとセットでツートーンカラーが選択可能だったのですが、その後ツートーンボデーカラーとランドゥトップは各々単独選択可能になっています。さらに4ドアハードトップでもツート-ンボデーカラーが選択可能に。

また、1980年3月にサンルーフ、同年6月にはムーンルーフを追加しています。

シート生地についても、2ドアのみ4ドア系とは異なるものが採用されています。


このあたりの事情については、モーターファン誌のロードテストの座談会において、話題となっていたりします。(正確にはクラウン登場時ですが)

○商売をなさっていると、あんまり差をつけて欲しくない。お客さんよりいいクルマに乗っているとなると困るから。逆にせっかく買うんだからもっと差をつけて欲しいとか。そういった面でいろいろ苦労している。

○(クラウンの)2ドアのランドゥ、それからツートンペイントというとかなり自己顕示欲が旺盛でないと乗れない感じ。マーケットリサーチをやると、そういうセグメントがあるとでるわけですか?
 → それは実際にあります。実はもっといろいろつけてほしい人もいるわけです。

○速く走るというイメージではなくて、たとえばヨットハーバーとか、高級なテニスクラブへ乗りつけるような使い方に、あまりぴったりするクルマがこれまでなかったのじゃないかと思うのです。
 → 同意複数。・・・だけど町の中を乗ったら、まわりの人はみんな謝っちゃうような気がしますね。


引用ここまで。


先行したクラウンが2ドアで若々しさや個性を表現したところ、セドリック/グロリアは4ドアハードトップの一部グレードで表現したと見ますが、内装の趣味性の違いはこちらの方が上手に表現していると見受けました。

この世界観を自己顕示欲旺盛と取るか、ちょっとお洒落な趣味と取るかは、意見が分かれるかもしれませんが、私的には後者に一票を投じたいと思います。



・1981年4月 マイナーチェンジと同時にターボSGL-Fが登場


マイナーチェンジでSGL-Fは、既に主力エンジンの座にあったターボ付きに進化します。それにより価格も上昇。ターボブロアム同等の高価格となります。

グロリアには、これにアルミホイールと各種ステッカー&バッチを付けた”ジャック・ニクラス バージョン(以下、JNVとします)”が追加されていますが、イロイロ話がややこしくなりそうなので、説明&画像は省略します。



1982年6月のカタログより
この時に、待望の電子制御OD付フルロックアップオートマチックが採用されています。
同時に、A.S.C.Dが標準装備化されると共に、液晶表示デジタルメーターの装着車が新たに設定されます。


月刊自家用車より1982年11月時点の東京地区の車両本体価格を引用

 ・280E ブロアム : 3,114千円
 ・ターボブロアム : 3,047千円
 ・ターボSGL-F : 3,029千円
 ・ターボSGLエクストラ : 2,878千円
 ・JNV : 3,111千円

以上、全てハードトップのAT車となります。


 
・1983年6月 モデルチェンジ

新開発のV6エンジンを搭載したことが話題となりました。
クラウンは直後のモデルチェンジにより、2ドアを廃止しソアラに任せる道を選択します。一方の日産は、ソアラに近いモデルとしてレパードが登場していたものの、セドリックSGL-F(グレード名はV20ターボFに変更)、グロリアJNVが共にグレード継続となります。

以下、時期を追って見開き画像を掲載します。



1983年6月のカタログより
モデルチェンジにより、唯一選択可能だったスタールーフを失うものの、新たな装備として、「局名表示番組予約電子チューナー」、「録音機能付カセットデッキ」、「マイコン式パワーシート」、「パワーランバーサポート」がリストに加えられます。

これらの装備は、V20ターボブロアムはもちろん、V30E ブロアムでも選択不可能な装備だったのです。





1984年1月のカタログより
シリーズ最上級となるV30E ブロアムVIPの追加が主な内容ですが、同時にカラードバンパーの採用が拡大されています。
1983年6月のカタログを彩っていた各種装備の多くは、ブロアムVIPにも設定されたため、この頁からは消されています。

V30E ブロアムの購入層から、ターボFのみの装備も欲しいという注文が付いたのでは・・・というのはあくまでも推測。





1984年6月のカタログより
更なるシリーズ最上級となるV30ターボシリーズの追加が主な内容ですが、同時にバックスキャナーが新たな装備として選択可能となりました。

バックスキャナーは、バックソナー名で先にコロナやカリーナが一部グレードで採用していた装備です。左右で警告音を変えているのが目新しいですね。ただ、寸法に余裕のない5ナンバーサイズのスチールバンパーには、センサーを埋め込むことが出来ず、バンパーに吊り下げざるを得ませんでした。

この後登場するアーバンXは方向性を軌道修正したように見えるため、Fタイプシリーズの集大成とも言えそうです。

月刊自家用車より1984年11月時点の東京地区の車両本体価格を引用

 ・V30E ブロアム : 3,429千円
 ・V20ターボブロアム : 3,267千円
 ・V20ターボF : 3,228千円
 ・V20ターボSGL : 3,041千円
 ・JNV : 3,363千円

