
ハイソカー全盛時代の隠れた(?)お買い得グレード、7thスカイライン編をやってみます。
スカイラインの取扱店であるプリンス店は、チェイサーの取扱店であるトヨタオート店同様に、1500級にはラングレーを持つものの、ミドルサイズセダンを持たないという事情を抱えていました。
従って、その穴を埋めるべく、スカイラインのお買い得グレード兼廉価グレードに力を入れていたという事情も同じだったりします。
チェイサー同様に、
日産のプレスリリースから7thスカイラインの1800に関する部分だけを抜粋しながら、カタログ画像で補完してみます。
19 Aug. 1985 フルモデルチェンジ
画像は1985年9月発行の簡易カタログからとなります。
新たに追加された4ドアハードトップ 1800 パサージュ
モデルチェンジを契機に、それまでのTIというグレード名称は外されています。
ちなみに、簡易カタログだからということではなく、本カタログでも1800だけの見開きページが用意されていました。
グレード一覧から1800シリーズのみを抜粋してみます。
従来型同様、GTシリーズの丸型テールランプに対して、1800シリーズは角型テールランプを採用していました。
当時の東京地区の価格(MT/AT)は、
・ハードトップ 1800 エクセル : 1,544千円/1,617千円
・ハードトップ 1800 パサージュ : 1,656千円/1,729千円
・セダン 1800 エクセル : 1,494千円/1,567千円
となります。
この他に
・セダン 1800 G : 1,234千円/1,307千円
が設定されていました。
若干価格は前後しますが、GがチェイサーXLに、エクセルが同XGに、パサージュが同XGエクストラに対応する形となります。
主要装備一覧と主要諸元表です
GTエクセルは外されていますが、エクセル・パサージュ共に、2000シングルカムのGTシリーズよりも高級なシートが設定されていました。
先代にあったCA18Eエンジンは落とされていますが、ATは3速から4速に進化しています。
28 Aug. 1986 「4ドアセダン1800エクストラG」を追加
28 May 1987 「4ドアセダン1800Gリミテッド」、「4ドアセダン1800エクストラGリミテッド」を追加
21 Aug. 1987 マイナーチェンジ
1987年8月の本カタログから1800関連の部分だけを抜粋してみます。
マイナーチェンジを契機に、GTシリーズはスポーティ色を強めますが、1800シリーズはシリーズ内でも好調だったため、前後意匠の変更ぐらいに留められ、方向性を変えることはありませんでした。
主要装備一覧と主要諸元表です
マイナーチェンジでエンジンの出力表示がグロスからネットに変わっています。
24 May 1988 スカイラインの特別仕様限定車「GTサルーン」「エクセルサルーン」を発売


次期モデルの仕様模索を感じさせるような特別仕様となっています。
「エクセルサルーン」に関しては、ミドルサルーンの新型が続々登場する中で、それらにお買い得で対抗できるような設定ですね。
26 Sep. 1988 スカイラインの特別仕様車「Vシリーズ」を発売
詳細は不明ですが、プレスリリースの内容からすると・・・
GTはスポーティな方に仕様変更されていますが、「エクセル-V」と「エクセルサルーン」の相違点は、
新設定装備
・スポットランプ
・エアコン
レス装備
・プロジェクターヘッドランプ+コーナリングランプのオプション設定
・カセット(ドルビーメタル対応)一体式AM/FMマルチ電子チューナー
・FMダイバーシティ
・4スピーカー
・リヤパーセルシェルフカーペット張り
・3本スポークステアリング
・燃料残量ワーニングランプ
となって、大きな違いとはならなかったようです。
21 Nov. 1988 スカイラインに「4ドアセダン1800リミテッド」を追加
・・・といった変遷を歩んでいます。
さらに、この他にもお買い得車がいくつかあったようです。
1.前期1800G Limited

2.後期1800 G Limited 1800 G High Saloon

どちらも、プレスリリースには該当の仕様がないため、販売店特仕と推測されます。
特に後期のGリミテッドは、末期に追加された1800リミテッドの先駆けと言えそうです。
ちなみにGハイ・サルーンの1,313千円という本体価格は、ブルーバード1800SEサルーンの1,358千円よりも安くて、サニー1500スーパーサルーンの1,290千円(ただしこちらはP/W付)や1500SXサルーンの1,220千円との競合も可能な価格だったのです。
かくして、7thスカイラインの最多量販は1800シリーズとなったのですが、ご存じのとおり、次世代では1800GXiのみに絞られることとなってしまいます。
結構な台数が出ていたシリーズを縮小したことは、引き続き1800に力を入れ続けたチェイサーとは違う選択となった訳でして、スカイラインのイメージを再構築することには成功したものの、果たして商売的に正解だったのかは見解が分かれるかもしれませんね。
プリンス店は、次世代スカイラインの登場から1年近くの時間を経た後、P10プリメーラという強力なミドルサルーンの持ち駒を得ることとなります。