以上、全てハードトップのAT車となります。



・1985年6月 マイナーチェンジと同時にアーバンXが登場

マイナーチェンジでJETターボとスーパーソニックサスペンションの採用が話題となります。
それまで続いたFタイプは、両機構の採用と共に、スポーティ・パーソナル・シリーズを謳ったアーバンXに改称。同時にターボFよりもやや豪華装備だったJNVは名称そのままながらも、アーバンXと装備が揃えられています。
両グレードとも装備設定が変わって、やや走り重視方向に修正されています。



1985年6月のカタログより
オーディオ関係は局名表示や録音機能が省かれますが、バケットシートとアルミホイールが新たに装備されています。この変更は走り方向に振ったためと見ますが、スーパーソニックサスペンションが高かったため、オーディオを簡素化して価格調整をしたのかもしれませんね。

この時点で、主管は前回紹介した三坂氏が就任していますので、グランツーリスモ登場前の序曲にあたるかもしれません。

ただ、これまた前回紹介したとおり、想定以上の台数とはならなかったため、エクセレンスシリーズが追加されると、そちらに見開きページを譲っています。確かにシリーズ構成比率が2%では、仕方のない措置なのです。

月刊自家用車より1985年11月時点の東京地区の車両本体価格を引用

 ・V30E ブロアム : 3,529千円
 ・V20ターボブロアム : 3,327千円
 ・V20ターボアーバンX : 3,404千円
 ・V20ターボアーバン : 2,849千円
 ・JNV : 3,404千円

以上、全てハードトップのAT車となります。



ということで、あまりまとまりは良くありませんが、何とか繋げてみました。

以下、諸考察
このシリーズ、引用した座談会にあるような使い方が、きっと想定されていたのだと思います。ただ、メーカーが満足できるほどの需要はなかったということなのでしょうね。その手の需要は、間もなく登場したレパードやソアラに移ったというのも需要が伸びなかった要因かと思います。
そういう意味ではトヨタの読みが正しかったと言えるのですが、珍しく日産の方が後まで諦めずに粘ったという珍しい事例ともなりました。

思うにこの趣味性って、2代目セドリックの途中まで日産が表現したかったものの再挑戦に思えるのです。本当はこんなのをやりたいと思いつつも、市場の需要は別の動きをしていたような。

結局はグランツーリスモが後を継ぐこととなるのですが、大型セダンがスポーティ一色となった今、再び問うてみると面白いのでは、と思うのは素人の気楽さではあります。
ブログ一覧 | カタログ話(雑談編) | クルマ
Posted at 2015/06/02 19:03:30

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この記事へのコメント

2015年6月2日 20:00
こんばんは!
このセドグロの座席は、車のシートというより、リビングの豪華ソファー。ピラーレスハードトップということも手伝って、自由奔方な感じがします。
コメントへの返答
2015年6月2日 21:50
こんばんは
ブロアムのシートは、乗り心地よりも座り心地や寝心地重視ですね(笑)
Y30よりも自由奔方なデザインに見えます。自動車評論的には批判の対象となりましたが、この種の豪華さは今は見られなくなっただけに貴重な気もしますね。
2015年6月2日 21:11
こんばんは♪

当時のこのクラスのサルーンは所謂旦那仕様がメインで、カジュアルな装いの物は主流にならなかったんですよねぇ。

ちなみに、110クラウンの画像の中に有る、2.8 2ドアHTの屋根開きツートンの現車を見た事有ります。

親父がトヨタ中古車販売から買おうとしてオカンにダメだし喰らってTX50クレスタになったと言うモノでしたが、TX50クレスタと同じくカタログ撮影に使った個体の様です。

あの時親父が反対押し切ってでもクラウン買ってたら、オイラのカーライフも変わってたのかも知れないですねぇw
コメントへの返答
2015年6月2日 22:02
こんばんは

きっと当時の旦那さんは真面目だったのでしょうね。人を乗せた時に豪華に思ってもらえる装いが重視された気がします。カジュアル=遊びに結び付いて、敬遠された感もありますね。

クラウン2.8で、屋根開きツートンの2ドアはかなり貴重ですね。ネタ車ではありますが、座談会のやり取りからすると、当時の風習が垣間見えてきて、ダメ出しになったのも解る気がしますw

クルマが違っていればカーライフも変わっていたはずですが、経路は違っても至る所は同じような気もwww
2015年6月3日 14:59
こんにちは。

スタールーフ、カッコよかった!敢えて開かないサンルーフってところが大人でしたね。
確か、そもそもシボレー・モンテカルロだか、ビュイック・リーガルだかが「アストロ・ルーフ」で投入したのが最初だったと記憶してます。これだと室内高も下がらないし、解放感も得られる。その上複雑な機構も要らないってことで、オープンがほぼ禁止状態に追い込まれた70年代後半のアメリカで大流行して、その後Tバールーフなんかに繋がっていく・・そんな装備だったです。

430~Y30は、当時のクラウンよりよく言えば若々しい、悪く言えば軽いイメージがありまして、当時の購入年齢層なのか、クラウン=会社の経営者、セド/グロ=土建屋の社長。その後の中古車市場での購入層も相まって、そういった意味ではちょっとかわいそうな時代だったなと勝手に思っております。
まさか、今日そのY30を自分で持つことになろうとは、思いもよらなかったわけですが(笑)しかしこいつが売れてくれなくて…そりゃ4発LPG・GLなんか、中途半端の極みだから…
コメントへの返答
2015年6月3日 18:58
こんばんは

スタールーフは、開かないことが議論の対象となりましたが、書かれているとおりの長所もあるわけで、こんな装備もあっていいですよね。1グレードだけのために、専用の屋根を起こした点も凄い贅沢に感じられます。
起源の話は勉強になりました。ボディラインなんかも当時のGMフルサイズセダンからの影響が感じられますから、成程納得の話です。

クラウンとはオーナー層が違っていたというのは同意です。330と430は、その差が上手く表現されていたと思うのですが、Y30は幾分、クラウンに近付いた印象があるかもしれませんね。
書かれているY30は、先日の有鉛に掲載されたモノですよね。希少ダマには違いないのですが、売却には難しいというのも、そうかもしれない、などと思ったりします。
2015年6月6日 1:16
こんばんは

430のツートーンというとジャックニクラスバージョンの方が先に浮かびますね~
当時親父がカタログをよくもらってきてました。ゴルフ好きだったので興味があったのでしょうね。
結局ターボブロアムにしてましたけど(笑)
コラムシフトのルースクッションバージョン(グランドシート)は、ヘッドレスト抜いてシート倒すと正にフルフラットシート(前後左右全て埋まる)になって凄かったですよ。
貧乏学生ドライブ旅行でホテル代をケチって車中泊するにはモッテコイでした(苦笑)
やはりこの時代のセドグロはFやアーバンよりも(時代を反映した)ベタなブロアム系の方が個人的には好きですね。
※当時は逆でした。少しでもスポーティな方が良かったので。ブロアムはオジサンくさくて・・・><

コメントへの返答
2015年6月6日 6:47
おはようございます

グレードの有名度は、ジャックニクラスバージョンの方がはるかに勝りますから、印象も強いですよね。余談ですが、セドリックもCMキャラクターのグレード名にすれば良かったのでは、という冗談話で盛り上がったことがあります(笑)。

Fやアーバンは、少数派前提であって、ブロアム系が当時の価値観の反映なのだと思います。自他共に「イイ車を買ったなぁ」と言わせるのに最適なのはブロアムですし、外観の印象とも一致していますね。

フルフラットシートは、安全性が重視される現在では、セダンでの実現が難しくなってしまった貴重な装備ですね。430は、この装備のためにシート形状とヘッドレストを新設計で起こしたと推測しています。この装備がありながら、リラックスシートも追加してしまうのが、このクラスらしいとも言えますね(笑)
2015年6月15日 22:06
超遅れてのコメントでゴメンなさい。すでにコメントした事すら認識いただけないかも知れませんが書かずにはいられません。コメントしなきゃと思ってイイねも後回しにしていました。再度、失礼いたしました。

タイトルとは違いましたが、430のパンフレットをアップしていただき、ありがとうございます❗️
430は不思議な車で、写真の撮り方、眺める角度で、メッチャかっこいい時と、ちょっとズングリしますがフォーマルな雰囲気の時に分かれます。私の430もそうでした。そして、このパンフレットの430が、ノーマルとしては正にベストショットだと思います。思い出の車のカッコいい姿を紹介してくださってありがとうございました(^^)
コメントへの返答
2015年6月15日 22:22
こちらも返答が遅れがちですから、コメントの遅れは気になさらないでください。何回か書いていますが、記憶の琴線に触れられたならば、嬉しく思っています。

確かに、430は撮り方や角度で印象が変わるクルマかもしれませんね。ノーマルだと腰高でもう少しトレッド幅も欲しいので、上方からの撮影が決まるように思います。全体の印象も、フォーマルから、カジュアルまで年齢層を問わずの印象が強くて、とかくフォーマルであることが大事な車格でしたから、実はスゴイデザインなのではと思うようになりました。

2014年9月11日に前期430のカタログもアップしていて、最近画像更新しましたので、よろしければ、ご覧いただければと思います。

プロフィール

「帰還後の近況 http://cvw.jp/b/1984303/48316556/
何シテル?   03/16 21:58
3台計で20年以上の長きに渡って乗り続けたX80系からW204への代替がみんカラを始める動機となりました。 最初はW204関連を主とするはずだったのですが...
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